昨日速報?でお伝えしましたが、ジョー ギブス レーシングの
カール エドワーズが2016年をもって引退し、2017年シーズンに
参戦しないことを正式に表明しました。
なんとオートスポーツwebですらちゃんと記事がありますw

オートスポーツweb
NASCAR:カール・エドワーズが引退を正式表明。「自身のキャリアに満足」

 こちらの記事ではわずかなコメントだけが抜粋されて書かれていますが、
実際には自身の引退理由を語った後、記者からの多くの質問に1つ1つ
応えていく長い会見でした。
 翻訳する気にもならないですが(´・ω・`)

 家族、関係者、メディアに対する感謝の意を冒頭に述べ、
「もし復帰するなら真っ先にコーチ ギブスに電話を掛ける。トヨタ カムリ以上に
速い車なんてないし、これ以上に速いエンジンなんてないし、デーブ ロジャース以上に
優秀なクルー チーフもいないし、優秀なクルーもいない。ここでレースするだろう」
と、モリゾウさんが喜びそうなことも言ってくれました。

デイル アーンハート ジュニアが脳震盪からの復帰に長い時間を
費やした姿を目の当たりにしたことは、この競技をやっていれば全員が
リスクを承知してやっている、自分はこれまで20年間いたって健康そのものだ、
としながらも、決断と全く無関係ではないとのこと。
 
もし昨年チャンピオンになっていたらどうだったか、という質問には、

走りたくないと思っただろうけど分からない。ただもっと簡単に決断できたかも。
デーブ ロジャース(クルー チーフ)と共に、ジミー ジョンソンと戦い、
カイル ブッシュとジョーイ ロガーノを抜いてチャンピオンを手にするために
やれるだけのことをやり、文字通り人生を賭けてその位置にいたわけだから、
そういった点ではホームステッドは自分の中では勝利に値した。
ハッピーではなかったし何もかもに腹立たしかったけど、でもそのは本当に良かった、

と、ホームステッドで最後までチャンピオンを争う位置に入れたこと自体を
誇りであるとしました。


家でデイトナ500を楽しむよ、というエドワーズ。
37歳は他カテゴリーであればベテランですが、このカテゴリーでは
まだまだ向こう10年は戦える一番脂ののった時期ですから、早すぎる、
そして唐突、というのが正直なところです。
個人的には、現行のチェイス制度と昨年の最終戦での結末が、やはり
ある程度関係しているのかな、と感じました。
ニコ ロズベルグの引退に際して、私は彼の燃え尽きた的な話を
そりゃそうだろうな、と思いましたが、エドワーズもまた、似たような
感覚を持ち、また新たなシーズンへと向かう気力よりも、家族と過ごす時間へと
気持ちが傾いてしまったのかな、と感じます。

一発勝負的側面が強い現行チェイス。彼の力なら進出は極めて簡単ですが、
そこから先、車の故障という不運が一度でもあれば長い長いシーズンが
水の泡になり、それを毎週繰り返し、たった4人という狭き門にたどり着いて
やっと初めてチャンピオンを争えて、その1レースの、それもまさに昨年のように
最後の一瞬で決まってしまう。どこかチェイス中に一度でも道を踏み外せば、
また1年を最初からやり直し。
言うなれば、最終のボス面でダメージを受けずに進むのが極めて難しいのに
コンティニューもセーブもできないゲームを延々とクリアを目指しているようなもの、
とゲームに置き換えると、それをクリアすることをモチベーションに
戦い続けることの難しさを少しだけ理解できる気がします。
エドワーズは会見の中で挙げた『第2の理由』の中で

「ここにいるみんなの同情を得るつもりはないけど、ずっと包囲されてるんだ。
こんなことを1年中やってるんだよ。物理的な時間だけじゃない、
朝レースのことを考えて目覚め、一日中レースのことを考え、レースのことを
考えながら寝て、レースの夢を見る、これを20年間やってきたんだ」

と、語りました。またシーズンに望んで全力を尽くしたところで、
チェイスを最後まで残るだけでも一苦労、残ってもホームステッドの一発勝負、
そのためにまたこの長い1年自分の全ての人生の時間を捧げることができない、
という思いが見えます。
もちろんそれは全てのドライバーにとって条件は同じですが、
今の無理やりな制度、ドライバーへの負担という点でもちょっと過酷すぎるんじゃ
ないか、と思わされる部分があります。


 そして、こちらも既報の通り、エドワーズに変わってNo.19は
ダニエル スアレスが乗ることになります。
スアレスはXfSでちょうどJGRのARRISのスポンサーで走っていたので
ある意味見事にフィットするわけですが、本人にとってはかなりの
タナボタデビュー。
 JGRは本来、エリック ジョーンズを次に推したいドライバー第1位として
考えていて、提携先のファニチャー ロウ レーシングで今年からカップに参戦、
ゆくゆくはJGRへ、と考えていたでしょうし、本人もそういうエリート育成コースに
満足していたと思うんですが、まさかの展開で、いわば『次点』だったはずの
スアレスがJGRの本家で同時にデビューすることになってしまいましたから、
ジョーンズの心中が穏やかであるはずがありません。
 エドワーズの引退は非常に残念ですが、JGRトヨタの若造2人による
争いという新たな楽しみは生まれました。