NASCAR Sprint Cup Series
Bank of America 500
Charlotte Motor Speedway 1.5miles×334Laps=501miles
winner:Jimmie Jhonson(Hendrick Motorsports/Lowe's Chevrolet SS)

 NSCSはチェイスの第2ラウンド、まずは高速1.5マイルのシャーロットから。
ハイチなどで大きな被害を出し日本のニュースでも取り上げられたハリケーン
”マシュー”の影響で、週末のスケジュールが大幅に変更。
本来は土曜の夜が決勝ですが、木曜日にフリー走行と予選を行った後
金曜土曜と走行無し、日曜の昼に決勝が行われることに。
 そして、数人のチェイス コンテンダーにとってはこのレースこそが
嵐となってしまいました。


 PPはケビン ハービック、2位はアレックス ボウマン、3位にチェイス エリオット。
珍しくヘンドリック エンジン勢が独占です。
 序盤から速さを見せたのはエリオット。ヘンドリックの先輩方も
シャーロットは得意で、しかも代走のボウマンも速いことから、
今度こそ、今度こそ、いや今度こそ、勝てるんじゃないかと期待が高まります。

 ところが62周目にそのボウマンがタイヤのトラブルからクラッシュ。
走行データが少なく、本来の夜ではなく昼、しかも路面状態が悪い。
こういう時にタイヤの壊れる人が1人出ると、多発することが多いので
注意が必要です。片山 右京的に表現すると
「タイマーの壊れた時限爆弾を抱えてるようなもん」です。
この表現けっこう面白くて気に入ってますw

 71周目のリスタート後も好調のエリオット。
すると90周目、カイル ブッシュのタイヤにもトラブル。
クラッシュは免れたものの周回遅れに。こうなると、各陣営あまり
タイヤを使い過ぎたくないし、それに起因するコーションが出る可能性を
警戒することになります。
 110周を超えたあたりからピット サイクルが始まりましたが、サイクルが
一巡する前の117周目、またもコンテンダーにトラブル。
ジョーイ ロガーノもタイヤが壊れて壁に当たりました。
 これで損をしたのは既にピットを済ませていたエリオット。
逆に引っ張っていたジョンソンとデニー ハムリンが大きく得をして
次のリスタートの最前列となります。
これが1つエリオットの流れを狂わし、ジョンソンに追い風が吹く転機だったと思います。

 レースはしばらくハムリンのリードとなりますが、
154周目、5位走行中のハービックが突如電源落ちでピットへ、
するとほぼ同じタイミングでまたもロガーノがタイヤを壊して壁にまっしぐら。
さっきよりも当たり方が深く、両者ともガレージ送りとなります。
ポイントがほとんど取れないことが決定しました。

 176周目、ハムリンからリードを奪ったジョンソンは快調そのもの。
2位にはエリオットも再浮上、まだ勝てる可能性がありそうです。
 この後デブリーのコーションを1回挟んで、253周目にA J アルメンディンガーの
クラッシュで再びコーション。これが2つ目の大きな転機になりました。
 前回のコーションから20周ほどだったため、ここでオースティン ディロンが
2タイヤ交換に出て2位でピットを出ます。ディロンは普通に戦うと
勝ち残れない立場なのでここで動きを見せたこと自体は悪いことでは
なかったと思います。が、これが災厄をもたらしました。
 リスタートでディロンが思ったほど加速せず、後ろにいた
マーティン トゥルーエックス ジュニアが追突、耐えきれずにスピンしてしまうと、
それをみて減速・回避したエリオットにカイルが追突してエリオットもスピンし
多重事故になりました。ディロンもエリオットも走行不能です。
 エリオットはこの前のピットで、2タイヤで遅いであろうディロンの後ろから
リスタートするのを避けるため、わざと減速を行ったりして調整したかったようです。
が、あれこれやっている間にトゥルーエックスがしれっと抜いていって
狙いが外れたような感じでした。結果論ですが普通に出ていれば
巻き込まれずに済んだかもしれません。
この多重事故では他にもコンテンダー数台が巻き込まれてフェンダー等を
壊してしまいます。

