Monster Energy NASCAR Cup Series
Advance Auto Parts Clash
Daytona International Speedway 2.5miles×75Laps(25/50)=187.5miles
winner:Joey Logano(Team Penske/Shell Pennzoil Ford Fusion)

 デイトナ500の蘊蓄を蓄えたら、あとは実戦あるのみ。2017年のNASCARも
賞金レースのザ クラッシュから始まります。
 台数が少なく、選手権に関係ないイベントですが、他のドライバーより
走行機会が増えるということがメリットです。ただ、これに勝つと本番に
勝てない、というジンクスがあるため、勝たない方がという話も・・・
 そんな前哨戦、今年の変更点も確認しながら見ていきます。

 今年の出場条件は
・2016年にポール ポジションを獲った
・過去にこのイベントで勝ったことがある
・デイトナ500でポール ポジションを獲ったことがある
・2016年のプレーオフ進出者

 のいずれかに該当した選手です。該当者の中で、トニー スチュワートと
カール エドワーズは引退で欠場。ただしNo.19はエドワーズの代わりに
ダニエル スアレスが出場。スアレスはカップに一度も出たことが無いので
貴重なテスト機会です。
 また、デイル アーンハート ジュニアにも出場権がありますが、彼が
戦線離脱した際に代役で出ていたアレックス ボウマンが同じく出場条件を
満たしていてNo.88に2人が重なり、ジュニアがボウマンに譲るような形で
こちらも欠場となっています。
 じゃあジュニアにもう1台別の車用意してもいいんじゃね?、チームで
ケイシー ケインだけ出てねえしあれ使えるだろ、と思ったのは私だけではないと
思いますが、ケインのスポンサーはFarmers Insurance、ジュニアの方は
Nationwide Insurance、同業他社なので絶対やっちゃいけない組み合わせなのです^^;
 ちなみに、シートさえ決まっていればグレッグ ビッフルにも出場権が
ありましたが、残念ながら未だ職探し中です・・・
 というわけで、総勢17人の限られたドライバーでのレースとなりました。


 レースは土曜日夜のはずが雨で日曜昼に順延、夜用セットなのでみんな
ベースが合っていない中で2017年のNASCARが始まりました。

 レースは75周で、25周を完了するまでがセグメント1、コーションを挟んで
フィニッシュまでがセグメント2です。
 今季から通常のレースでもこれと同じようにレースが3つのステージに
分けられることになりましたから、そういう意味では特殊性が薄れました。
 抽選でPPになったブラッド ケゼロウスキーが序盤得意のサイド ドラフト活用で
レースをリード、後ろではジョーイ ロガーノとJGR勢が元気で、
最近のプレート レースの構図そのまんまです。
 フォード勢では、今年からSHRが陣営に加わったため、彼らがフォードの仲間として
助け合うことがあるのかが注目、特にロガーノとケビン ハービックはやや
因縁のある組み合わせなので、助けると見せかけた破壊行為が起きないか心配ですw
 一方、クリス ブッシャーは1周目のターン3手前から急に距離が離れて、
なぜか早々に一人ぼっちのビリに。後方待機作戦・・・?


 17周目、ジミー ジョンソンが突如姿勢を乱してカート ブッシュが巻き添え。
なんとMonster Energyが冠スポンサーになった初めてのレースでの
クラッシュ第1号はあろうことかMonster Energyのスキームで走る車でした。

 バンクが浅くなる位置で、風の当たり方も変わる場所なので、何かの拍子に
いきなりスポンとリアのグリップが無くなることがあります。

 この時点でリスタート後またすぐにセグメント終了と分かっていますが、全車
このコーションでピットへ。そして23周目、セグメント残り3周でリスタートです。
 
 25周目、現地の放送席は「この周にピットに入るか」という話をしています。
というのも、セグメント終了のコーションは『25周を完了したら』出ることに
なっており、この完了というのは、全てのリード ラップ車が25周を終えることを
指します。
 このレースの規則では、ピット時期についての制限が設けられていないため、
25周目にピットに飛び込み、それからコーションが出ると、他の車が
コーションでピットに入れば、先頭集団に出ることができるからです。
 で、いざ25周目の最後、レースをリードしていたカイル ブッシュを含め、
JGR+1のトヨタ5人とボウマンだけピットへ。
しかし残念ながらカイルは明らかに減速が不十分でペナルティー、作戦が台無しです。

 じゃあシーズンでもこういうことが起こるのかというと、そうでもありません。
規則では、ステージ終了の5周前から
(これが規則による固定の数字なのか、各イベントごとに設定されるのか
サイトごとに表記が曖昧で特定できず)
ピットはクローズ扱いとなるとされており、仮にデイトナ500でこの作戦を
やろうとすると、タイヤと燃料で5周のハンデを背負うことになりますから
メリットが薄れます。
 ただ、5周前にフル サービスしておいて、コーションで燃料をちょろっとつぎ足せば、
元々中団以下にいた人は大きく順位を上げる可能性があるので、
ステージ2の終わりにはやる人が出てくるのではないかと予想します。

