Monster Energy NASCAR Cup Series
Daytona 500
Daytona International Speedway 2.5miles×200Laps(60/60/80)=500miles
winner:Kurt Busch(Stewart-Haas Racing/
              Haas Automation/Monster Energy Ford Fusion)

 いよいよデイトナ500です。5時に起きて少しでも見てから会社に行こうと
頑張りましたよw
 Monster Energyとしての初イベントで優勝したのはなんとMonster Energyスキームの
カート ブッシュでした。1週間前には初クラッシュで見てるこっちもコメントしがたい
感じでしたが、できすぎな結果で、自身16度目のデイトナ500で悲願の初優勝です。


 序盤は誰が速いとかいうよりも、3ステージ制という新規則に各々どう
対応してくるのか、というところの方が気になりましたが、
早々と動いてきたのがザ クラッシュと同様JGR勢でした。
 17周を終えたところでJGRとFRRの6台のカムリがピットへ。
ステージ1は60周、航続距離は45周はあるので、ここでピットに入り、周回遅れに
ならずに6台でドラフティング走行できていれば、この後コーションが来て
他の車が全て入れば自分たちが上位を占めてリスタート可能。
彼らは身内同士のパックなら4台でもそれなりに速いとザ クラッシュでも
分かっていますので、仮にコーションが出ずにアンダーカットにはならなくとも、
順位がバラバラだった仲間が一か所に集まることでこの後の展開を優位に
進めようという考えです。


 ところが、新人コンビがこれを台無しにします。ダニエル スアレスが自分の
ピット ボックスを見失ってなんとピットを通過しもう1周、釣られる形で
エリック ジョーンズも行き過ぎて戻ることになって集団からはぐれ、さらに
あろうことかマット ケンゼスのタイヤはハズレを引いたのかフラット スポットが
あってこちらも再ピット。6台で走るはず作戦はいきなり崩壊します。
思えばこれが混乱の500マイルの始まりでした。

 30周目、SHRを中心とした数台がピットに入りますが、その後ろにいた
コーリー ラジョーイが、ピットに入ろうとして全然止まらなかったのか暴走。
接触を避けた結果壁に向かって突撃しコーションが発生。
入った人たちは結果的に最高のタイミングで作業を終えて先頭集団での
リスタート、JGR勢のちゃんとした人たちはその後ろからのリスタートで
これもちょっと損をしました。

 この後ステージ1は意外と2ワイドのいいレースになり、カイル ブッシュ、
ケビン ハービック、ライアン ブレイニーあたりを先頭に終盤へ。
57周を終えると、FRRの2台はここでまた作戦発動かピットへ。
今回のレースでは、ステージ終了前のピット閉鎖のタイミングは『2周前』と
設定されていました。
 厳密なタイミングで言うと、リーダーが58周を終えてコントロール ラインを
通過した瞬間にクローズなので、リーダーから一定以上離れて走る人にとっては
57周終わりが限界ということになっています。
 で、ここでまた作戦に綻び。マーティン トゥルーエックス ジュニアの
作業に時間がかかってしまい、今度はトゥルーエックスがはぐれて周回遅れに
なってしまいます。
集団戦法を想定していたと思われるJGRトヨタ陣営でしたが、バラバラに
なってしまいました。

 一方ステージ1の優勝争いはカイルが制し、記念すべきステージ優勝第1号になります。


 ステージ2、21周を終えてトゥルーエックス以外のトヨタ5台がまた作戦発動。
しかしスアレス陣営は作業がやや遅くはぐれてしまいすぐに周回遅れ、
パックの台数が少ないせいで残る車も結局リーダー陣に追いつかれて、見た目
先頭争いっぽいけど実は周回遅れギリギリ、という見ていてややこしいことになります。
 そのリーダー勢はハービック、ブレイニー、ジミー ジョンソン、ジョーイ ロガーノ、
といったあたりが速そうです。
 30周を終えるとまたフォード系チームの多数がピットへ。
私が事前に書いた、30周で入りそう、という考えはフォード的だったようですw
 一方、フォード系の下位チームやシボレー系はギリギリまで引っ張る古典的な
レース戦略の模様。ギリギリまで引っ張ると、場合によっては
ステージ2終了後のコーションで入らない、という、逆張りの戦い方が
できるかもしれませんが、個人的にはあまりいい考えには見えませんでした。

 ステージ2残り10周あまり、ここでリーダーだったジョンソンが不意に
外されてしまい、デイル アーンハート ジュニアがリーダーに。
帰ってきたスターがとうとうリーダーでお客さんもさぞかし沸いたことでしょう。
 ただし、リーダーだけど、その前方にカイル、ジョーンズ、ケンゼスの3台が
『リード ラップの最後尾』として走っています。
彼らも速いのでわざわざ抜いたりする必要もなく、ずーっと彼らが
リーダーかのように隊列を引っ張っています。
 
 しかしこの並びが悲劇を生みました。45周目、カイルがいきなりスピン、
後ろにいた3人は全員巻き添えになってしまいました。


「右リアか左リアか分からないけどタイヤが壊れた。巻き込んですまない」とカイル。
 うっかりはぐれたジョンソンは生き残り、せっかくリーダーになったジュニアが
アクシデントの巻き添えとなりました。

これは避けよう無し。ジュニア陣営、この後なんとかレースに戻ろうと、
壊れたフロントを、スプリッターどころかフロアまで、壊れた部分をごっそり
チェーンソーで切り落としてピットを出ていきましたが、明らかに
サスペンションも壊れていて無理でした。