 赤旗を挟んで266周目にリスタート。ジョンソン、ハムリンの体制が
再構築され、レースは残り1ピット。鉄壁のジョンソンを崩すには
後続勢はアンダーカットに行きたいところですが、
今日は周回を重ねたところでのトラブルが多く、しかも既にコンテンダーが
4人も脱落していて確実にポイントを拾えばいいので、コーションで
周回遅れのリスクを負ってまで仕掛けるのはちと勇気がいります。
 一方で何台かの車は、残りの距離を超燃費走行で走り切ろうと画策している模様で、
トニー スチュワートがそのつもりだというリポート。
 さあ、ハムリンはいつ仕掛けるのか、その時スチュワートの位置は、
もう1回コーションが出るか、と色々考えていたら、なんと残り27周、
あろうことかハムリンのエンジンが壊れてコーション。
 作戦的な面白さも何もかもエンジンと共に吹っ飛んだ感じです。

 このコーションで全車最後のピット、ここでマット ケンゼスが先頭に立ちます。
ケンゼスはペナルティーで最後尾からレースをはじめ、せっかく抜いていたのに
今度はピットでのペナルティーでまた最後尾、と浮き沈みを繰り返していましたが、
気づいたらここにいました。一方、トゥルーエックスはなぜか
始動の際に電源が落ちて車が動かず、残りわずかという場面でまさかの
隊列後方からのリスタートです。コンテンダーに不運が襲い掛かり続けます。

 極めつけは最後のリスタート。ケンゼスはこのレースの流れの通りに
外側からのリスタートを選択しますが、アクセルを全開にするリスタート ゾーンの
手前からなんだかふらふらと動いて、ジョンソンがあっさりとリーダーに。
 ちょうどケンゼスがいたあたりはハムリンのエンジンがドカンといった付近で、
オイル除去剤が特に撒かれていた部分と重なります。
そのため滑りやすい状況だったのでは、と推察されます。
 仮にジョンソンが先頭でピットを出ていたら、彼らがそれを察知して
イン側を選択していたかどうかはもちろん分かりませんが、結果的に
2位リスタートだったことで容易にリードを奪い返したジョンソン。
 残り3周、これで勝つと78勝目なのに解説のスティーブ レターテが
「通算78勝」ともう勝った前提でカウントして?実況から突っ込まれる
一幕もありながら、ジョンソンがそのまま走り切ってこれでちゃんと78勝目。
シャーロットでは通算8勝目。

 一時期ここはロウズが命名権を持っており、ロウズのスキームで走る
ジョンソンがここで勝つことで、まさしくホーム イベント、という感じでしたが
(ちなみにロウズはいわゆるホームセンター)命名権がなくてもジョンソンが
このスキームで勝っている限り、「ああ、ここはLowe's Motor Speedwayだな」
と、命名権がまだあるかのように感じてしまうのは私だけでしょうか。
 
 ガレージ送りになった面々は尻に火が付きました。
4台が落ちるラウンドで大きくポイントを失った人が
ハービック、ロガーノ、エリオット、ディロン、ハムリン、と5人に。
最後のピットで大損し、本来なら危ないはずのトゥルーエックスが7位ですが、
8位ハムリンとは16点、9位のディロンとは22点と小さくない差。
 ただ、このラウンドの最後はタラデガ、先頭を走って最後の5周だったのに、
小競り合いからクラッシュして、リード ラップ車がたくさんいたから
結果は30位で大逆転負け、なんてことも十分ありえます。
ただ、点を重ねておかないと、タラデガでリスクのある走りをするしかなくなるので
あるに越したことはありませんし、次戦でカット オフラインから44点以上
離れていれば万一の時も安心です。

カール エドワーズのクルーはリアルに火が付きましたが。。。
足で消すなw