NASCARは今季から3ナショナル シリーズで新たに適用される
車両破損に関する規定を発表しました。
新たな規定では、車両の修復・レース復帰が厳しくなります。

 まず、以前に、どこの記事に書いたか自分で忘れてしまいましたが、
レース中に車体の外装部品を交換・取り付けする修復は禁止となります。
 ここ数年、上位チームを中心に、壊れた部分だけに新たな外装部品を
上から被せることで空力的影響を最小限にし、かつすぐに修復を終えてレースに
戻るケースが多くみられましたが、新規定により認められるのは車体の板金
そのものの修復のみとなります。

 また、作業自体にも制限が加えられ、仮に車をガレージに入れた場合、
その車はレースに戻ることはできません。ガレージ行き=DNFとなります。
 つまり、修復作業はピット ロード上でのみ行うことができますが、
その作業には5分という制限時間が設けられます。
 5分を超えて作業した場合には強制的にガレージ送り=DNFです。
この5分という制限時間は、コース上に戻り、NASCAR側が指定した最低ラップ速度を
上回って走行することができた場合、リセットされます。
 
 また、この規定は、不十分な修復で壊れた車が再び部品をまき散らすことによる
安全性への懸念という観点も含まれていることから、駆動系や電気系といった、
接触による外装の破損と無関係な場合には適用されず、
この場合に限り5分制限はなく、ガレージからの復帰も認められます。

 この制度に合わせてペナルティーに関しても微調整が加えられ、
ピット速度違反をした車に対しては、『作業持ち時間から15秒減算』
のペナルティーを新設。
 また、作業人員が規定の6人を超過するtoo many men over the wallの
ペナルティーには、レースからの除外という項目が追加されます。
同ペナルティーはどのみち列の最後方、あるいは周回遅れになることに
違いは無いから、と開き直って、故意に違反して修復を急ぐことが
しばしば行われていましたが、5分という制限を設けるため、そうした
半脱法行為に対して厳しい態度を示しているものとみられます。


 まとめると、クラッシュ等で車を壊した場合、ピット上での5分の修復が限度。
それが無理ならレース続行は不可。
 とりあえず一旦コースに出ても、タイムが遅ければ作業時間は
5分にリセットしてもらえず、やはり続行不可。
 できることは板金の修復だけで綺麗な外装を被せたり取り替えるのも不可。
 機械的な故障だけがガレージでゆっくり修復可能。

 ということになります。

 実は記録を見ると各ドライバーのDNFって思っている以上に少なくて、
みんなとりあえずなんとか走った状態でフィニッシュして完走に
なっていることが多いんですが、今年からはDNFが増えそうです。
特にスーパースピードウェイで、ボッコボコに壊れたのを外装交換で
復活させて、トップ10ぐらいで終わるドライバーもそこそこいたので、
そうしたことがなくなることで、見ていて感じる違和感・不公平感は
減少するでしょう。
 一方で、最後方までポイントが与えられ、たとえ何周遅れでも、
ボッコボコでもとにかく直して走って、1点でも、あるいはファンと
スポンサーのためにも、、、というのがNASCARらしく、他カテゴリーには
無い特色の1つでもありましたから、事故った車がどんどん減っていくとなると
『らしさ』が減ってしまうのではないか、という懸念もあります。