NASCAR Sprint Cup Series
Ford EcoBoost 400
Homestead-Miami Speedway 1.5miles×267Laps=400.5miles
winner:Jimmie Johnson(Hendrik Motorsports/Lowe's Chevrolet SS)
2016 Sprint Cup Series Champion:Jimmie Johnson(Hendrik Motorsports)
NSCS最終戦ホームステッド。天気の心配(=放送時間の心配)もなく
2016年のチャンピオンが決まります。
カイル ブッシュ、カール エドワーズ、ジョーイ ロガーノ、ジミー ジョンソン。
4人の中で最上位だったドライバーが2016年の、そして最後の
スプリント カップを手にします。
レース前に早速ケチが付いたのがジョンソン。車検に引っかかったようで
最後尾スタートになります。
グリッドと言えば、今回BKレーシングのマット ディベネデトーは93号車ではなく
NASCAR Heat Evolutionスキームの49号車で登場、色がエドワーズと
紛らわしいですw
また、リーバイン ファミリー レーシングも95号車と59号車の2台エントリーで
タイ ディロンとマイケル マクダウルが乗ります。マクダウルはクラッシュがなければ
良いレースをしている印象です。なお95号車は来年のチャーターを
トミー ボールドウィン レーシングから譲渡してもらって確保、
TBRはフル参戦をやめる模様です。
PPは現行制度で初めてふるい落とされたケビン ハービック。
チェイス ドライバーではカイルとエドワーズが5列目、ロガーノが7列目、
ジョンソンがビリでレースが始まりました。なお、この辺りまでは
出勤前に見ておりました。誰か代わりに仕事してくれないかな~w
序盤はハービックがリード、1回目のコーション後はエドワーズが
ハービックとリーダー争いしつつ、ロングでの安定感を感じます。
なお、最初のコーションのピットでデニー ハムリンがタイヤ無交換で
ピットを出た表示がされて驚かされましたが、単にボックスに入り損ねて
通過しただけです(´・ω・`)
一方カイルはハンドリングに苦戦している模様、ロガーノはショートなら
速いけどデグラデーションが大きく、ジョンソンも追い上げてトップ10には
入ってきたものの、やはりハンドリングに難あり、という前半~中盤の戦いになります。
レースの展開が見えてきたのは67周目、ロガーノがピットへ。
まだリスタートから35周と航続距離からすると70%程度ですが、
ロングが遅いのでアンダーカットを狙ってレースを動かす策です。
彼のクルー チーフ・トッド ゴードンは『1周早ければ3秒稼げる、2周なら6秒』
と見積もっているようですが、実際1周で2.5~3秒稼ぐことができていました。
だって、目で見てリスタート後と20周経過時で車の速度が露骨に違うぐらい遅いんだもんw
当然彼が動くとカバーのために周りも動くので、レースはこの後も
同じ流れが予想されます。
そしてこのピット サイクルでジョンソンのジャックマンがすっ転んで時間を失います。
左に曲がろうとして体を傾けている時に、絶妙にナットを、しかも2本も足の裏で
踏んづけたので、足の裏も体も痛かったでしょう^^;
この後80周目にジェフリー アーンハートがピットに入り損ねてスピンし
2度目のコーションとなります。
86周目のリスタートではピットで2位に上がっていたロガーノが
ハービックを抜いてリーダー、エドワーズもハービックを抜いて、
4位にカイル、5位ジョンソン、もはやチャンピオン争い=優勝争い、に
なるはずでした。
しかしそこに割り込んだのが予選24位のカイル ラーソン。
ホームステッドは大外のバンク角が一番高く、元来大外好きのラーソンは
一人だけ壁すれすれを走って異様なペースで周回。
次々とコンテンダーを抜き去り、118周目にとうとうリーダーになります。
そしてこの周にまたロガーノがアンダーカット狙いのピット。
レースが目まぐるしく動きます。
136周目、カイルが右前輪の異変を訴えて緊急ピット。
サイクルがズレてしまい危機が訪れます。
彼にとって最悪なのは周回遅れになった今コーションが出ることですが、
幸いこの後もグリーンが続き、上位陣も次のサイクルに。
これでカイルは一旦元いた順位に復帰、そして171周目、もうタイヤがズルズルで
困ったところでデブリーによるコーション発生。カイルのファンが
何か投げてくれたんでしょうか。
ここまでの展開は安定感のあるエドワーズが明らかに一歩前に出ており、
ロガーノはロングでの悪さをどうこうするよりも、終盤にショートが
続くような展開を望んで力押しの雰囲気です。
そして残り約90周でのコーション、解説のスティーブ レターテは
「今リード ラップ車は13台しかいない、残りが90周、カイルとジョンソンは
大きなアジャストをするなら今だ」と言った話をします。
するとこのピットでレターテの言葉通り、ジョンソンはフロントの左右両方、
カイルも左フロントのラバーを外してフロントのサスペンションの可動範囲を伸ばします。
ターンでよりフロントを沈み込ませてスプリッターを路面に近づけ
