Monster Energy NASCAR Cup Series
Kobalt 400
Las Vegas Motor Speedway 1.5miles×267Laps(80/80/107)=400.5miles
winner:Martin Truex Jr(Furniture Row Racing/
Bass Pro Shops/Tracker Boats Toyota Camry)
MENCS第3戦は西海岸に移動してベガス。
レースはブラッド ケゼロウスキーとマーティン トゥルーエックス ジュニアが
全体を通して速さを見せ、最後に予想外の展開でトゥルーエックスが制しました。
トゥルーエックスは3ステージ制導入3戦目で、初めてとなる
全ステージ優勝、現地放送の表現だとhit for cycle、日本で言うサイクルヒットを
達成しました。トゥルーエックスは野球好きなのでちょうど良いそうです。
PPを獲得したのはケゼロウスキー、トゥルーエックスが2位でした。
スタートを制したケゼロウスキーがリードする中、18周目にコーリー ラジョーイが
クラッシュしてコーション。
このピットでトゥルーエックスが前に出ますが、イン側選択が失敗だった模様で
リスタートでケゼロウスキーが盛り返します。そして残り周回数的に、
ギリギリでステージを走り切れそうなので、この後”燃費レース”となります。
タイヤのデグラデーションはアトランタでは1周辺り0.06秒ぐらいありそうでしたが、
このレースはその半分以下のようで、大事に使えばタイヤが持たずにもう
1ストップ、とはならないようです。
ステージ残り12周、もう波乱とかもなさそうかと思ったところで
ケビン ハービックの右前タイヤがフロントストレッチでバーストしクラッシュ。
残りわずかな周回とはいえタイヤが古いのでピットへ入るのがセオリーと
言えますが、ジョーイ ロガーノはなぜかステイ アウト。後続が続くと思ったのかも
しれませんが、彼一人だけがとどまっています。元々3位にいた中での
この決断は明らかに選択ミスです。
一方、ジェイミー マクマーリーは右2輪交換で9ポジション アップ。
やるならこっちが正解です。で、またトゥルーエックスとケゼロウスキーの
順位も入れ替わります。
ステージ残り5周のリスタートはロガーノが全く箸にも棒にもかからず、
ケゼロウスキーも後ろにいたので巻き添え。
ステージをトゥルーエックスが制しました。
5周走っただけとあってこのステージ間コーションではステイ アウトする
車もいて作戦が割れますが、結果的にあまり大きな変化を与えることはありませんでした。
このステージはトゥルーエックスが先行、ケゼロウスキーは2位走行でしたが、
アンダー グリーンのピットを終えた後、エイプロンを走行中にアウトから
チェイス エリオットに抜かれてしまい3位に後退。
そして特に大きな展開もないまま残り9周、御年58歳のデリック コープが
スピンしてコーション。またわずかな周回数が残りました。
さっきのロガーノを見てステイ アウトは懲りたかと思ったら、
ジミー ジョンソンとカート ブッシュがステイ。しかし、この判断にカートは
大変お怒りの様子でした。
ステージ残り4周のリスタートでやはりステイ組はすぐに後退、
ジョンソンの10位が精一杯で、結局トゥルーエックスがここも制します。
ここのステージ間コーションも上位はステイ。ちょうど残り100周で
リスタートです。このあたりからカイル ブッシュが上位に顔を出し始めます。
アジャストが決まっているようです。
100周ということで、タイヤの消耗が大きければ2ストップも考えられるわけですが、
どうもそこまでがくんと落ちないために、1ストップしか各陣営考えていない様子。
残り57周、6位あたりを走行していたライアン ブレイニー、
エリオット、ロガーノら、次の周にはトゥルーエックスとケゼロウスキーも入って、
上位勢は早めにピットを終わらせます。
ピットを出たらまたケゼロウスキーがエリオットに抜かれています。
アンダーカットされたのか、作業に手間取ったのか分かりませんが、
ピットに入るたびに順位を失っていてストレスが溜まりそうです。
上位勢がさっさとピットに入る中、ジョンソンだけはとどまり続けて
入る気配がなく、コーション待ちの大逆転狙い。ベガスにはギャンブルが付きものです。
先週のレースだと、新品タイヤとは2秒近いタイム差が出ましたが、ここでは
1周あたり1秒無いぐらいの差で、少ししてからコーションが出れば儲けものでしたが、
残念ながら何も起きずに残り40周でピットへ。作戦失敗です。
トップ争いはトゥルーエックス快走でこのまま終わりかと思いきや、
このスティントになってペースがやや鈍化。
「このスティントはなんかちょっと違う、左のグリップが無い」と訴えていて、
見た感じ車がタイトになっている様子。
残り24周、あっさりとケゼロウスキーがインから抜いて久々にリーダーとなり、
そのまま差を広げます。
今日はだいたいこの手の展開でステージ終了前に何か起きるわけですが、
ご希望に応えて(?)ダニカ パトリックのエンジンが壊れます。
その前から白煙が出ていて怪しい状態でしたが、最後までもちませんでした。
すぐにエンジンを切らなかったのか、煙が広範囲に広がり客席が真っ白に。
ここでもちろんみんなピットへ。
「ピットは芝生寄りのレーンを1列で入るように」と、ブリーフィングで通達があり、
最初のコーションでケゼロウスキーが守らずに警告を受けていたせいか、
