Monster Energy NASCAR Cup Series
O'Reilly Auto Parts 500
Texas Motor Speedway 1.5miles×334Laps(85/85/164)=501miles
winner:Jimmie Johnson(Hendrick Motorsports/Lowe's Chevrolet SS)

 MENCS at テキサス。テキサスは路面の改修が行われ、
それに合わせてターン1~2のバンクが24°→20°へ低バンク化。
新しい路面のせいもあって、ライン上のイン側半分と、外側半分では
グリップに雲泥の差が発生しており、これがレースを戦う鍵になりました。

 レースは私の推しメン、ライアン ブレイニーがこのレース最多の148周を
リードしましたが、勝ったのはテキサスで最多の6勝を挙げているジョンソンでした。


 波乱は予選から起こっていました。予選前の車検でなんと大量9台の車が
引っかかって予選に参加できず、さらにジョンソンも予選の最後でスピンしたため、
タイムは出ていたものの、決勝に向けてタイヤを交換したため後方へ。
今年から予選~スタートは同一セットでないといけない規則です。
 さらにオースティン ディロンは足回りのトラブルでパレード周回中に
ガレージへ行ってしまいました。

 スタート順位はケビン ハービックとライアン ブレイニーが1列目。
上位5台をフォード車が占め、これは1998年以来のことだそうです。
 新しい舗装ということで30周目にコンペティション コーションが入るという
状況の中、しょっぱなから2度のコーションが発生。
 16周目の2度目のリスタートで外からブレイニーがハービックをまくります。
外ラインはタイヤ一本外れるとグリップしない側にいってしまうため、
全般的に失敗する人が多い中、ブレイニーはこの後もリスタートで
別格の動きを見せます。

 コンペティション コーション後もブレイニーは快走。
いつものパターンならブレイニーがタイヤを使いすぎて、ハービックが
上げてきそうなものですが、今日に限っては真逆の展開。
ステージ終盤、ブレイニーを追い上げたのはマーティン トゥルーエックス ジュニア
でしたが、追いつく前にステージ終了、ブレイニーがステージ初優勝を挙げました。

 ステージ2もブレイニーはゴキゲン。対抗馬のはずのトゥルーエックスは
127周目のリスタートで外ラインを外してしまい順位を爆下げ。
気付いたら2位はジョンソンになっていますが、ブレイニーの好調さが続きます。
ところがこれに水を差したのが、ステージ残り7周で出た6度目のコーションでした。

 ステージ残りわずかでのリスタートが予想されるこのタイミング。
今日はクリーン エアーを得ることが比較的大事で、ステージ勝利を狙うなら
入らないのも手ですが、ここで入らないと、ステージ終了後にはどっちみち
入っておく必要があるので、今入った人にステージ3の開始時には順位を
明け渡すことがほぼ確定します。
 結局上位勢を含む7台はステイ アウト、以降がフル サービスを受けて
残り3周でリスタートとなり、ブレイニーがここも逃げ切りました。

 ステージ終了後、当然ステイ組はピットへ、ブレイニーは先頭でピットを出ますが、
リスタート順位は20位。
正直、この作戦が大失敗だったと思います。

 リスタートはハービックとブラッド ケゼロウスキーが1列目、
ここからはハービックがレースを引っ張ります。
戦略的には残り2回のピットで走り切りたい距離です。
ブレイニーはリスタート後、目の前で他車が混戦となった煽りで
順位を落としてしまい、同じタイミングでピットに入った人たちの中では
後方に沈んでしまいました。
 
 ハービックを追うのはやはりトゥルーエックスが有力なようで、219周目、
ハービックに対してアンダーカットを仕掛け、ハービックも翌周
反応したものの、まんまとアンダーカットに成功します。
 ステージ後にピットに入った組ではジョンソンが最も良い位置に付けています。

