NASCAR Sprint Cup Series
Hellmann's 500
Talladega Superspeedway 2.66miles×188Laos=500.08miles
winner:Joey Logano(Team Penske/Shell Pennzoil Ford Fusion)

 チェイス第2ラウンドの最終戦タラデガ。
今年最後のリストリクター プレート レースは色々とあったような無かったような。

 PPはマーティン トゥルーエックス ジュニア。ここのところプレート レースでは
JGRトヨタが集団で引っ張ることが多いですが、今回JGRの4人中、
デニー ハムリンを除く3人は車両規定違反でスタートが最後尾に。
この3人はポイント的に安泰で後方待機作戦が濃厚でしたから、わざと
違反して後方に下りる苦労すら省いたような気がします。一方ハムリンは
ポイントでギリギリの争いなので、仲間無しで自力で戦う必要性ができました。

 レースはブラッド ケゼロウスキーが絶好調。サイド ドラフトも駆使して
隊列を巧みに操作します。
コーションが出ることもなく最初のピット サイクルが訪れますが、
ここで珍事発生、ロガーノがジャッキを挟んでピットを出てしまいそのまま
丸々1周。車を左右に振っていましたが、外れたら大惨事であり、おとなしく
ゆっくり走るべきです。
さらにハムリンは速度違反でペナルティー。コンテンダー2人が
集団を離れてボッチになります。

 ところがそのわずか数周後、トゥルーエックスのエンジンがブロー。
ここまでリタイアゼロのためほどなく40位確定。
他のコンテンダーがまとめてガレージ送りにならない限り次ラウンド進出が消滅です。
うーん、私がチャンピオンと予想したからか?

 TRDエンジンは数年前にパワーはあるけど壊れやすい時期がありましたが、
昨年から約2年間ほとんどこうしたことがなく来ていたのに、このラウンドだけで
2度目のブロー、文句を付けることなんてできません。
 これでボッチ組は難を逃れることができました。2週間前、
ブローのせいで危機に陥ったハムリンは今度は他人のブローに救われます。

 レースはこの後も淡々と進み、114周目、グレッグ ビッフルと
ジェフリー アーンハートが接触、ケイシー メアーズが巻き込まれて
ようやく2度目のコーション。
GoFAS Racingにいたはずのジェフリー、今日はBKレーシングの83号車なので
ビックリです。アーンハートと名の付く人がトヨタ車に乗るのって
史上初じゃないでしょうかw

 残りが70周あまりということで、作戦的にはここで入ってあともう1ストップ。
後方待機組はあくまで作戦継続でコーション中に燃料継ぎ足しを繰り返します。

 残り50周を切る中、リーダーのケゼロウスキーのグリルに複数のデブリー。
ここまでレースの多くはダブル ファイルだったのに、運悪くこの時は
シングル ファイル。順位を明け渡して取り除こうにも、大幅に順位を落とす
危険性があるためになかなか身動きが取れず、その間に水温・油温が上昇していきます。
 数周後、2位のライアン ブレイニーに前に出てもらってようやく除去に成功。
恐らくブレイニーの所属するウッドブラザーズ レーシングはペンスキーと
協力関係にあるのでお願いしたんでしょう。
 いやあやっと取れたね、と思っていた矢先、ケゼロウスキーが失速、
エンジンが壊れました。。。
処置が遅かったこととの因果関係はもちろん不明ですが、ペンスキーは
ロガーノも進出が確定していないドライバーだっただけにロガーノを安易に
列から外して利用することもできず、変に2台で順位を下げたら2台とも
脱落の可能性がありましたから決断をためらったと思います。
良し悪しは難しいところです。


 このコーションでは2タイヤ交換が多く順位がシャッフル。
一度は危機的状況だったロガーノがリーダーでレースがリスタートします。
残りが39周となるとそろそろみんな前に出たくなるので動きが激しくなります。
 デブリーのコーションを挟んだものの残りは10周を切りいよいよ危険な時間帯。
残り7周、ケイシー ケインが単独スピンしてコーション。
巻き添えは1台だけで済みました。

