Monster Energy NASCAR Cup Series
Hollywood Casino 400
Kansas Speedway 1.5miles×267Laps(80/80/107)=400.5miles
winner:Martin Truex Jr.(Furniture Row Racing/
             Bass Pro Shops / Tracker Boats Toyota Camry)

 プレイオフ第2ラウンドの最終戦カンザス。F1の裏番組です。
初夏のカンザスは大荒れでエリック アルミローラが大けがを負ったレースでしたが、
今回は精神的に大けがを負った人が続出、プレイオフ制の厳しさが見えました。
 マーティン トゥルーエックス ジュニアにとっては、レース前に負った
精神的負担を振り払う一勝となったかもしれません。

 もう頑張らなくてもいいのに、と思うぐらい容赦なくPP獲得のトゥルーエックス。
実はファニチャー ロウ レーシングでは、車両の製造を担当していたクルー、
ジェームス ワトソンが土曜日の夜に急死するという悲劇に見舞われていました。
恋人が癌と戦っているトゥルーエックスにとって、身近な人間がいきなり
他界するというできごとは普通の人以上に神経質になる出来事ではないかと思います。

 一方、プレイオフ コンテンダーではわ我がライアン ブレイニーが予選後の
車検でしょっ引かれて最後尾スタート。ただブレイニーは前回のカンザスで
強かった上、タイム自体は予選3位だったのでレースに期待。カンザスは
前回のレースでも大量の違反者が出ていました。警察が厳しいわけではありません。

 レースは雨が降ったためコンペティション コーションあり。
36周目にリスタートになりますが、ここでトゥルーエックスが白線の下の
エイプロンまで下りていきペナルティー。レース前に
『リスタートしたらスタート/フィニッシュ ラインまでは下りないように』
と言われていたのに完全無視でした。ただ、一緒に付いて行ったケビン ハービックは
お咎めなし。あくまで、隊列を引っ張る奴が主犯で、ハービックは合わせただけで
悪質性が低いという解釈でしょうか。これでカイル ブッシュがリーダーに。

 47周目にブレット モフィットが壁に当たってコーション。ここで6台がステイ アウト。
コーション前に12位あたりだったブレイニーもここでステイアウトして
クリーン エアーを得る作戦に出ました。
 結局カイル、ハービックの並びに戻っては行きますが、ブレイニーは上位で
留まることに成功。
 そしてここでショッキングな出来事、チャンピオン候補最有力者の
カイル ラーソンのエンジンに問題発生。油圧が低下しているような話。
ECUが誤って保護モードに入っているかも、という話でしたが、
ステージ1残り4周、とうとうエンジンが壊れてしまいました。
これで万事休す、ですが、大量の点差があったので、他に誰か脱落者が出ると
ギリギリ救われるかもしれないのであとは祈るしかありません。

 そして、ステージ終了間際のコーションにより、このままステージ1は終了、
カイルがステージ優勝となります。


 ステージ2、始まって早々トゥルーエックスにルース ホイールの疑いで
緊急ピット。
コース上はグリーンのまま安定して進みますが、今度はステージ残り5周で
コーション発生。またモフィットがぶつかりました。
クイック イエローが宣言されて、多くの車はステージ3を重視してピットへ。
ブレイニーもピット組になりました。目先の10点を取りに行かないか
心配でしたが王道で行くようです。
 ステイアウトして1列目リスタートになったのは、次ラウンド進出に向けて
やや危うい位置のジミー ジョンソン。チャド カナウスから無線が来ますが
「他の奴らがピットに入って1列目からリスタートになる。
 引き離してトップ10で帰って来いよ」
トップ10なの?と、1位で来い、じゃないところにあまり速さに自信がないのを
垣間見ましたが、現地の放送陣もやはり同じ部分に引っかかっていました。
元々10位だったので、これより落ちると意味が無い、という意味もあったようです。

 かくして残り1周のステージ、デニー ハムリンはステイアウトから逃げ切り、
一方ジョンソンは、、、10位だ!wしかも数cm差のギリギリでした。
ある意味的確過ぎるぜカナウス。


 ピットのタイミングがずれているステージ3、ハービックを先頭に始まりますが、
175周目にリッキー ステンハウス ジュニアが壁に接触。
ほぼ絶望視されているとはいえ一応コンテンダーでしたが、これでもうさすがに無理です。
ここでもピットは作戦が別れ、上位勢はステイアウト。

 187周目、ジョンソンについての話題が出て映像がずーっと取り上げている間に
なんとジョンソンが単独スピン。激しく芝生に突っ込みスプリッターや
ボンネットに損傷も見られます。
ここでも作戦は分割。タイヤが今回は9セット制限なので、使いすぎると
終盤マズい可能性もあります。