 これでセグメント2はJGRの壁ができた状態で始まりました。
彼らもリスクなしではないのが、航続距離的にコーションで入った人がギリギリ
燃料が足り、先に入るとギリギリ足りない可能性が高い、というのがあります。
幸いコーション中ピット組も給油のみの人ばかりでタイヤ面ではデメリットなし。
でもできればほしいコーション。そんなコーションを作ったのは、またジョンソンでした。
さっきと同じようにスピン。今度はぶつける相手がいなかったので自分が
クラッシュします。昨年のデイトナ500ではチェイス エリオットとジュニアが
同じようにスピンしているので、ヘンドリックだけ何か変なことやってて
影響受けやすいのか?と邪推してしまいますが、もちろん分かりません。
持っている基本的なセットの傾向がひょっとすると関係している可能性はありそうです。
 これでジョンソンはこのイベント6年連続クラッシュで脱落だそうで、
まさに『ザ クラッシュ』です。

 このコーション、わざわざポジション重視の策だったJGRは入るわけもなく、
当然他の多くはその逆をやります。ペンスキー勢の2人は4タイヤのフル サービス。
 そして残り21周でリスタートが切られました。しばらく走るとJGR4台が
パックでリードを広げていき、オースティン ディロン以下の第2集団と
分断される形。本戦でこんな同一チーム独走劇が起きたら大ブーイングは
必死でしょうが、残り15周、『+1』の人、マーティン トゥルーエックス ジュニアが
レーン変更に失敗してクラッシュ。本人曰くミラーが壊れて見えてなかったとのこと。
だったらスポッターの忠告を聞きましょう。
 残り11周、13台と寂しいリスタート。JGRがまた縦1列で鉄壁の体制。
またディロンがやや邪魔になってます。
 JGR編隊は1列で、ディロンはそこを追おうとしているため、
後ろの人はディロンを抜こうとするとドラフティングから外れてしまって
速度を失いまた後ろに戻る千日手状態。
 ところが残り5周、ターン4でディロンがフラ~~~っとラインを外にずらした
一瞬の隙にケゼロウスキーが割り込んでディロンが外され、局面が大きく変化。
 ケゼロウスキー・ロガーノのコンビはまず残り4周でカイルをさばいて
JGRの壁に風穴を開けると、サイド ドラフトを巧みに使いながら次の周に
マット ケンゼス、次の周にスアレスも片づけるちぎっては投げ、な走り。
 
 とうとう最終周、リーダーのハムリンの背後に迫ったケゼロウスキーに対し、
ロガーノが強烈なバンプ。外、と見せかけて内に向かったケゼロウスキーに対し
ハムリンはどうみても手遅れなブロックで応戦し2台が接触。
 辛うじてクラッシュとはならなかったものの当然戦線離脱、それを横目に
ロガーノが抜け出し、そのままチェッカーを受けました。
 本戦でこれだったら、レース後確実にケゼロウスキーとハムリンは殴り合いですw

 スピンしてるのに何でコーション出ないの?と、NASCARを見始めたころは
疑問に思うわけですが、レースが最終周に入ってから起こったアクシデントの場合、
その現場を後続の車が通過さえしてしまえば、次に車がそこに来るのは
チェッカーを受けた後、みんな減速しているので、わざわざレースを
止める必要性がないためです。
 また、NASCARにはコーション中に規定周回数に達する(または達する見込み)
である場合に、残り2周でレースを再開する『NASCARオーバータイム』という
規則がありますが、ホワイト フラッグが降られた後のコーションの場合には
レースをリスタートせずその段階でレース成立となっているため、
最終周では安易にコーションを出したくない、という事情もあります。


 情けは人の為ならず、なんて言いますが、ロガーノはケゼロウスキーを
助けてすっ飛ばしてあげたら、その結果自分が勝つ展開になりました。
 レース後には「ハービックとは今は友達だよ」的な事を言っていたそうですが、
果たして友情は長続きするでしょうか。
 ケンゼスには思いっきりバンプして互いにフェンダー凹んでましたけどね。

 初レースのスアレスは無事8位、新たなチームでのレースとなる
ブッシャーもコーション以後はちゃんと集団に入って走り9位。
彼らにとっては貴重な経験を積めたのではないでしょうか。

 そしていよいよ、日本時間2月27日月曜日早朝に開幕戦デイトナ500が
開催されます。天気は大丈夫だろうか。。。