Monster Energy NASCAR Cup Series
GEICO 500
Talladega Superspeedway 2.66miles×188Laps(55/55/78)=500.08miles
winner:Rickey Stenhouse Jr.(Roush Fenway Racing/
                       Fifth Third Bank Ford Fusion)

 MENCS at タラデガ。今季2度目のリストリクター プレート レースです。
予想の出来ないレースの結果がネタバレしているという最悪の環境でしたが、
勝ったのはリッキー ステンハウス ジュニア。全米のファンが
「わしらが勝ってほしいのはそっちのジュニアちゃうわ!」と突っ込みが
来てそうですが、通算158戦目で悲願の初優勝。
 初優勝をタラデガで挙げたドライバーは歴代で11人目だそうです。

 NASCAR.comは今年リニューアルされて、旧来のレース センターから
新しい仕様のレース センターにデザインが変更されました。
しかし私は旧デザインの方が使いやすく、カレンダーからリザルトを選ぶと
旧仕様に飛べるので毎回遠回りしてアクセスしていました。
 が、このレースで同じことをやったら新仕様にリンクが張られていました。
しかし、他レースのURLを参考にレース名だけ書き換えてみたら、
ちゃんと旧仕様にアクセスできました。


見比べると階層の立て方が違うんですね。ていうか、どこにもリンクがつながっていない
旧仕様のページがなぜきちんと更新され続けているのかも謎なんですが、
このURLを基に、最後のイベント名の部分だけ『go-bouling-400.html』にしたら、
ちゃんとカンザスのレースの旧仕様ページに入ることができます。
旧来のデザインが好きな方は参考にしてくださいw
 ハイ、全く関係ない話でしたね、でも日本人で何人が知ってるのかすら
分からんことを見つけてどうしても言いたくてねw


 まず、前戦リッチモンドで勝ったジョーイ ロガーノですが、レース後車検で
リアのサスペンションに違反が発覚。L1という重い部類のペナルティーで
記録上の優勝こそ残るものの、この勝利はプレイオフ進出のための勝利としては
認めず、さらにドライバー/オーナー ポイント25点減点、プレイオフ ポイント5点減点、
クルー チーフのトッド ゴードンには罰金$5万と2戦出場停止、
とかなりの処分を食らいました。
チーム ペンスキーはブラッド ケゼロウスキーもやはりリアのサスペンション違反で
ペナルティーを受けて、ちょうどこのレース前に控訴が棄却されたところです。

 さて、タラデガのレースに戻ります。PPはステンハウス、並ぶのは
デイル アーンハート ジュニア。これで3位がもし
マーティン トゥルーエックス ジュニアだったら、モータースポーツ史上で
ジュニアという名前の人が予選1~3位なんて過去にあるのかと聞きたくなりますが、
残念ながら(?)ブラッド ケゼロウスキーが3位。ケゼロウスキーはタラデガを
近年最も得意としており、ジュニアをして
「今リストリクター プレート レースで一番強い」と言わしめるようです。

 ステンハウスはレース序盤を落ち着いてリード。15周目にカイル ラーソンが
僚友のジェイミー マクマーリーに押されて壁に当たり、これがきっかけで2周後に
最初のコーションが出ます。
ステージ1と2は無給油では7~10周ほど燃料が足りない距離なので、
ここで全車給油に向かい、多くは給油のみの作戦です。

 この後のステージはケゼロウスキーが主導権。ステンハウス、ロガーノと
フォード系ドライバーが好調で、ここ数年のトヨタ無双はどこへ行ったのやら。
 デイトナ500ではステージの最後にピットに入っておいて次のステージを
先頭で始める作戦が見られましたが、ステージ1残り3周、デニー ハムリンが
一人でピットへ。またJGRが仕掛けたのかと思われましたが、
ひどいバイブレーションを訴えたハムリンが、周回遅れのリスクを承知で
思い切って入ったというのが真相です。
 すると次の周、結果から推測すると、ハムリンのアシストのためにチームが
急きょ決めたのかもしれませんが、チームメイトのマット ケンゼスと
ダニエル スアレスがピットへ。しかしケンゼスは問題が発生したのかスロー走行で
周回遅れに。さらに、この2台、リーダーのケゼロウスキーが残り2周となる
スタート/フィニッシュを通過した後にピットに入ったためピット クローズ中の
作業となりペナルティーまで受けてしまいます。2.8秒遅れでした。