 残り3周、ロガーノとケビン ハービックが1列目で、2列目が経験の浅い
ブライアン スコットとアレックス ボウマン。こういう時経験の浅い人は
何もできないか無駄に場を荒らすかがほとんどなので、後ろに人は困るわけですが、
1周して戻ってきたところでボウマンがスピンしてしまいました。
芝を刈っただけでライン上に戻ってこなかったために巻き添えはなく、
これでNASCARオーバータイム。

 インがロガーノ、ハービック、アウトがスコット、ハムリン。
ここで一番大事だったのがハムリンで、彼は次ラウンド進出に向けて
オースティン ディロンと僅差で争っており、リスタートが11位のディロンとは
この時点でたったの4点差。
前に出る余地があるディロンと比べてハムリンには稼げる余地が限られています。

 リスタートでロガーノをガンガン押すハービック。既に進出が決まっているから
怖いものなしです。ロガーノは押してもらったら恩をあだで返してアウトに動き
スコットの前に。これでハービックが後退、ハムリンがスコットに付いて行って
3位になり、ロガーノ、スコット、ハムリンの3台が連なって抜け出しました。
スコットは何かするわけでもなくロガーノが安泰な雰囲気になりました。
 ターン3でスコットが一瞬何かやろうとした気がしましたがロガーノに消され、
そのままついて行って自己最高位の2位、ロガーノは勝って次ラウンド進出、
そしてハムリンは最後の最後、カート ブッシュに抜かれましたが、それを
サイド ドラフトを使ってさらに最後の最後に抜き返して3位フィニッシュ。
ディロンは6位フィニッシュで両者は同点となり、タイ ブレイクによって
辛くもハムリンが次ラウンド進出です。
デイトナ500をほんのわずかな差で制したハムリン、ここでも
フロント オーバーハングの長さだけの差で生き残りました。
逆にディロンは5位にあと車体半分届きませんでした。


 結局今回のレース、いわゆる”ビッグ ワン”は一度も発生せず、
最も多くの車が巻き込まれたクラッシュはチェイスに関係ないドライバーの3台が最多。
34台が全周を走り切りました。

 ある意味最大の波乱はレース後で、スチュワート-ハースのチームメイト、
ハービックとカートがレース後にひと悶着。
カートがハービックにわざとぶつけ、怒ったハービックが車を降りると
「てめえ何しやがる」とばかりに抗議。
 次ラウンド進出が決まっているハービックでしたが、リポートでは
カートを助けるつもりはなく勝つつもりで臨んでいるとのことでした。
 そして、最後の場面を見直してみると、リスタート後に外されたハービックは
カートの前に出て引っ張ってあげる機会が一度あったのに、無視して
先頭争いに加わり、結果カートが外されてどんどん後退していました。
結果的にカートはそこから追い上げてきていて、そもそもカートはポイント的に
そこまで切迫した状況ではありませんでしたが、チーム内で何らかの
約束があったのにハービックが守らなかった、など、何かしら
不満要素がカート側からするとあったようです。

 これで
オースティン ディロン
チェイス エリオット
ブラッド ケゼロウスキー
マーティン トゥルーエックス ジュニア
の4人が脱落。私がチャンピオン予想のトゥルーエックスと、ファイナリスト予想の
ケゼロウスキーが消えてしまいました(´・ω・`)


 次ラウンドに残ったのは車番順に
ケビン ハービック
デニー ハムリン
カイル ブッシュ
カール エドワーズ
マット ケンゼス
ジョーイ ロガーノ
カート ブッシュ
ジミー ジョンソン

 トゥルーエックスの想定外の離脱がありましたが、結果的に
JGRの4台が全て残っています。
万一全員がホームステッドに残ったら、来年から
「1チームにつき最上位の1台」とか「各メーカーから最大で2台」とか
いらんルールができそうですw



 最後に、先週の放送のG+の解説で
「来年からピット クルーが一人減るかも」という話が出ていましたが、
NASCARは来年も現行制度を維持すると発表しました。
しかし2018年以降に向けた検討は続ける模様です。