 そして部品とオイルをまき散らしまくったのでレースは赤旗になります。

 たらればを言えば、JGR勢が最初のピットから6台パックの作戦をきちんと
成功させていればあっさりリーダーに詰められることは無く、こうした並びにならず、
ジュニアが巻き込まれることも無かったのではないか、と思いました。
ジュニアのファンにとっては悪夢以外の何物でもありません。

 この後残り8周でリスタートしたステージ2はハービックが制しました。


 そしていよいよ『本番』のステージ3。
ステージ2でギリギリまで引っ張って最後のコーションで給油した数名が
ステイ アウトしたため若干順位変動が起こり、カイル ラーソンがリーダー、
一時期姿が見えなかったポールシッターのチェイス エリオットもいます。

 ところがリスタートからわずか3周目となる128周目、アウト側の2~3位にいた
ジョンソンがスピンして多重クラッシュ。
ジョンソン、ダニカ パトリック、デニー ハムリン等が消えてしまいます。
 ジョンソンの後ろにいたジェイミー マクマーリーがバンプしすぎたことが
原因のようでした。
「激しく押されて後輪が宙に浮いていた」とジョンソンややおかんむり。
 調子が上がってきていたダニカも、途中でブチブチと切れて、作戦の違う車が
ごちゃまぜになったレース形式がお気に召さないような口ぶりのインタビュー。
「奇妙なデイトナ500だった。300だったか250だったか知らないけど」
(実際は321マイルぐらい走ってリタイア)と不満げでした。


 134周目にエリオットをリーダーにリスタート。ところがまた3周後にクラッシュ。
中団にいたブレイニーがトラブルがあったのかピットに入ろうとしたのに、
後続が対応できずに多重事故になりました。



 本人は窓から手を出して合図、後ろにいたエリオット サドラーも
手を出して了解していましたが、サドラーの後方のジェフリー アーンハートが
空気を読まずガンガン行ったのと、サドラーもあまり距離を取らなかったのが
クラッシュの原因のようでした。ジェフリーはデイトナ500初出場。
ルーキー ミステイクでしょうか。

 142周目、今度はケイシー ケインをリーダーにリスタート。
ところがバックストレッチですぐにまた多重事故。
優勝候補のブラッド ケゼロウスキーもここで消えます。
リプレイを見たら、マクマーリーが今度はエリオットを押しすぎていました。
今度は連鎖反応でマクマーリー自身が横を向いてクラッシュ。
ヘンドリックに恨みでもあるんでしょうかw


 この辺だったか、解説のジェフ ゴードンが
「まだ周回数はたくさんあるのにもう3ワイドになってバンプ ドラフトやって、
アグレッシブになる意味が分からない」的コメント。
ドライバーが無駄に争いすぎていることに苦言を呈します。同意見です。

 149周目、オースティン ディロンをリーダーにリスタート。
後方でまた接触が起きてすぐコーションになります。レースが進みません・・・
 そうこうしているうちに残りが50周を切り、ギリギリ燃料が足りるかも
しれない距離になったのでここで各車最後(のつもり)のピット。
残り47周、なぜか流れでコール ウィットがリーダーでリスタートです。

 各車が激しく順位を争っていましたが、この先でようやくレースが落ち着き、
台数が減ってきたこともあって上位陣はだんだんと集約されてシングル ファイルに。
それを引っ張るのはエリオット。2年目で、デイトナで、初優勝か?
とにわかに期待が高まる一方、この集団で実績があるのはカート ブッシュと
ロガーノぐらいであとは若い人ばかり、という気になる点も。
 ロガーノは何度か仕掛け、ブレイニーがそれに追随する動きを見えるものの、
他のドライバーがうまく乗ってきてくれないので仕掛けは失敗の連続。
 なおかつ、燃料的にギリギリなので、あまり無茶もできません。
カートの陣営の話だと燃料は半周ほど足りず、チームはトニー スチュワートに
「どれぐらい節約できるもんなの?」とアドバイスを求めている模様。

 レースが動いたのは残り3周のバックストレッチでした。
リーダーのエリオットが突然パックから外されてトゥルーエックスが前に。
エリオットの後ろには誰も付いてこず、エリオットの優勝はここで消えます。
 どうも見た感じ、燃料やばそうだし、ちょっとでも前にいる周回遅れの
ドラフティングを使おうかな~、いや、いらないかな~みたいな感じで、
中途半端にフラーっとアウトからインに車を動かした、その一瞬の隙に
トゥルーエックスが入ってきてしまったように見えました。

 レースが動いたことでレースは大混乱、トゥルーエックスが逃げるのかと
思ったら残り2周でそれをカイル ラーソンが抜いて、トゥルーエックスも
ドラフトを失って万事休す。
 そして最終周、ケインのサポートを受けたカートがターン1でフェイントをかけて
ラーソンをパス。その後ろではブレイニーがそれ以上のすごい勢いで
浮上してきますが、追突を恐れてわずかにアクセルを戻したようで
勢いを失ってしまいます。
 ブレイニーはカートのドラフティングを使って最後の逆転に賭けた方が
良かったと思うんですが、実際はラインを変えて後ろからのサポートを待つ動きを取り、
しかし後ろも離れていたので結局ただの単独走行同士の争いになってしまい、
逆転の芽はありませんでした。


 とはいえ、最後の3周はすごい争いで、台数自体は寂しくなって今いましたが、
ちょっとした位置取り、一瞬の状況判断が勝敗を分ける、
素晴らしい争いだったと思います。

 3ステージ制がどうだったか、等はまた次回のお話です。。。