Monster Energy NASCAR Cup Series
Federated Auto Parts 400
Richmond International Raceway 0.75miles×400Laps(100/100/200)=300miles
winner:Kyle Larson(Chip Ganassi Racing/Target/Coca-Cola Chevrolet SS)

 カップ シリーズもいよいよレギュラー シーズン最終戦のリッチモンドです。
来季はカレンダー変更でこの1戦がインディアナポリスとなり、リッチモンドは
プレイオフの第1ラウンドへ移動。消化試合の人も来年を考えたら
リッチモンドの良い経験を得たい1戦です。

 前戦の記事ではネタバレを避けるためにニュースを調べなかったので
知りませんでしたが、優勝したデニー ハムリンはレース後の車検でリアの
サスペンション部分に違反があり、クルー チーフのマイク ウィーラーは
5万ドルの罰金と2戦出場停止、ドライバー及びオーナー ポイント25点減点と、
プレイオフ進出要件としての優勝を除外する処分となりました。
既に1勝していたハムリンにとってはプレイオフ ポイント5点を失うだけで済んだ形です。
 また、デイル アーンハート ジュニアもラグ ナットの違反でグレッグ アイブスが
2万ドルの罰金と1戦出場停止、ということでこのリッチモンドにいません。

 プレイオフ争いは、選手権17位以下の誰かが勝たない限りレース前から
出場選手に変動はない状態、ジョーイ ロガーノ、クリント ボイヤー、
エリック ジョーンズ、そしてデイル アーンハート ジュニアといった顔ぶれが
最後の望みをかけて臨みましたが、結果はカイル ラーソンが優勝。
彼らの2017年のタイトル争いはここでおしまいとなりました。

 PPはマット ケンゼス。ハリケーン ハービーの被災者支援の特別スキーム。
スタート前のパレード走行では、レギュラーシーズン最終戦ということで
21位以下の集団が丸ごと出てきて4列で並走する場面がありました。
その21位はデイルジュニア。やらせのような展開です。

 ステージ1、1度のコーションを挟んでケンゼスは全周リードを続けますが、
87周目に思わぬ展開。カメラに映ったケンゼス車から軽く白煙が上がり、
直後にはコーションが出ます。
 ケンゼスの白煙の原因は、周回遅れにしようとしたダニカ パトリックに
追突しかけて急ブレーキを踏んだから。
 そしてコーションの原因は
ケンゼスが上げた白煙を見たオフィシャルがオイルが撒かれたと早とちりしたから。
 ジミー ジョンソンのクルー チーフ・チャド カナウスは
「史上最も馬鹿なコーションだな」とばっさり。
 タイヤを思いっきり痛めつけたケンゼスにとって良いことか悪いことかは
微妙なところでしたが、これで微妙に歯車が狂いました。
ケンゼスは先頭でピットを出たものの3台がステイ アウトを選択。
ステージ残り8周のリスタートでステイアウト組に挟まってしまい、
カイル ブッシュにリードを明け渡します。
 それを追ったのがラーソン。この2人は選手権2位を争っており、
あんまりG+では言ってませんがレギュラーシーズンの順位に応じても
プレイオフ ポイントが付与されるので、このステージの1点と併せて決して
軽くはない順位争いです。
 見た感じラーソンの方が進入での動きが良く速そうで、ブリストルでは
逆の立ち位置でカイルがラーソンをバンプしていたので、今回やり返すかと
期待していたんですが、ラーソンは優等生なので無理はせず、結局カイルが
ステージ1を制しました。
 ロングでのペースが良さそうなボイヤーが3位、ケンゼスは4位。
ケンゼスとしたらボイヤーに勝たれるとマズいところです。

 しかしステージ間のピットでボイヤーのクルーが痛恨のミス。
オーバー ザ ウォール トゥー スーンで後方に下げられてしまいました。
非常にもったいなかったです。

 ステージ2、ライアン ニューマンだけがステイアウトを選択。
カイルがすぐにリーダーになりますが、これをラーソンがすぐに抜きます。
やはり回頭性が高そうです。
 しかしこの後レースはコーション フリー。徐々にロングでの地力の差が
現れ始め、129周目にカイルが再リード。
 しかしそのカイルよりもさらに優れた安定性を持っていたのはやはり
マーティン トゥルーエックス ジュニア。
153周目にカイルを抜くと、結局コーションが出なかったこのステージを
そのまま制しました。
 ラーソンはタイヤの劣化が早いようで時間と共に順位を落としていき
ステージ6位、そのすぐ後ろにはジュニアが来て7位。
ジュニアは珍しく車に満足しているようで、ロングにはそこそこの強さがありました。
 ケンゼスは2位まで挽回しましたが、ジョーンズが3位、ロガーノが4位。
彼らにもチャンスがあります。
 また、ニューマンはステイアウトですぐ抜かれて失敗のように
思われがちですが、ステージを9位で終えています。
最初の数周では新品タイヤ相手に成す術はないですが、落ち着いて来れば
10周程度の履歴差は大きな差にならず、ステージ1終了時に31位だったところから
大幅に上げており、作戦は大成功しています。
タイヤのセットも温存できたので、良い戦略だと言われていました。