みんな綺麗に1列に並び、車間距離ゼロでバンパーをつつきあっています( ゚Д゚)
ケゼロウスキー、やっとリーダーでコースへ戻れます。
一方、10位のジョンソンはナットが締まっておらず再ピット。
ナットに関して言えば、先週のアトランタのレース後車検で
A J アルメンディンガーのナットが2本も締まっていなかったため、
罰金・ポイント減算・クルー チーフに3戦出場停止という重い処分が下っています。
レース後のナット違反は本数が多いほど処罰がぐんと重くなり、複数本は
かなり大きなダメージを被ります。陣営は控訴しているようです。
さて、残り9周のシュートアウト。2列目イン側のエリオットが、また、と言うと
レッテル貼りはやめましょうよ!とかどっかの総理のように反論されそうですが、
リスタートが悪く、私は応援するライアン ブレイニーが引っかかって巻き添え。
先頭争いはケゼロウスキーが外から抑えてリードを守ります。
その後方ではカイル ラーソンとカイル ブッシュの争いにエリオット、ロガーノが
加わってなかなか熱い争いです。
もうトゥルーエックスに追う力はないかと思っていた残り3周、
ケゼロウスキーが急に追いつかれ始め、明確に速度が低下。
残り2周、トゥルーエックスが大逆転を果たします。
エンジン関係かと思ったら、ケゼロウスキー曰くブレーキか何かが壊れて
全然止まれなくなって曲がれんかった、という話でした。
これでトゥルーエックスの勝利は確実、それは良かったんですが、
その後ろで一悶着。
最終周のバックストレッチ。並走するカイルとロガーノ、そのカイルの前に
ケゼロウスキー。
ケゼロウスキーは早めの減速をしたため、行き場を無くしたカイルが急な
進路変更でロガーノに接触、そしてターン3~4で、今度はロガーノが
滑ってカイルに当たり、カイルがスピン。
ピットの方へ飛ばされて22位となったカイルは激怒。
彼からすると「不可抗力で当たっただけなのに、アイツが仕返ししてきやがった」
と感じ、レース後当然こうなりました。(´・ω・`)
若干スーツの色が似ていてステルス性がw
でも人数に差がありすぎてカイルさんボロ負け&流血です。。。
ロガーノからすると、
「カイルがターンの入り口で当ててきやがった。しかも、こっちは
ルースになって当たってしまっただけなのに、いきなり殴りかかってきやがった」
というわけで、意見は平行線なわけですが、結局NASCAR側としては
お咎めなしとなりました。パンチは『忍者の反射神経』で避けたので
当たってないそうです。
ロガーノはこの後テレビ出演でも、
自分がルースになって当たってしまったけど、互いに激しくレースしていれば
こういうことも起こるさ、といった感じに、積極的にアクシデントについて話しつつ、
カイルを過度に非難しないことで、優位性を保つように事を進めた模様。
一方のカイルは全く納得がいかないようで、時系列が進みますが、
フェニックスの週末、NASCARとの面談を終えた後、記者団から何を聞かれても
「全てうまくいっているよ。車に乗り込んで、フェニックスでレースするのが楽しみだ」
と、全く同じ文言を数度、不機嫌な顔で繰り返していました。
その昔、NBAのアレン アイバーソンがプレス カンファレンスで
「プラクティス」を連呼したのを不意に思い出しました。
今回のケース、カイルの動きは不可抗力なので、ロガーノの動きを
故意と見るか否か、の一点なわけですが、個人的にも難しいところです。
ロガーノがルースになって外へ行ったのは間違いなさそうなんですが、
じゃあロガーノほどの腕のあるドライバーが、他の周にもターンを並走することぐらい
いくらでもあったのに、あの場面に限ってそんなに派手に滑るか?というところが
引っかかります。
ロガーノ側も当たられた瞬間頭にきて、頭の片隅に
「くっそ、アイツ、ぶつけてやろうか」と何割かでも思ったから、
「なんならぶつけてもいいや!!」とばかりに、ターンのボトムで無理して
スロットルを開けていったからこそ滑ったとも考えられます。
実際、旋回半径の小さいイン側のロガーノが、ターンの途中から
アウト側のカイルに対してどんどんと加速して迫って行っています。
本当はつついてやろうと思ったら、滑ったからたまたま良い言い訳ができた、
という、うがった見方もできなくはないです。
結果的に、レース後のメディア対応からなんとなくカイルが悪者的に
なっていますが、確実にこの後さらなる仕返しがあると思います。
故意にせよミスにせよ、ロガーノにこうしたトラブルが多いのは事実で、
これは結局、自身がチャンピオンを狙うにあたって不利に働く恐れがあるので、
戦い方を心得るべきかなとは思います。ジョンソンはあれだけ勝ってきて、
この手のアクシデントはあまり記憶にありません。
つまりそういうことです。
まあ、そういうドライバーがいて暴れてくれるからこそ面白い、
これぞNASCAR、という面もあるので、見ている側は構わないんですが、
彼は当てに行くときに時と場所を選ばずに、相手が怪我をするような
やり方を選ぶことがあるように感じるので、やるならやるでちゃんと
ヒールのあり方を学んでおかないと、本当に単なる危険なドライバーに
なってしまいます。
G+だと来週の解説はちょうど石見 周なので、必ず
「石見さん、先週のロガーノはどうでしたか?」という話になると思いますから、
ロガーノ推しの石見さん的にどう思ったかが楽しみです。
次戦はフェニックス、ハービック無双になるでしょうか。