NASCAR Sprint Cup Series
Goody's Fast Relief 500
Martinsville Speedway 0.526miles×500Laps=263miles
winner:Jimmie Johnson(Hendrick Motorsports/Lowe's Chevrolet SS)

 NASCARシーズンもいよいよ終わりが近づいてきました。
チェイス第3ラウンドの初戦マーティンズビル。
またもやジミー ジョンソンがラウンド初戦を取って、現行チェイス制
3年目でとうとうチャンピオンシップ進出です。
誰だ、第1ラウンドで落ちるとか言ったやつは!(´・ω・`)

 PPはまたマーティン トゥルーエックス ジュニアでした。
タラデガでまさかのエンジン故障、チェイスから脱落したトゥルーエックス、
今日は勝ちを狙いつつ、まだ生き残っているJGRの4人との協力も
担っているようです。

 22周目にいきなりリッキー ステンハウス ジュニアがクラッシュして
コーション発生。ここは抜きづらいトラックだからそんなにピットに入らんだろうと
思ったらデグラデーションが大きいのか結構ピットに入って順位がシャッフル。
ジョンソンはこのリスタートが2位でしたが、古いタイヤで後続から
いじめられてしまい車が次第にボコボコに。そしてリーダーにはトゥルーエックスが
戻ってきます。

 61周目にデービッド レーガンのトラブルでコーション。
リスタートの3位がJGRなら、トゥルーエックスはあえて外リスタートで
助けてあげます。こうなるとライバル勢は2位ではリスタートしたくないですね^^;

 その後も、1周だけマット ケンゼスをリーダーしてボーナスの1点だけ上げて
順位を戻すアシストぶり。ただ、この後200周に差し掛かるころから
路面と車が合わなくなってきたのかアシストどころか本気でJGRより
遅くなってしまったようです。芝居だったらすごいが。。。

 198周目、ジョンソンがデニー ハムリンに思いっきり押されてあちこち
細かく当たりまくってジョンソンのフェンダーが変形。
ハムリンは序盤にピット速度違反でビリになっていましたが戻ってきました。
彼はおそらく今年最も違反の多いドライバーです。せっかちなんでしょうか?
 ジョンソンはタイヤから白煙を上げてやばい状態になりますが、
デブリーが出たのか、運営がかわいそうだと思ったのかコーションが出ました。
ただ修復で板金叩きまくったのでリスタートは後方に沈みます。


 208周目にケンゼスをリーダーにリスタートが切られると、ここからは
ケンゼスのターン。しかもここからのグリーンは長く、
350周を超えたあたりからアンダー グリーンでピットが始まります。
ここで勝負の分かれ目が唐突に現れました。
 358周目、JGRの一角であるカール エドワーズがクラッシュ。
その前から右前のブレーキに問題を抱えていたようなので、温度が上がりすぎて
タイヤを傷めクラッシュしたと思われます。
 このタイミングが大問題でした。ピットに入った車とまだの車が混在する状況での
コーションだったため、順位が大きく変動したのです。
 コーション時の順位はコース上の場合出た瞬間の位置ですが、
ピット内にいる車は基準線でのコース上の車との位置関係になり、
オフィシャルも正確に誰が何位なのかを確定するのに時間を要してしまいます。
 とりあえずはっきりしたのは、ケンゼスが鼻の差で周回遅れになってしまった、
ということでした。
 ケンゼスはこのピットで少し時間がかかってしまい、カイル ブッシュより
遅れて復帰したことが致命傷でした。
 さらに事態を混乱させたのは、ピットに入っていない組も、コーションが
長引きすぎて燃料が切れてしまったこと。リーダーのA J アルメンディンガーが
ピット クローズ中にピットに入ってしまい、さらにジョンソンもコース上で停止。
 ジョンソンも終わったかと思われましたが、リザーブ タンクに切り替える際に
操作ミスか何かしたようで、再始動後はちゃんと動きます。でも
早くピットが開いてくれないといずれやばくなります。
トイレに行ったら全部ドアが閉まってる状態です。

 公式サイトのラップbyラップによると、コーションが出たのは357周目ですが、
ピットが開いたのはそれから10周後の366周目でした。
ケイシー メアーズもオープン前に漏らして給油してしまいます。