 さて、ステージ間のピットではジョーンズ陣営が作業に手間取り
3つ順位を落としました。今回ジョーンズに期待していた私としてはこれは
かなりガッカリ。逆にロガーノが3位でコースに戻ります。

 そしてステージ3.強すぎるトゥルーエックスに後続は付いていくことができず。
 256周目、ここでレースに大きく影響する出来事が起きます。
ダニカさんがオースティン ディロンに当てられてスピン。
さっきケンゼスと絡んだ場面と似ていると思いましたが、どうやら
この前にダニカがディロンを押して順位を上げていて、その仕返しの意味が
大きかったようです。ダニカはトップ10を狙える好走でしたが残念。
この後来季の話が出てきましたが、後ほどまとめてお伝えします。

 で、何が大きかったかというと、まずトゥルーエックスはピット作業に
手間取った上に、今日は毎回目の前のピットのロガーノが邪魔で4位に後退。
 そして最大の事件はピット入り口で起きていました。
なぜかピットへの導線上に救急車が停止しており、驚いた車が急減速し
玉突き事故が発生。ケンゼスがボイヤーに追突し、ラジエーターを壊した
ケンゼスはこれでリタイア。ボイヤーは弾みで前にも追突して前後を
破損し修復作業でまた順位を落とす羽目に。

ボイヤー「バカか!!!!ダメージ食らっただろ!!!!!」

 見た感じ、救急車はピット内からコース内側へ退出しようとしていたら、
ピットがオープンになって車が来てしまったので慌ててコミットメント ラインの
手前で停車したように見えました。いずれにしても完全に
連係ミスで、しかもこれが初めてではないので、きちんと手順の確認が必要です。
複数の車が接触を避ける単にコミットメントラインを完全に無視しましたが、
ペナルティーは取られなかったようです。当たり前ですね。

 これでボイヤーが勝てる目も無くなり、あとはジョーンズとロガーノ次第。
263周目にラーソンを先頭にリスタートしますが、286周目には
トゥルーエックスが抜いてまたリーダーに。止められません。


 残り約140周でのリスタート、燃料的に1ストップ必須、ということで
アンダーカットを狙う人から早めのピット サイクル開始。
ケビン ハービックは残り88周とかなり早いタイミング。
ロガーノもアンダーカット組に加わります。

 ジョーンズは残り67周と半分で割った標準的な作戦のグループに。
ただ今回も作業があまり早くありません。先週は良かったのになぜだっ・・・!

 そして、引っ張ってコーションを祈る組になったのがジュニアとボイヤーでした。
とにかく待てるだけ待ちます。解説の福山 英雄は
「先に入った人が周回遅れからラップ バックしてしまったら、
今からコーションが出ても結局自分が入って後ろに戻るから意味が無くなる」
と言っていましたが、先に入った人も10周以上していればまず間違いなく
入って4タイヤなので、作業がスムーズならコーション発生時の順位で
リスタート可能で、意味が無いわけではないです。

 ジュニアが「コーション出ろ!」と叫んではいないでしょうが、結局
神様は味方してくれず残り43周でピットへ。
 サイクルが一巡するとトゥルーエックスがリーダーに戻り、もうお客さんも
見どころを失った感がある展開。しかし残り4周。なんとコーション発生。
デリック コープが壁に当たったことが原因でした。
 正直車もそんなに壊れてないし部品も飛んでないし、破片も散らばってないし、
コーション不要な事故でしたが運営は空気を読むことを優先した模様w

 ここでステイアウトという選択は取りようがなく、全車4タイヤで
ここでラーソンがトゥルーエックスを逆転します。

 そしてオーバータイム、番狂わせの筆頭、3列目イン側からリスタートした
ジョーンズはギアでも入れそこなったのかという大失敗でリスタートした瞬間脱落。
 2位以下が小競り合いとなって、気づけばラーソン、トゥルーエックスに
4列目リスタートのハムリンが続きますが、最終周のターン1でそのハムリンが
トゥルーエックスに接触しトゥルーエックスまさかのクラッシュ。
これでコーションとなり、ラーソンの今季4勝目が確定しました。

トゥルーエックス「何で当てられたんだよ。ちゃんと場所開けてたのに」
クレイトン ヒューズ(スポッター)「そうだよな」
ハムリン「すまない、突っ込みすぎた」

ハムリンは自分のミスを無線で認めていました。

 これでラーソンは選手権でも2位となりボーナスを得ました。
気付けば2位だったロガーノですが、前が崩れた結果であって
最初から勝てる位置にいたわけではなく、惜しいとも言えない結果。
しれっと混乱をすり抜けたニューマンがなぜか3位フィニッシュです。

 これでプレイオフに進む16人と保有ポイントが確定。
次戦シカゴランドから、チャンピオンを争いプレイオフが始まります。
プレイオフ ポイントがどのぐらい効いてくるのかがいよいよ分かります。