Monster Energy NASCAR Cup Series
I Love New York 355 at the Glen
Watkins Glen International 2.45miles×90Laps(20/20/50)=220.5miles
winner:Martin Truex Jr.(Furniture Row Racing/
                                          Furniture Row/Denver Mattress Toyota Camry)

 MENCS at the グレン。今季2度目のロード コース戦はチケット完売。
3年連続だそうです。
 しかしレース内容がその満員のお客さんの期待に応えられたかは
微妙なところ。マーティン トゥルーエックス ジュニアが燃費レースを制して
今季4勝目でしたが、波乱なく2時間7分3秒でレースが終わりました。

 PPはカイル ブッシュ。3戦連続で、なおかつ今週もXfinityを制して
週末スイープを狙う勢い。お隣はカイル ラーソンでおなじみカイルカイルです。
何台か予選後にブレーキ交換で後方スタートの車も発生、
ブレーキに非常に厳しいコースです。
 車載映像を見ていると、リフト&コーストしてるのかと思うぐらい
コーナーの遥か手前から減速しているのを素人でも感じますが、
それぐらいしないと止まらないぐらい車が重いしブレーキが効かないんです。

 今回の放送、NBCがなぜか変に張り切って、S字脇、カルッセル脇、
ターン6脇の3か所にリポーターを配置してローテーション実況するという
変なスタイルを取っていましたが、正直落ち着かないので普通でいいです^^;

 スタートで抜け出したカイル、車の調子は万全な様子で逃げにかかります。
いつもこれでタイヤを傷めるのであんまり逃げない方が良いと思いますが。
 一方ロードコースで勝ちたいA J アルメンディンガーは2周目のターン1で
突っ込みすぎたのか姿勢を乱し、8位から大きく順位を落とします。
アルメンディンガー、今日は「ここ4~5年で最も車に苦労」した
週末だそうで、あまり見せ場なし。結局9位フィニッシュで、
チーム力からすれば上々ですが、勝たないと意味がない立場でこの順位では
何の感想も持たなかったことでしょう。

 カイルから離れているものの2位にはトゥルーエックス、ラーソンは
タイヤが苦しそうで後退していきました。ラーソンもロードで結構
速いけどタイヤのマネージメントがまだまだな感じ、というかCGRの
車のセット自体がロングに向いたセットを持っていないのかもしれません。

 このステージで健闘したのは5位のエリック ジョーンズ。
長い時間ブラッド ケゼロウスキーを抑え続けました。
結局抜かれた上にブレーキを酷使してシケインを通過で大きく順位を
下げてしまいましたが、ロードが下手な選手はたいてい後ろからつつかれると
どこかで操作が荒くなって道を空けてしまうので、そうしたミスなく
車の状態なりにペースを維持したあたりに才能を感じました。

 ステージ終了前には、ここでピットに入る作戦をするチームが多く
中団以降はピット大忙し。ペンスキー陣営は替えた前輪をボンネットの上を
転がして渡すという業をいつの間にか手にしたようです。
うっかり強く置いて凹ましたりせんだろうかw
 結局ステージ1はカイルが勝ちました。

 ステージ間コーション、ここでなんと先にピットに入った組は当然として、
まだ入ってない中からもチェイス エリオット、ラーソン、
ジェイミー マクマーリーがステイ アウト。
ラーソンはあのタイヤの様子なら入った方がよかった気がしますが。
 そして、カイルはなんとホイールが締まっておらず再ピット。
確認したいというチーム側に対し「1000%自信ある」とピットを強く推奨。
タイヤを替えてみてビックリ、外したナットがブレーキ キャリパーと
ホイールの間に噛み込んでいたせいでちゃんと締まらなかったそうです。
 これはミスというよりは不運ですが、カイルさん後退。


 ステージ2、ステイアウト組は燃料があまり入っていないので
ピットへと消えていくと、リーダーはダニエル スアレスに。
スアレスはステージ前ピット組では最も上位にいて、そのままの位置を
維持していました。
 ステージ終盤にはトゥルーエックスが容赦なく攻め込んできましたが、
これをブロックして退けスアレスがステージ初優勝を果たします。


 このステージ間コーションでは、上位勢はまたもステイアウト選択。
どうせステージ3は1ピット必須で15周もすればウインドウが開くので
『ステージ2~3の70周を1ピットで走る』という考え方です。
 ステージ2終了前に入った組=コース上で比較的タイヤが新しいのは
16位のケビン ハービックが最上位。
見てるお客さん、レースの状況分かるのかな・・・?

