Monster Energy NASCAR Cup Series
Folds of Honor Quiktrip 500
Atlanta Motor Speedway 1.54miles×325Laps(85/85/155)=500.5miles
winner:Brad Keselowski(Team Penske/AutoTrader Ford Fusion)

 MENCS第2戦アトランタ。デイトナは特殊レースなので、平凡な言い方ですが
このイベントは第2の開幕戦と言えます。
 このレースで新空力パッケージが初登場
(デイトナはパッケージが違うので、低ダウンフォース仕様云々の話をするのは誤り)
正直、間違ってデイトナ仕様で走ってんじゃないかと思うぐらい
スポイラーが小さいです。
 そんな初レースで勝ったのは、昨年このパッケージのお試しレース
(厳密には昨年の試用時よりもさらに削られている)だったケンタッキーの勝者、
ブラッド ケゼロウスキーでした。


 PPはケビン ハービック。お隣はライアン ニューマンでちょっとびっくり。
しかし今週末、併催レースでは外側スタートがずっと苦戦だそうで、
その通り、ニューマンはスタートから出遅れ。外側スタートできない現象、
この後ずっと続くことになります。
 とにかくダウンフォースが無いし、20年間再舗装されていない路面なので
スタートからみんな滑りまくって誰一人グリップしているように見えません。
 そんな状況でスタートから逃げるハービック、それに続いて上がってきたのが
これまた意外なリッキー ステンハウス ジュニア。このトラック条件が自分に合っていて、
新たにクルー チーフになったブライアン パティー(昨年まではグレッグ ビッフル担当)
とも好相性、というリポートです。

 85周のステージ、タイヤの消耗はどうかと思いましたが、各陣営、
35周を超えて燃料面でウインドウが開いたらピットへ。特に第1スティントは予選で
使用した中古タイヤなのであまり引っ張らずに入ります。
ハービックはリードに余裕があるので後ろを見てからピットへ。
ピット後ケゼロウスキーが浮上してきましたが、ハービックには全く及ばず、
ステージ1はハービックの勝利です。

 ステージ2もハービックは独走、外側のリスタートがうまくいかないので、
リスタート直後にかき回すことすらできません。
 また、ハービックはターンのイン側、黄色い線の内側にタイヤを入れて、
溝落としのようにして旋回し、このラインが今日のトレンド。
 多くのドライバーがハービックのラインを参考にするよう指示され、
あるいは試しますが、なかなかパクれません。

 一方ケゼロウスキーは右前のタイヤの異変を訴えて、まだステージが53周も
残っているのに緊急ピット。
 他の車はやはり50周残りで早い人からサイクルが始まる同じパターン。
ライアン ニューマンのクルーが、チェイス エリオット陣営と同じやり方の、
右後輪を投げて渡す作業をやっていました。まさか、じわじわ広がるのか??

 ハービックがピットを出ると、見かけ上ケゼロウスキーが10秒も先行していましたが、
10周近くタイヤの履歴が違うのであっという間に追いつき再びリーダーに。
 ケゼロウスキーはこの後、もう1度ピットへ。タイヤの消耗が激しいようです。
これで、2位にはエリオットが上がってきました。
 ステージ終盤にはデニー ハムリンがトラブルでガレージへ。ハブが壊れたとか。
こういった機械的な故障の場合、5分間規則の適用対象外で、ガレージでの修復可&
時間の制限はありません。

 ステージ2もハービック勝利。しかしそれより注目したのがケゼロウスキーが
2ピットで7位だったこと。勝てる作戦ではありませんが、消耗が一定以上
激しいようであれば、変にもたせるより、飛ばしまくって2ピットもありでは?
ショートで速いなら、距離が変わるステージ3で立場が変わることもあるか?
と、私は勝手にケゼロウスキーを警戒していました。

 ここまで、ピットでは速度違反が頻発。気を付けていても、ついつい
超えてしまうものなんでしょう。何せNASCARにはリミッターなんて便利なものは
装備されておらず、速度計もないので、頼るのは『〇速で〇〇〇rpm』という情報のみ。
今はシフト インジケーターの色で判断しますが、1~2mphの超えた超えないを
ドライバーが正確に認識するのは困難で、設定した回転数に近寄れば近寄るほど
ギャンブル性が高いとも言えます。

