NASCAR Sprint Cup Series
Hollywood Casino 400
Kansas Speedway 1.5miles×267Laps=400.5miles
winner:Kevin Harvick(Stewart-Haas Racing/Outback Chevrolet SS)

 NSCS at カンザス。福山 英朗の解説によると、前戦でタイヤの問題が
多く発生したこともあって今回持ち込まれたのは昨年スペックの
固めのものだったとのこと。これが結果的にレースを左右しました。


 PPはマット ケンゼス、カンザスは近年成績が良く、昨年もジョーイ ロガーノと
接触するまでレースの多くをリードしていました。
今日も序盤の多くをリードし、行けそう感がありましたが、121周目の
リスタート後のスティントからハンドリングが悪化。
トラブルかと心配になりましたが、結局9位フィニッシュで未勝利組では
最大のポイントを持ってタラデガに向かいます。

 このレースもコンテンダーには様々な問題が襲い掛かります。
ケンゼスのチームメイト、デニー ハムリンはレース早々にハンドリングの不調を訴え、
コーションのタイミングで複数回ピットに入って行った対処は
”スプリッターを削る”。これがうまくいったのか、その後は盛り返しますが、
最後の肝心なピットでtoo many man over the wallのつまらんペナルティーを
食らってしまい、15位フィニッシュでチェイス当落線上です。
 他のレースでは見たことない、どころかNASCARでも見たことないこの修復法。
推察するに、この週末は曇りが続いていたのが決勝だけ好天で、ケビン ハービックが
レース前に「スプリッターを高くしないと」と言っていました。

 気温・路温が高い→想定よりタイヤ温度が上がる→タイヤ内圧も上がってしまう→
スタート時の内圧設定を少し下げる必要がある→とりわけリスタート時の車高が下がる→
とりわけ内圧が低く重量が重いリスタート時にスプリッターが地面を打ってしまう

 ということからだと思います。
 一方で、ハムリンはいつも火花の量が多いので、特に車高をギリギリまで
下げたがるドライバーだと思われます。
ということは、車高が最適値を下回りすぎたハムリンはスプリッターを
路面に不必要に当ててしまい、表面が傷んだ、ないしは、対応策として
内圧を上げるよりは削る方が安定すると判断した、ということのように思われます。
恐るべしNASCAR。

 マーティン トゥルーエックス ジュニアは給油装置のトラブル発生!
 最初のトラブル発生時には、2缶目がほぼ入らず一人だけ半タンク状態。
G+の放送では2度目には解決したような話になっていましたが、
実際には以降もうまく入っておらず、仮に長いグリーンが続く展開であれば
危機でしたが、たまたまコーションの時期や間隔にうまく救われて
浅い傷で済みました。
 ちなみに、タンク1缶は12ガロン=約45Lだったと記憶しています。
1.5マイルのトラックだと1ガロンの航続距離は約3.7マイル≒約2.5周です。
この動画のピットでは3ガロン少ないと言っているので、ライバルより
7~8周早く燃料が切れることになります。

 大きくポイントを失ったのはチェイス エリオットとブラッド ケゼロウスキー。
エリオットは左リアのタイヤにトラブル多発。
 一旦はリード ラップまで戻ったのに、最終スティントにまたトラブル発生、
31位フィニッシュで一人だけポイントで大差がついてしまって
勝たないと次ラウンド進出は絶望的です。

 ケゼロウスキーはルースになってスロットルを戻したところでハムリンに
オカマを掘られて芝へダイブ。
 ハムリンからすると不可抗力で、自滅としか言えません。
本人もやや反省モード。この後フェンダー交換で復帰するも、オイルが漏れて
コーションを出しただけでそのままガレージへ。
もうダメなので明らかにピット速度を無視してガレージへ向かうケゼロウスキーでした。
いや、危ないから制限してるわけで、リタイアするからって無視しないでよ・・・
 しかし幸いと言うべきか、前戦でポイントを失った人がたくさんいるために、
必ずしも勝たなくても次ラウンド進出は可能です。


 さてレースの方はケンゼスからリードを奪ったハービックをさらに
カール エドワーズが逆転してここからしばらくリーダーの座を堅持します。
 残り34周、リーガン スミスのアクシデントでコーション。
上位6台はステイ アウトで、4列目以降に新品タイヤ組。タイヤの履歴差は
実質的に10周弱です。
 残り30周でリスタート、ここでハービックがリードを奪います。
結果的にこれがウイニング ムーブでした。
 新品タイヤ組からはカイル ブッシュが勢いよく前を狙っていき、
2位のエドワーズを捕まえるところまでは行きましたが、
ここでエドワーズが踏ん張って抜き返し、カイルはズルズルと後退。
 タイヤのデグラデーションが小さいために10周程度の履歴差では少し走った段階で 
タイヤ履歴による性能差<車の仕上がり
となっていた模様です。
私はその点をすっかり忘れていたのでタイヤ替えた組が有利だと思い込んでおり、
見事にレース展開を読み誤りました。


 ハービックはまたも勝たなければいけないレースできっちり勝って
チェイス連続生き残り記録を継続。昨年は超絶インチキを使ってやり過ごした
タラデガをのんびり走ることができます。
ケンゼス、カイル、エドワーズのJGR3人は、それぞれ28位、26位、23位
以上であれば無条件で次ラウンド進出。
後方待機作戦でも構わない数字ですが、待機していて万々一何も起きないと
ただ最後尾でフィニッシュして墓穴を掘るので、どう考えるかがポイントになりそう。
 対してエリオットは勝たないとほぼ無理な状況ですが、
チームメイトのジミー ジョンソンは既に確定。
 ジョンソン・ハービックあたりからすると、実力では劣るであろう
エリオットに進出してもらってケゼロウスキーあたりが落ちてくれた方が
自分にとって有利なので、あえてエリオットを支援して勝たせておく、
ということも考えられなくはありません。
タラデガは団体戦であり頭脳戦ですから、それぞれの思惑を考えながら見ると
面白いと思います。
 どうも来年からタラデガはラウンド最終戦から移動のようで、公平性という
観点からみると、最悪
”どっちがより前方でクラッシュ・停止してリタイアしたか”という差で
進出者が決まることが無くなって良いのかもしれませんが、
それこそが醍醐味だというのが見る側の考えでもあるので、必ずしも
良いアイデアとは言えない気もします。

 F1アメリカGPと同日なので、誰もF1に興味を示さないんじゃないでしょうか。
フジテレビも放送事故ってことにして間違えてNASCAR放送してくれませんかねw