ダウンフォースを得る考えです。
リスタート後、ラーソンは我関せずで逃走、エドワーズとロガーノは
直接対決になり、その後ろではアジャストが功を奏したかカイルとジョンソンも
さっきまでより速くなっています。
残り90周あまりでのリスタートでしたから、私はロガーノが残り60周、30周の
2回でアンダーカットを仕掛けると予想、レターテも残り58周辺りだろうと
言っています。
ところが、残り61周でライアン ブレイニーがクラッシュしコーション。
距離的に燃料はギリギリ足りるけど、タイヤ的には今日はまだ誰も走っていない
周回数、という微妙なタイミングです。特にアンダーカットで
レースを動かしていたロガーノにとって持久戦は不利、エドワーズはそれで
行けるならシメシメ、でした。
ところがエドワーズ、このピットで順位を3つも落としてしまい5位に転落。
ロガーノが2位となり、カイルが3位、ジョンソン6位、ますます分からなくなります。
リスタート後に飛び出したのはカイルでしたが、エドワーズが徐々に上げてきて
残り25周でカイルも抜いていよいよチャンピオンに手が届き始めます。
このあたりでロガーノがピットに入るギャンブルをするかに注目していましたが
ロガーノも居座りを決め込んで、後は完全に燃費レースです。
前日のXfinity Seriesの最終戦ではダニエル スアレスがラテン アメリカンとしては
として史上初めてNASCARの3大ナショナル シリーズでのチャンピオンを獲得。
(スアレスはメキシコ人)
彼もJGRの19号車でARRISのスキームというエドワーズと全く同じ外観で、
2日連続でチャンピオンとはこれはできすぎな話だ、、、そう思い始めていました。
しかし残り15周、ダイラン ラプトンのクラッシュでコーション発生。
22歳、カップ通算4戦目のラプトンはこのチームでの出走は今日が初めてです。
みなさん当然タイヤがへたっているのでピットへ。ここでエドワーズは会心のピット。
一方カイルは失敗してしまいます。
リスタート順位はアウト側がラーソン、ハービック、カイル、
イン側がエドワーズ、ロガーノ、ジョンソン。
リスタートの動き出しから最初の数周が速いロガーノ。なんとしても
それは阻止したいエドワーズ、そして
あっけない幕切れ、蹴り出しが悪かったエドワーズ、インをのぞくロガーノ、
それを阻止しようとエドワーズがかぶせた結果接触、エドワーズ車は大破し、
後続でチェーン リアクション。マーティン トゥルーエックス ジュニアの
車は炎上し、これで即刻赤旗に。
あそこで寄せて引く相手ではないので、寄せれば絡むのは当然のこと、
エドワーズ、完全に判断ミスでした。
この後エドワーズはロガーノ陣営のピットに向かい、喧嘩するのかと思いきや、
リポーターのマーティー スナイダーは「100%自分のミスだと謝罪した」
とのこと。後のインタビューでは「謝罪したわけじゃない」と
その部分は否定したものの、レーシング アクシデントだったよな、あと
がんばってくれよ、と、励ましに行った模様。
この辺りが彼がファンに愛される理由であり、逆にここ一番で弱さが出てしまうことを
よく表しているなと思います。クラッシュ後のインタビューで相変わらず
スポンサーの名前全部出して感謝してるし。髪はGreat Clipsで切ってるんですよ。
破滅的な出来事から数十分、赤旗が解除されると、ロガーノはピットへ。
レース速度では半周としていないタイヤですが、ロガーノはダメージ確認・修復も兼ね、
しかも、彼の後ろが全員ピットに入ったため順位を失いませんでした。
リスタートはジョンソンとカイルが2列目、ロガーノは4列目。
残り5周、カイルのリスタートは不発!一方ロガーノがすごい勢いでターンを回り、
あっという間にカイルを抜いてジョンソンの背後に。
この勢いで行くのか!?と思った矢先、後方でリッキー ステンハウス ジュニアが
クラッシュして水入りに。
直後はコーションが出なかったのでオフィシャルも一瞬
「あ、イン側に止まったし、部品が落ちてなかったら5周ぐらいやろうかな」
と思ったのかもしれませんが、まあ無理ですわな。これでNASCARオーバータイムに。
このコーション、もうダメだと思ったか、カイルがピットに。
そのままでは3列目リスタートなので、自力ではもう無理と考えて、
OTが複数回になる奇跡を待ったんでしょうか。
そして迎えたOTのリスタート。なんとここで今日初めてラーソンのリスタートが
決まらず、イン側先頭のジョンソンがリーダーに。
ロガーノはターン1で突っ込みすぎて失速し万事休す。そして、
今日はお化けのように速かったラーソンを寄せ付けずに2周を走り切り、
なんと優勝してチャンピオンを決めました。
ジョンソンは自身7度目のチャンピオンで、
リチャード ペティー、デイル アーンハートと並んで史上最多タイとなりました。
現行チェイス制度になって以来、3年連続でチャンピオンは優勝で決定、
また、ジョンソンはホームステッド15回目で初めての優勝です。
そもそも、ジョンソンばっかりチャンピオンになって面白くないから
モータースポーツの常道を逸した強制最終戦決着方式を導入したのに、
その制度ですら彼は乗り越えてチャンピオンに輝き、
改めて現役最強のドライバーであることを証明しました。