 混乱は続き、じゃあリスタート オーダーは誰が何位で、誰がペナルティーで
後方に沈んで、誰がウエーブ アラウンドを受けて、というのがレース コントロールも
なかなか正確に把握できず。
 一旦外れたペース カーがまた戻ってくるし、ランプは消したり点けたりするし、
何か3ワイドで走ってる列があるし^^;
リード ラップ車はどうやらたったの10台であると情報が出ますが、
リスタート オーダーの3列目になぜか2周遅れの車が挟まったままだしw

 結局リスタートは387周目、1台が壁にバーンと当たっただけのアクシデントに
実に30周も費やしてしまい、挟まってる人が一部そのままに。
 ハムリン、カイル、ジョンソンというオーダーでようやくレースが再開され、
ハムリンがリードを保ち、カイルが後ろに付きますが、ジョンソンは
カイルをズバッと抜いて2位浮上。
 序盤に車をぼっこぼこにする原因を作った相手がハムリンですから、当然
話題はここで『やり返すのか』になります。

 しかし結果的にジョンソンはそんなことしなくても綺麗なバトルで
ハムリンを抜いて409周目にリーダーになります。
クロスをかけたハムリンがまた押したらさぞかし大乱闘が期待できそうですが、
2人とも非常にクリーン。マックス フェルスタッペンよりよっぽど
NASCARドライバーの方が行儀が良さそうです。
見もしないでNASCAR=乱暴って言ってるの誰?
まあ、生粋のファンはこれじゃあ物足りないと思ってるんでしょうが。

 結局この後は波乱もなくジョンソンが勝利。
マーティンズビル通算9勝目でジェフ ゴードンに並びました。
 最近のファンの方はご存じないでしょうが、2004年、ここマーティンズビルの
レースに向かうHMS所有の飛行機が墜落し、乗員10人全員が死亡。
 その中にはリック ヘンドリック兄弟でHMS社長のジョン ヘンドリック、の
リックの息子でオーナー兼ドライバーだったリッキー ヘンドリックも
含まれていました。もう12年になるんですね・・・
(当時発売されたオートスポーツ誌はこの事故を伝えながら、
『リッキー』と『リック』の区別がつかず、リックの写真を掲載して
『こちらが無くなったリック ヘンドリック、ご冥福をお祈りしたい』
といったことを書く、アメリカだったら即時謝罪レベルのミスを犯した)

 ジョンソンとゴードンがここを席巻していることも含め、HMSにとって
マーティンズビルは特別なトラックと言えます。
 ジョンソンにとってコーションは棚から牡丹餅な展開でしたが、
その後のランで圧倒的に速かったあたりから、このトラックの
終盤のコンディションに対する車づくりというものを熟知していたことがうかがえます。


 一方4人全員が最終戦に進む夢を描いていたJGRは、ブラッド ケゼロウスキーという
思わぬ難敵に抜かれてしまい、ハムリン、ケンゼス、カイル、の順で3~5位。
エドワーズが36位と苦しい立場です。
 この4人以外が勝った=4人全員は無理=チーム内で誰かひとり落ちないといけない、
ということになるわけですが、レース終盤、カイルが無線で
「ジョンソンが勝つんだったら行かせてくれよ」的なことを言っていました。
 チームメイト同士で争って優勝を逃すことはするなよ、という話が
事前にあったんでしょうが、枠が減ったことで今後チーム内の争いも
激しくなってきそうです。
 ただ、今日に関しては3~5位を走っていて他のライバルを締め出しており、
かつエドワーズだけはほぼ0点ですから、無理にやりあって事故るよりは
順位キープが正解だったと思います。


 その『他のライバル』ですが、ケビン ハービックはピットでのペナルティーで
集団に埋もれると意外や意外、追い上げることなく周回遅れになってしまい、
中盤以降まさかの失速で20位。
チームメイトのカート ブッシュも、スウェイバーが壊れたとか言っていたように
聞こえたので、ロール制御に不具合があったんじゃないかと思いますが、
車がグダグダで22位。ただハービックはフェニックスで勝つ予定なので
まだ大丈夫です。
 9位のジョーイ ロガーノはポイントで争える位置。
昨年はここでケンゼスに自爆テロをやられて終わったようなもんなので、
残る2戦をきちんと争えるのだけ昨年より遥かに好条件です。
 ちなみに、ペンスキーでチャンピオンを取ったインディーカーの
サイモン パジェノーが遊びに来ていたそうです。


次戦はテキサス、ここもジョンソンが強いんですが、果たして彼は
のんびりしとくのか、勝って戦局を混乱させにかかるのか。
形状も時間帯も違うのでここで速くても、最終戦のホームステッドの参考には
あんまりならないんですよね。