 
 45周目、ステージ3スタート。力量差は圧倒的で、トゥルーエックスが外から
ターン1で抜いて行きます。こりゃあライバルもいないし独走だな。
 中団ではシケインでカイルとケゼロウスキーが接触。
外から仕掛けたカイルに、ケゼロウスキーが縁石で跳ねて当たってしまいました。

ケゼロウスキーのスポッター・ジョーイ マイヤー
「こっちが悪い。既にそう思ってるやつが1人いるだろうけどな」

 ケゼロウスキー陣営って本人にしろクルーにしろ、ミスはミスと
潔く言ってるケースが多い気がします。
 これでカイルはまたピットへ向かい再度の後退。ケゼロウスキーも
バイブレーションを感じて数周走った後結局ピットへ。

 ところがその直後、ランドン カッシルの左前輪が外れてしまい
コーション発生。実質今日の初コーションです。
 スウェイバーが壊れたと言っているので、トラブルが原因でタイヤが
壊れたかもしれません。
 ハービックはピットに入ろうとしたら直前にコーションで断念。
たぶん、ターン1を曲がり損ねてからデブリーを撒くまでに時間があったので、
コーションが出るに違いないと賭けに出て、ちょっと間に合わなかったんでしょう。

 ここでケゼロウスキーを除いて全車ピットへ。
クリント ボイヤーとマクマーリーが燃料のみのギャンブル。
ケゼロウスキーがステイアウトでリーダー、その後ろにこの2人が続きます。
 一方ハービックはボックスを出ようとして混乱に巻き込まれ車体損傷。

 出る人と入る人が複数重なると予期せぬ動きになります。
ハービック、今日は17位フィニッシュでした。

 レースは残り36周でリスタート。燃料は燃費走行しないと足りない距離で、
コーション前に入ったケゼロウスキーは絶対足りません。
 リスタート後のカイル
「プランを変更するぞ、気を付けていけよ」という指示に
「プランなんかねえだろ、もう作戦台無しになってんだからよ」
と怒りつつ、ダニカ パトリックをターン1で跳ね飛ばして猛追。
見るからに「お前邪魔だからどいて」という感じの接触でしたが、
ダニカは当然激怒。放送できない単語が多すぎて翻訳不可w

 燃費レースの雰囲気ですが、当初ケゼロウスキーを含む多くの陣営は
「誰も最後までは走り切れない」と考えていた模様。
ケゼロウスキーに対しても「走り切れないから気にせず攻めろ」
と指示が出ていました。
 そんな中で63周目にトゥルーエックスがケゼロウスキーを抜いてリーダーに。
一旦引き離しにかかりますが、残りが15周となるころからケゼロウスキーが
また接近。どうやらトゥルーエックスは燃料節約に入った様子です。
 結果、76周目に再びケゼロウスキーがリーダーに、ライアン ブレイニーも
トゥルーエックスを捉えます。
この2台は給油前提の様子、一方トゥルーエックスの後ろにいるボイヤーは
走り切るつもりでいるようです。
 残りの距離とピットでのロスを考えると、全員ガス欠にならない限り
勝つには走り切るしかなさそう。

 トゥルーエックスは無線で、相手と争うのか行かせてよいのかを確認しつつレース。
一方ボイヤーのスポッター・ブレット グリフィン
「いい知らせは我々はとても速いということだ。そして悪い知らせは、
 78の方がちょっと速いことだ」

 結局ケゼロウスキーは87周を終えて、これでリーダーとなったブレイニーも
続く88周でピットに入り、トゥルーエックスがリーダーに。
悲しいかなケゼロウスキーは他人のピットを3つ以上またいだので
ペナルティーの裁定が下ります。

 とても速いと言っていたボイヤーも燃料なのかペースなのか、
マット ケンゼスとダニエル スアレスにコース上で抜かれていたようで、
トゥルーエックス、ケンゼス、スアレス、ハムリン、という並びで
いよいよ最終周へ。
 ケンゼスは勝てばプレイオフ バブルから脱出できるので、
トゥルーエックスが燃料切れなことにして八百長でケンゼスの優勝でも
いいかな、という感じで、なおかつトゥルーエックスはうっかりターン6の
ブレーキングで失敗しましたが、それでもトゥルーエックスはリーダーを
譲ることはありませんでした。


 トゥルーエックスは散々バーンナウトをやった上にビクトリー レーンまで
自走できていたので、結構燃料が残っていて、あくまで抜かれないギリギリで
念押しに節約していただけだったのかもしれません。
 逆にケンゼスは、もっとポイントが離されていて勝たないとプレイオフに
出れない立場ならガス欠覚悟で攻めることもできたでしょうが、
現状ポイントでも出れる位置にいて、争うライバルのボイヤーが近くにいるので、
ガス欠でポイントを失うわけにはいかず、多少ゆとりを持たせる必要が
あったのでもうひと勝負は仕掛けづらかったと思います。
 スアレスはステージ勝利&3位フィニッシュと自己最高のレース。
うまく走っていたと思います。


 勝ったトゥルーエックスはプレイオフ ポイントを34まで上積み。
ポイントでも116点差のトップ。2位はラーソンからカイル ブッシュへと
代わりました。
 ちなみに、トゥルーエックスはステージ順位で挙げたポイントだけで
295点取っているそうですが、これは選手権29位の
デービッド レーガンがシーズンを通じて得ているポイントより19多く、
同28位のダニカさんより30少ないだけです。


 それにしてもこのレース、波乱が特に起こらず淡々としていました。
最も車が激しく壊れたクラッシュはピット上で起こっていて、
コーションは単独で起きたトラブルだけ。
 リスタート直後のS字で多重事故が起きるであろうと期待していたファンは
特に何も起きなくて残念だったかもしれません。
 ソノマでも書きましたが、ステージ制とロードコースはやっぱり
相性悪いと思います。来年からロードコース戦はステージ制から
除外してはどうでしょうか。

 次戦は5週間ぶりに高速オーバルのミシガンです。