 ステージ2は結果的に賭けに勝ったハムリンがリーダーでリスタート。ちょうど
後ろにカイル ブッシュ、隣にトゥルーエックスがいるので走りやすいのも好都合です。

 ステージ2の27周目、リード ソレンソンのタイヤが壊れて壁に一直線。
ほぼ単独走行だったので巻き添えはいません。
ここは給油のみ、2タイヤ、さらに4台がステイ アウトとやや選択が分かれました。

 リスタート後は大きな波乱なく進行、ステージはハムリンが制し、
これが初のステージ勝利、そしてケンゼスがただ1台だけ残り3周でピットに入り、
彼がステージ3をリーダーとして迎えることになります。

 ステージ3は序盤こそハムリン、ケゼロウスキーの争いでしたが、
徐々に各陣営が順位争いを本格化、ケビン ハービックやジミー ジョンソンも
リーダーに立ちますが、この時点では上位に付けて無傷で走れば
リーダーである意味はさほどありません。

 レースが残り45周、ピット ウインドウが開くとじわじわと車がイン側に集結、
まずはジョンソンを先頭にシボレー系8台、次の周にJGR系をはじめとした8台、
その次の周はJGRの3人を含む5台が入ります。JGRとFRRは一斉に入った方が
良い気がするんだがなぜ微妙にズラしたんでしょうか。おかげで各集団が
やや小規模です。
 ちなみにここのピット制限速度は55mph。ターンでも185mph以上
出ていますから、約300km/hで走行する、ダウンフォースの効いてない、
真っすぐ走らないセットの、小さいホイールに収まる小さいブレーキしかない、
しかも一切踏んでないから冷えてるブレーキで、約90km/hまで一発で
減速しないといけない、と改めて考えると、たったピットに入るという1つの
出来事であってもNASCARドライバーに求められる技能が特殊であることが分かります。

 第3グループのピットから4周後、リーダーのロガーノを含むフォード系のみなさん等
13台がピットへ。他のグループは2タイヤがほとんどでしたが、このグループは
4タイヤ交換を行っています。
ちゃんと事前にすり合わせておかないと、他が4なのに自分だけ2でも結局
ドラフティングが使えないので追いつかれて全く意味がありませんからね。
これで大幅に遅れている人を除けばピットは終了。
で、バランバランのタイミングで入った人が、、、結局1つのパックに集約。
ただトップ3はカイル、ハムリン、トゥルーエックスで、トヨタ系の集団が
ちょっと得をしたようです。

 と、状況を整理するのもつかの間、ライアン ブレイニーが壁に当たって中破。
前に周回遅れでペースが遅いグレイ ゴールディングがいたために、避けようと
インにラインを変えたら、ケゼロウスキーが同時に外に動いて接触、
さらに後ろにいたステンハウスに追突されてとどめを刺されました。
ステンハウスはここで右前のフェンダーにダメージを受け、勝てる雰囲気には
思えませんでした。

 166周目、残り23周でリスタートとなれば、そろそろみんな無茶をする頃。
上位にA J アルメンディンガーが上がってきています。
スーパースピードウェイ観戦の鉄則、さっきまでいなかった人、
あんまり得意じゃない人が上位に現れたら何かあると思え(※あくまで個人の感想です)
ハービックに押されるAJがふらふらしてるので危ねえなあと思っていたら、
事件はその逆で起きました。
AJがチェイス エリオットを変な角度で押したせいでエリオットが姿勢を乱し、
そこにAJがとどめの一撃。そして結局やらかしたAJの車が横転しました。

ハービックの無線
「ミラーで24と47のルーフの番号が見えたぞ」

 ダニカ パトリックも回避しきれず壁へ突っ込み大破
解説の福山 英雄が「あくまで個人的な感想だけど今年で辞めるんじゃないか」
といった話をされていましたが、実際向こうでもそういう観測は出ているようです。
チームメイトのクリント ボイヤーの無線
「10番があっちこっちぶつかってた。彼女ここでは毎回派手にぶつかってるな」
 このクラッシュで18台巻き添えでもちろん赤旗中断。約27分間続きました。