 193周目にリスタートしますが、ジョンソン、ターン3入り口でまた自爆。
これで困ったことになります。



 G+ではイマイチ解説がきちんとしていませんが、5分間ルールというものが
今年制定され、クラッシュによる修理はピット上で、5分間のみ認められます。
この5分は実際にはピットの入り口~出口のピットにいる間時計が動き続けるので、
実際はもう少し短くなります。
 各トラックごとに規定ラップ タイムというものが設定されており、
車両がそれよりも早く走ることができれば、この時計は5分にリセットされ、
クリアしないと継続して減り続けます。
規定を満たせない遅い状態の車は修理できていないとみなしますよ、ということです。
で、5分を使い切って、走って、それでなお規定をクリアできなければ
その車はもう壊れている、直せなかった、ということでレースから除外されます。
福山さんは今一つルールを理解していないので、よく
「5分を超える修理はガレージでということですよね~」と言っていますが、
今年の規則ではガレージ行き=リタイアで、機械的な故障の場合のみ
適用除外でガレージでの修理が認められます。

 で、話題は『困ったこと』。リスタート後1周もしないでコーションが
出てしまった彼はタイムをクリアしていないので、時計がリセットされません。
NASCARでは破損した人はコーションが出るたびに、周回遅れを避けつつ
ちょこちょこと直していくのがセオリーですが、ちょこちょこ直すための
時間がどんどん減ってしまっています。

 198周目リスタート。ここでカイルが外からハービックを抜いてリーダーに
立ちますが、直後のターン2出口でタラデガも真っ青な大クラッシュ発生。

 いきなりカメラに向かってエリック ジョーンズがすっ飛んできましたが、
後続が巻き込まれて大惨事。
コンテンダーのジェイミー マクマーリーは大破。そしてマット ケンゼスも
チームメイトのダニエル スアレスに当たって中破。
 ケンゼスはピットで修復に向かい、車を出した直後に赤旗提示。
そして、赤旗中に情報が出ます。
『ケンゼス失格』
 ケンゼス陣営は、ピット作業で規定を上回る7人が作業を行ってしまいました。
上記ダメージポリシーの制定に合わせ、今年この人数超過に対する
罰則が強化されています。ケンゼスはリタイア後のインタビューで
ルールに不満をぶつけていましたが、これは2月の公表時から存在するもので、
ちゃんと私も当時のブログに

この制度に合わせてペナルティーに関しても微調整が加えられ、
ピット速度違反をした車に対しては、『作業持ち時間から15秒減算』
のペナルティーを新設。
 また、作業人員が規定の6人を超過するtoo many men over the wallの
ペナルティーには、レースからの除外という項目が追加されます。
同ペナルティーはどのみち列の最後方、あるいは周回遅れになることに
違いは無いから、と開き直って、故意に違反して修復を急ぐことが
しばしば行われていましたが、5分という制限を設けるため、そうした
半脱法行為に対して厳しい態度を示しているものとみられます。

と書いています。もちろんケンゼスに非は無く、映像を見ると7人目の
本来はドライバーを補助する人は、ついうっかり手を出しちゃった、
ぐらいな感じに見えましたが、実は無線を聞くと、ジェイソン ラトクリフが
「ピット、ピット、7人だけだぞ。6人だ6人」と当初言い間違い。
その後「おい!6人超えたらダメだって!6人だ!」と声を荒げていましたが、
規則に対してクルーがきちんと意思を共有できていなかった初歩的ミスと
言えると思います。


 205周目にリスタート、このコーション中に入った人はギリギリ燃料が
足りるかもしれないので、ひょっとすると燃費レースになるかもしれません。
そんな中上位を争っているのはカイルと、あれ?トゥルーエックス???
 211周目、ニュー リーダー、78。カイルはずっとステイアウトを
続けてきたので、トゥルーエックスより32周も古いタイヤでした。
 燃費レース組のトップは5位あたりにいるカート ブッシュ。
トゥルーエックスも足りないので、このあたりに興味を持ったのも束の間、
236周目にA J アルメンディンガーがスピン。
 給油量が少なかったせいかカートが2位に上がって243周目にリスタート、
しかし馬鹿みたいに速いトゥルーエックスを兄ブッシュが止められるはずもなく、
このままトゥルーエックスが勝利。
ジムさんが作ってくれた、いわば形見の車でドーナツを決めました。

 トゥルーエックスはこれで今季1.5マイルのトラックで6勝目でこれは
史上最多記録。
 プレイオフ争いはカイル、ジョンソンは生き残りましたが、
ラーソンはまさかの脱落。ウルミコスさんがチャンピオンに予想しましたが、
まさかの敗退でした。タラデガでスアレスが変なブロックしてなければ・・・
というところでしょうか。エンジン故障はどうしようもないですが。
他にケンゼス、マクマーリー、ステンハウスが脱落。
ステンハウスはコンテンダーにいるうちはスタンディングス12位でしたが、
コンテンダーを外れたので15位に後退しました。
 いよいよ最後の関門、ラウンド オブ 8に臨む面々と持ちポイントは


Rank Driver Points Diff
1  Martin Truex, Jr.4069   
2  Kyle Busch4042  -27  
3  Brad Keselowski4026  -43  
4  Jimmie Johnson4017  -52  
4  Kevin Harvick4017  -52  
6  Denny Hamlin4014  -55  
7  Ryan Blaney4009  -60  
8  Chase Elliott4006  -63  
Racing-reference.infoより

まさかブレイニーがここまで来るとは思いませんでした。
次戦はマーティンズビルです。