 
 ステージ3、残りは148周で、これを2ピットの約50周刻みはさすがに
長いので、3ピットが考えられそうです。
 およそ32周ほど走ったところからサイクルがスタート。
ここでエリオットも速度違反をやらかしてしまいカイル ラーソンが2位に。
ハービックは遠くの存在です。

 240周目、デブリーでコーション。気づいたら、ステージ間を除けば初コーション。
昨年もこのレースはスタートから延々とグリーンでした。
 タイヤの消耗が激しいので、もう今日はコーションが出たらとにかくピットです。

 263周目、グレイ ゴールディングのエンジンが壊れてコーション。
するとこのピットをケゼロウスキーが先頭で出ていき、初めてハービックが
まともにリードを許します。
 PPのハービックは1番ピット、普通なら真っすぐ出ていけて一番有利なはずですが、
どうやら彼の目の前はコンクリートとアスファルトの舗装の境界が滑りやすく、
なおかつアスファルトの舗装もガタガタでグリップが悪いようです。

 などと言っていたら、ケゼロウスキーは左後輪のナットがきちんと
締まっていないとして再ピットの指令。結局ハービックがリーダーに。

 279周目、クリント ボイヤーが壁に接触。リスタート直後の争いで接触していた
影響でタイヤが壊れたようです。
このピットではハービックが、あえて右にステアリングを切る非効率な動きで
グリップの悪い路面を回避し今回は先頭で戻ります。
ただ、こうしたピットに関する神経質な状況が、この後波乱の原因を作ります。

 トップ快走のハービック、クルーもなんだかリラックスな感じ。
一方ニューマン陣営では、オルタネーターのトラブルで電圧が低下し
修復でガレージ大忙しです。
 すると残り18周、チームメイトのオースティン ディロンも電圧低下で失速。
ピットに入、るのを「コースにとどまれ」と言われてエイプロンで走行を
続けたものの、完全に電源喪失で停止、コーションを呼んでしまいます。
「チームメイトが同じ症状を起こしたのに、コースにとどまるとは
 奇妙な判断だ」と解説のジェフ ゴードン。これがハービックにとっては
最悪の出来事となりました。

 さっきと同じように思いっきり右に切って、先頭でピットを出たハービック。
しかしなんとピット速度違反を取られてしまいます。
入り口での速度違反でした。1番ピットは本来直進できるから、少々
時間がかかってもそこで取り返せるので無理する必要がありません。
しかし、今回出口をスムーズに出れないという状況があったことが、ハービックを
ギリギリの速度での走行へと駆り立ててしまいました。

 これでハービックはペナルティー、それも、リード ラップ車の最後尾=15位ではなく、
隊列の後方、35台目の位置から。残り11周での挽回は絶望的です。

 リスタートのリーダーはラーソン。外側はマット ケンゼス。ケンゼスも
序盤に速度違反をして周回遅れでしたが、こつこつ盛り返していました。
 しかし、どうあがいても外側はダメ、4位リスタートのエリオットも
巻き添えで消え、優勝争いはラーソンとケゼロウスキーに。

 リスタート直後こそ逃げたラーソンでしたが、ターン3~4で
溝落としができるケゼロウスキーとできないラーソンで差が縮まり、残り7周で
ケゼロウスキーがリーダーに。
「彼の方がショート ランでは速く、何とかしようと試みたが
 こちらがどう動くか彼に読まれていた」とラーソン。
 最後は開き直ったように大外ラインを通るなど打開策を探したものの、
ケゼロウスキーが逃げ切りました。

 ハービックは292周をリードしながら9位フィニッシュ、でも
2ステージで勝ったので、得点的には1勝したぐらい稼いでいきましたw

 ケンゼスが3位、全く目立たなかったけどケイシー ケインが4位。
レース中2度もフリー パスを受けたそうですが、意外です。
 新人のエリック ジョーンズは一時トップ10内を走行してトヨタ車での
トップとなる場面もあり、多くのバトルを展開し14位。
 
 トレバー ベインが目立ってなかったけど12位、ステンハウスもスタートから
後退していったものの13位とRFRの健闘を感じました。