誰しも現役を退く日というものは訪れます。
4月26日は、全米のファンにとって最も悲しい会見となったかもしれません。
ヘンドリック モータースポーツのNo.88 デイル アーンハート ジュニアが
今季限りでのカップ シリーズからの引退を表明しました。


 会見を開いたジュニアによると、チーム オーナーのリック ヘンドリックに
話をしたのは約1か月前の3月29日。
「自分の引き際は自分で決めたかった」とジュニア。
「リックと話す直前に決断したんだ。誰しも引退について考えるけど、
自分はここ数年間はそこまで頭に無かったんだ。でも、一度繊細な問題であると
気付いて以降は、とても真剣に考えないといけなくなったんだ」

昨年、脳震盪の影響でシーズンの後半18戦を欠場したジュニア。
「この数か月間ものすごく考えて、今シーズンを戦えないんじゃないかとも思った」
「レーストラックにいられることはすごく喜ばしいことだ。
 18か月前、自分はtwitterで朝8時半からの練習に文句を言ったけど、
 今はそれが待ちきれないのさ」

コメントからは、やはり昨年脳震盪で入院生活を送り、一時は
まっすぐ歩くことすら難しかった、という経験も要因にあるようです。

「僕の思いは車が好きだ。ドライビングが好きだ。今までと同じように楽しんでいる。
 本当に愛しているものがたくさんあるから、感情的になるね。
 ファンやボスをがっかりさせたくない。いずれここにいなくなると言うのは
 辛いことだ。みんな永遠にここにいたいと思っている。仕事を続けたいと
 思っているから、辞めたくないんだ」

意志としてはまだまだ現役でいたい、でも自分の今後のリスク、
ドライバーとしての走りを考えたときに、今が引き際だと考えた、
と、文面を読んだだけですが私は解釈しました。
体調面で不安が残っていることに関しては明確に否定しました。

ヘンドリックは現時点でジュニアの後任となるドライバーについては
何もコメントしていません。
また、ジュニアは来季Xfinityで2戦にスポット参戦する予定があるそうです。
自身のJR Motorsportsからの参戦となりますが、JRMがカップに
昇格して走ることについては現時点では否定しています。
 
 NASCARの人気ドライバーを決めると常に1位、全米のスポーツ界全体でも
上位に付けるスターの引退はNASCAR界にとって大きなニュースです。
しかし一方で、2001年、彼の目の前で、父 デイル アーンハートは
突然にしてこの世を去りました。その、忘れ形見のような存在として
絶大な人気を一身に背負ってきたジュニアが、脳震盪で一時日常生活に
支障を来たす事態に見舞われた、と言う中で、これ以上事態を悪化させて
父と同じ道を歩ませたくない、と思うのもまたファンとして正直なところでは
ないかと思います。
 非常に残念ではありますが、今後のレースには最後のジュニアの姿を見に
大観衆が押し寄せることになりでしょう。
 なお、ジュニアは通算26勝を挙げていますが、これはチャンピオン未経験者の
勝利数としては歴代6位です。