Monster Energy NASCAR Cup Series
Overton's 400
Pocono Raceway 2.5miles×160Laps(50/50/60)=400miles
winner:Kyle Busch(Joe Gibbs Racing/M&M's Caramel Toyota Camry)
MENCS at ポコノ―。今回予選・決勝同日開催のスケジュールで、
土曜日に2度の練習走行、日曜日午前11時半から予選で、午後3時に
決勝というスケジュールになっています。
まず最初に、時系列が前後しますが悲しいニュースを1つ。
昨年までカップにエントリーしていたHScott Motorsportsのオーナー、
ハリー スコットが亡くなりました。51歳でした。
死因は明らかにされていませんが、家族は声明で
「昨日8月2日、ハリー スコット ジュニアが突然この世を去り大変
ショックを受けています。ハリーは家族思いで、成功した
ビジネス オーナーとして記憶に残るでしょう。
皆様どうか、ハリーの笑顔、寛大さ、優しさを心にとどめて
いただければと思います。葬儀の日程については後日お知らせいたします」
としました。HScottの51番、Brandtスキームのシンプルな赤のカッコよさと、
意外と速いんじゃないかという見立てから、ジャスティン オールガイアーを2年ほど
応援していた私としては残念なニュースでした。
さて、時間をレースに戻します。
前戦ではカイル ブッシュとマーティン トゥルーエックス ジュニアが
まさかの接触でカイルはまた優勝を取り上げられた格好ですが、
それでもめげないカイルは今日もまたPPスタート。
そして今度こそ、今季初優勝で長い長いトンネルを抜けました。
予選2位はトゥルーエックスで因縁の2人がスタートから顔を合わせますが、
さすがにターン1はトゥルーエックスやや遠慮がちな雰囲気。
そして1周目のターン3、マット ケンゼスがスピンしていきなりコーション。
ケンゼスは無傷だったものの、周辺がとばっちりを受けてしまい、
エリック アルミローラはフロント大破でガレージへ。
コース上のやたらと泥がまかれたせいもあってか、8周目にようやく
リスタートが切られます。
リスタート後はカイルが逃げ、トゥルーエックスはやや離れて走行。
オルタネーターの問題がある模様ですが、止まることはありませんでした。
レースは6月のレースと同様、まずは50周をどう区切って、ステージ2を
どこでリスタートしたいか、という観点のレース。
多くの車は22周までにピットを終え、ただ一人入らずに粘ったのは
1周目にやらかしたケンゼス。ケンゼスはグリル掃除ついでに自分で出した
コーションで給油していたので距離を延ばすことができ、
残り4周まで引っ張ってのピット&ステージ終了後ステイ アウトで
リーダーでステージ2を迎える考えです。
そもそも15位スタートなので、なんか混乱を利用して順位を上げた気がしますね。
結局ステージ1はカイル制圧、トゥルーエックスが2位で、3位以下は
15秒ほど離れてしまう2台だけのレースでした。
ステージ2、狙い通りリーダーでリスタートのケンゼスをトゥルーエックスが
押しまくります。ただ、ターンでよろけるケンゼス。そんなに
バランスは良くなさそうです。
ターン3では遠慮がちかと思ったトゥルーエックスがカイルのインを
うかがう動きを見せていてどうやら八百長する気はないようだと思わせますが、
インを開けたカイルはなんとそのまま外ラインでケンゼスをあっさりパス。
外から抜きに行ったというよりは、当たりたくないから外ラインを
走らされたら、ケンゼスが遅いもんだから抜けちゃった、みたいな感じに
見えました。
そしてそれから間もない58周目、ターン3でジミー ジョンソンが
ケイシー ケインに押されてスピン。こちらはリアを壁に当てて再起不能です。
ケイン、前回勝てたんでちょっと強気でしょうか、ジョンソンがインを
見てなかった感は確かにありましたが。
残りが40周程度ということでここで給油をする人も現れますが、
70周目にデブリー発生、原因はカイル ラーソンから飛び散った部品でした。
ドライブシャフトか何かが壊れたようです。
ラーソンはTargetのスポンサーが今季限りになると情報が出ています。
ターゲットとチップ ガナッシ レーシングの付き合いは長く、
インディーカーでも何度もタイトルを獲得していて、もう
『カルソニックインパル』みたいな感じで『ターゲットチップガナッシ』と
一体の存在にすら思えていますが、昨年限りでインディーカーの方は
撤退しています。小売店の大手で決算内容はアメリカ経済の体温計のような
役割も果たしていますが、amazon等ネット系企業との競争が激化しています。
さて、このコーションで、さっき入って燃費レースを狙った組の
目論みはズレてしまいほぼ全車ピットへ。
デニー ハムリンとオースティン ディロンだけステイアウトで75周目にリスタート。
ハムリンをカイルが狙いますが、カイルは突っ込みすぎたのか