 残り15周でリスタート、25台ぐらいしかいません(´・ω・`)
さらにリスタート早々ランドン カッシルの車から白煙、さらに
3位の位置からいよいよジュニアが仕掛ける!お客さんの興奮マックス!!!
になるはずが、その瞬間ジュニアさん失速。ホイールがちゃんと締まってないとかで、
スペーサーを入れてどうのという話をしています。さっきまで大丈夫だったのに、
色んな動きをしてるうちに取り付け部分が傷んでちゃんと締まらなく
なったんでしょうか?

 上位勢は残り10周、動きが激しくなり、お客さんはバトルを楽しみつつ、
次のクラッシュに期待していたと思いますが、ここでコーション。
さっき白煙を上げてたカッシル、ものすごく遅い速度でガレージを目指していましたが、
ここでとうとう推進力を失い、コース外への退避に失敗。イン側のエスケープ領域
とはいえ、事故が起こってこれに当たると危ないので止むを得ません。

 残り7周で仕切り直し、カイルがまた好スタート。タラデガで蹴り出しが良くても
結局は追いつかれるんですが。
しかしカイルは右に左に動きながらリードを維持、とうとう残り3周まで来ますが、
ここでまたアクシデント発生、ライアン ニューマンがすっ飛んでいきました。
 カイルの奥様、サマンサ ブッシュ、本日も旦那の勝利が邪魔されてお怒りのご様子。
これでオーバータイムです。今年3回目。
オーバータイムについては、当ブログのNASCAR用語 < あ行 をご覧くださいw

 リスタートはカイルとステンハウスが1列目。また蹴り出しはカイルでしたが、
ステンハウスはジョンソンに押してもらって加速。
ここからカイルとサイド バイ サイド、サイド ドラフティングの応酬となり、
いよいよ最終周、ここでジョンソンがステンハウスを一押し。
2番手=最後の勝負できる位置を賭けてジョンソンとカイルが争っていたら、
その間にいきなりマクマーリーが入り込んで抜けていきます。ビビりました。
無茶な動き出し、誰もぶつからずに普通にレースしてるし( ゚Д゚)
 ただ、間をすり抜けてこともあって、抜いた後互いにやや抵抗が増える形となり
ステンハウスを逃がすことに。
最後はフロントストレッチでステンハウスが右に左に鬼ブロックライン。
やりすぎて自爆しないか心配でしたが、そのままチェッカーを受けました。


 2013年以降はカップにほぼ専念のステンハウスはXfinity Seriesを含めても
2012年秋のカンザス以来のビクトリー レーン。
RFRにとっては2014年のソノマでカール エドワーズが勝って以来の優勝です。
 ガールフレンドのダニカさん、ステンハウスの優勝について
「私はバスで荷物をまとめてるところだったけど、予感がしていたの」
「彼は予選でポールを取ったけど、(序盤の13周を)リードしていた時には、
 このままリードし続けるか、何か悪いことが起こるんじゃないかと思っていたわ」
「でも何かを起こすんじゃないかと感じていた。とってもいい日よ」
「彼がカップ シリーズに参戦するまでにどれだけの成功を収めてきたのかも
 よく知っているわ。もう何年も待ち続けていたような安堵感ね、でも、
 お互いに、少なくともこの1ヶ月ぐらい、勝てるんじゃないかと思っていたの。
 彼を誇りに思うわ」
といった事を語ってくれました。一応G+に合わせて女性口調にしてみましたw

 なお、レース後の車検で、4位フィニッシュのエリック アルミローラの
車両に違反が見つかり、これまたリア セクションの違反。
 ドライバー/オーナー ポイント35点減点、クルー チーフの
ドリュー ブリッケンズダーファーには$65000の罰金と3戦出場停止の
厳しい処分が下りました。チームは処分を受け入れると表明しています。
違反がフォード系ばっかりなのが多少気になりますが・・・