 レースが残り62周とぎりぎりウインドウに入ってきたところで、
2位ハービックに4秒近いリードを有しているトゥルーエックスが先に動きます。
ところが万全のはずのピットでジャック担当がうまくいかない痛恨のミス。
むしろハービックにピット後に逆転される結果になりました。

 ブレイニーは受難が続き、せっかく追い上げムードだったのに、
周回遅れのコーリー ラジョーイが目の前で滑っていく手を阻まれます。
怒ったブレイニーは軽く仕返し。

 300周目、ハービックをジョンソンが追い上げていく最中にコーション。
ほとんどの車が右側2タイヤ。
そしてここでもブレイニーはピット作業に手間取り時間を失います。
 自分の1つ手前のボックスに入ったデイル アーンハート ジュニアが
脱出重視で車を右に向けて止めたため、それが邪魔になって綺麗に入れず
ボックスからはみ出てしまった模様。さらに作業もなんだかもたついています。

 リスタートはジョーイ ロガーノとハービックの並び。
ロガーノは前のスティントを思いっきり引っ張っており、
タイヤを替えて10周そこそこだったのでステイ アウトする戦略に出ました。
 今年のレースでは、古いタイヤは容赦なく抜かれていましたが、
ここは路面が新しいせいか2タイヤでも問題なく走れており、
そして無交換のロガーノもまた、リスタート後リードを守ります。

 しかしさすがにそれを許してくれなかったジョンソン、残り16周で
インに飛び込んでリーダーになります。
 ジョンソンにとってありがたかったのは、ロガーノが抜かれた後も
それなりのペースで走ってくれたこと。
 ハービックが抜けずに3位でとどまっていると、後ろからカイル ラーソンが現れ
2位に浮上。このままの勢いでロガーノを抜いてくれると最後の最後に
面白くなったんですが、ロガーノは2位で踏ん張ります。
 普段のレースならラーソンは他人がなかなか真似できない大外ラインで
相手に守らせずに抜くことができますが、今日は外が全く使えないので
後ろに付いて機会を伺うしかなく、その機会が訪れたのはもう残り1周半でした。

 今日はスキームに『HITACHI』が入っているジョンソンが今季初勝利。
通算81勝目で、歴代6位のケイル ヤーボローにあと2勝と迫っています。
また、これで16年連続での勝利となり、これは歴代3位タイ。
リチャード ペティーの18が最多記録です。
 
 ただ、レース後えらく息が上がって汗だくで、
「水分補給ができなかった」と言っていると思ったら、その後脱水症状で
医務室へ向かったそうです。
 

 ラーソンは今季5度目のトップ2フィニッシュ、序盤のコーションで
ペナルティーを食らって順位を落としたことを悔やんでいました。

 何より悔やんだのはおそらくブレイニー。ファンの私も悔やみましたが、
ステージ2勝利を狙うより、あそこでピットに入ってステージ3を
上位でリスタートすべきだったと思います。
 結果は同じ作戦だったジョンソンが勝っているので、タイミングが間違いとは
限らないだろう、とも言えますが、ブレイニーの場合ずっとリーダーを争っていて、
トラフィックでのバランスを見ていないですから、とにかくクリーン エアーを
得ることを何より考えて作戦を組み立てるべきでした。
 レース後のインタビューでも、ボックスにうまく入れなかったのは
自分のミスだけどさ、と言いつつ作戦や作業について不満を口にしました。
 それでも、ブレイニーはウッド ブラザーズ レーシングのドライバーとしては、
1982年のロッキンガムでニール ボネットが108周をリードして以来
35年ぶりに100周以上のラップ リードを記録しています。

 今回、新人の最上位はタイ ディロンでした。
ここまで好調だったエリック ジョーンズ、前日のXfSでも勝っていましたが、
最初のピットで前を走るクリス ブッシャーに追突。
スピンしたブッシャーの車でジャック担当が怪我をしてしまい、
間接的とはいえよそのクルーを怪我させてちょっとバツの悪いレースでした。


 次週はイースターのためレースはお休み、2週間後の舞台はブリストルです。