リスタート2周目に滑って後退。するとこの後なかなか追い上げる雰囲気が
ありません。私はこう思いました。
「今日のカイルはクリーン エアー番長に違いない・・・」
これでしばらくはレースをリードしたハムリン、ここでは
再舗装される前まではものすごく速かったんですが、再舗装後はなぜか
勝てていません。90周目にトゥルーエックスがハムリンを抜いてリーダーに。
しかしこの後、97周終わりで多くの車がステージ3狙いでピットへ飛び込み
中津行きの列車で梅田駅を出た後みたいに人がいなくなります。
結果3位だったクリント ボイヤーがリーダーになり、完全に
他車の戦略でもらった順位ですがステージ初優勝。
ブラッド ケゼロウスキーに次いで3位にダニカ パトリック。
ボイヤーはポイントでプレイオフの枠を争う位置なので、10点は
結構大きいです。たとえ中津まででもとりあえず椅子に座っておいて
楽してから後続の千里中央行きに乗る作戦でしょう。
これでたまたま椅子が空いてたらさらにラッキーなんですが。
ステージ3はさっき梅田で下りた人がまた前に来るので
トゥルーエックスとハムリンが1列目。トゥルーエックスを
ハムリン、カイルが追っていきます。
ここでもやはり60周、厳密には55周のステージをどう割るかになりますが、
残り37周というウインドウギリギリでケンゼスがまず動くと、
当然アンダーカット阻止でハムリン、トゥルーエックスへと波及。
ところがカイルは無反応。レース後のコメントによると、クリーンエアーを
受けて走れば中古タイヤでもじゅうぶんな速さがあるので
集団に戻るよりもリーダーで距離を走ることが得策だと考えたようです。
やはりクリーンエアー番長でした。
一方その頃、プレイオフ当落線からじわじわ置いて行かれている
ジョーイ ロガーノにはピット速度違反のペナルティー、
しかし暑さでボケていたのか、クルー チーフのトッド ゴードンは
なぜかピット通過時に作業を行うよう指示。当たり前ですが
ペナルティーは単独で実施しないといけないので、さらにもう一度ピット通過。
ロガーノ、まさかの27位でポイントでの進出が遠のく一方。
もし石見 周が解説だったら
「ロガーノなにやってるんだよ~。ほんとにね、なんつーか、
あのペナルティーでモーメンタムを失って戻らないって感じですね」
と言っているであろうことが容易に想像できます。
引っ張ったカイルは残り25周、ちょうどスティントを半分に割る感じで
ピットへ。まだ入っていない人がいますが実質4位でコースに戻ります。
引っ張った組にも特にコーションという神の御慈悲はなく、
一方リーダー争いはケビン ハービックがここに来て好調、
ハムリンを抜いて144周目にリーダーになりますが、既に真後ろにカイル。
ターン3で「お前ターン遅いねん!」とでもいいたげに軽く押して
前に立ち、リードを奪い返します。
押されて失速したせいでハムリンにも抜かれるハービック。
怒ってるかと思ったらレース後はまあさばさばした感じ。
このぐらいの経験者になると、どっちみちカイルに勝てないのは分かってるから
気にしないのね。逆の立場の時にはやり返すだろうけど。
カイルがぶっちぎりのレースになりますが、なんだかG+の放送時間は
余り気味。まだもう1コーション?と思ってしまう悪い癖。
しかし何も起きずに残り4周。ここでケンゼスの車から一時
白煙が上がったので、これがコーションになるのか、と思ったら
すぐに消えて何も起こらず。
結局放送時間が余ったまま、カイルは最終周へ突入。
2位ハービックに6秒近い差を付けてカイルがポコノ―を制圧。
ボイヤーはステージで10点もらった上で6位、しかしケンゼスも9位で
ポイント16位のケンゼスと17位ボイヤーの差は17。
ここはまだまだ分からなさそうです。
ダニエル スアレスが新人最上位の7位、しかしエリック ジョーンズも
8位で続き、新人王争いではスアレスがジョーンズを22点リードです。
カイルは今季ようやくの初勝利で通算39勝目、
昨年のインディアナポリス以来36戦ぶりの勝利で、これは
自身のキャリアで最長のブランクでした。
そしてトヨタにとってこれがカップ戦通算100勝目。ご存知の通り
トヨタのカップ戦初勝利を挙げたのもカイルです。
そしてカイルはポコノ―で初勝利で、これで現行開催トラックで
未勝利なのはシャーロットのみ。
計22トラックでの勝利は現役最多で、仮に開催全トラックで優勝すると
史上4人目の快挙となるそうです。
内訳で言うと、リッチモンドで4勝、ブリストルで5勝、フォンタナで3勝で、
他は全て1勝か2勝という星取表になっています。
なお、兄のカート ブッシュは2018年の契約延長オプションが行使されず
FA選手となったということです。
同日開催がどうだったのかはテレビで見ていても何も分かりませんが、
そもそもここで2戦やるならどっか他に無いのか、あるいは
時期をズラせんのか、というのが正直なところ。
作戦レースから初優勝が生まれる意外性はありますが、
今日もそうでしたがレースとしてはやや単調になってしまう感は否めません。
次戦はロード コースのワトキンスグレンです。