NASCAR Sprint Cup Series
Toyota-Save Mart 350
Sonoma Raceway 1.99miles×110Laps=218.9miles
winner:Tony Stewart(Stewart-Haas Racing/Code 3 Assoc / Mobil 1 Chevrolet SS)

 NSCSソノマ。FOXでの中継はこの第16戦まで。
ブギティブギティブギティ!はまた来年のデイトナ500までお別れです。
 ソノマを見るたびに「GTに再収録してほしいなあ」と思います。
コースの縁石が全体的に高めで、特にターン4の外側はものすごく大きいのを
またいで走るんですが、この部分、GT4で変な角度で乗り越えると
挙動計算が横転の数値を超えてしまうせいか、バグって車がワープしたりします。
GT4持ってる人は是非お試しをw

 で、肝心のレースの方は、なんとトニー スチュワートが2013年のドーバー以来となる
カップ通算49勝目。自身最長となっていた連続未勝利記録を84でとうとう止め、
引退シーズンでのチェイス入りへ大きく前進しました。

 燃費だけで言えば2ストップで走りきれる距離のレースですが、
タイヤのデグラデーションが大きく、ラップあたり0.1秒以上
(フューエルエフェクトを考慮せず)とみられ、一方でピットでのロスは
おおよそ25秒+静止時間であるため、最速はおそらく3ストップ、ただ
タイヤをもたせられない人は4ストップになりそう、と一応
『一般的な作戦論』がありますが、しかしこれはあくまでNASCARです。

 序盤戦はPPスタートのカール エドワーズ、ロード戦に全てを賭ける
2位スタートのA J アルメンディンガー、そして3位スタートの
マーティン トゥルーエックス ジュニアの3台が一歩抜け出ている印象。
後続よりもスティントを長く引っ張っていったことからも、
優勝争いはこの3台になる、と普通のレースならまずこうなります。
 ところがそこはNASCAR。46周目、早めのグループが2度目の
ピット サイクルに入り始めた頃にコーション発生。かなりしょうもない
デブリーによるもので、まあ他国のレースでこんなんでSCが入ったら
エントラントから大ブーイング間違いなしです。

 これで、好調だった上位陣は先に入った組より後ろでリスタートを
余儀なくされてしまい、ここからレースは違った様相に。

 残り40周にさしかかろうかというところから再びピット サイクルとなりますが、
今日の状態では燃料が足りる=もう入らない、とはなりそうもなく、
ここはアンダーカットしつつコーションが出たらまた考える作戦と
考えておくほうが無難のよう。
 このサイクルを終えて上位の顔ぶれはコーションで得したデニー ハムリン、
トゥルーエックス、カイル ブッシュ。

 残り25周、ここで17位のスチュワートがピットへ。
レース序盤はトップ5も走っていたスチュワートですが、じわじわ順位を落とし、
もうタイヤがもたんぞ、といった感じで飛び込んだピットでしたが、
なんとピットを出るとほどなくコーション発生。
 他にピットに入った人はおらず、当然他の人達はコーション中に
タイヤを替えに行くので、スチュワートはほとんどタダ同然でいきなり
リーダーになります。

 残り20周のリスタートで後ろにいるのはハムリン、カイル、トゥルーエックス。
アルメンディンガーは痛恨のアンコントロール タイヤ ペナルティーでほぼ最後尾。
せっかくの機会を失います。
古巣JGRとその仲間に取り囲まれた元JGR組の番長。さあどうする。
 しかしスチュワートは、ペースで勝ると思われる後続をうまくコントロール。
そしてわずか2周後にマイケル マクダウルが止まってしまいまたコーション。
スチュワートにとってはタイヤのライフが伸びる一方でまたリスタートを
しのがないといけないので良いのか悪いのか。

 残り14周、またリスタートを決めたスチュワート、今度はトゥルーエックスが
2位に浮上してガンガン仕掛けてきます。
見ているとスチュワートは時々リアをロックさせているような雰囲気。
車が低速コーナーで徐々にターン インしづらくなっているので、
ブレーキ バランスを後ろ寄りに持って行っているんでしょうか。
 それでも必死にしのいでいると、逆にトゥルーエックスとハムリンが
潰し合いを始め、ハムリンが再び2位に戻ったのでその間にギャップが1.5秒以上まで
開いて一時的にブロック ラインからも開放されます。
さらにターン4でハムリンがオーバー ランでタイムを失う場面もあり、
スチュワートの勝利が現実味を帯び出します。
ハムリン、ブレーキがちょっと辛そうです。

 残り2周、まだ少し差がある中でスチュワートがターン7のブレーキングで
完全に姿勢を乱しいらない旋回モーメント発生。
終わったか、と思ったら、これをなんとか抑えこみ引き続きリード。
ただし差がなくなります。

 そしていよいよ最後の周回。ターン7でハムリンが勝負に出ようと
インに入ったまではよかったものの、こちらもやはりもうブレーキングの
姿勢が不安定。止まりきれずに当てながら抜く形となります。
当然、ハムリンも含めここにいる、テレビを見ている全ての人間は
こう思ったことでしょう。
「トニーは最終ターンでインに入ってぶつけてクラッシュさせて勝ちに来る・・・」
さあ、なんとかそうならないぐらい引き離したいハムリン、ぶつけられる距離には
なんとか踏みとどまりたいスチュワート。
そして、運命の最終ターン、破滅へのロンド、かと思ったら、ミラーを見過ぎた上に
ブレーキも不安定なハムリンがまた車を滑らせて、進入で右前輪までロック。
止まらない&曲がりもしないハムリンのインにやすやすと入ったスチュワート。
そのままハムリンを外へ押し出し、劇的なレースは幕を閉じました。

 個人的に、私はスチュワートが起こした死亡事故について、彼を
認めようとは思えませんが、司法が問題ないと判断した物事ですので、
ひとまずレースはレース、事件及び民事訴訟等の問題はそれはそれ、
と切り替えて考えることにして自分を納得させています。
 そして、レースはレース、ということでは、今回スチュワートのした仕事は
見事でした。偶然巡ってきたリーダーの座ですが、そこを守り切ったのは
彼の腕前です。入られる距離に来たらインに寄り、必要ない距離と見れば
外側目いっぱいまで使ってタイムを稼ぐ。
トゥルーエックス相手にインが空いて「もう無理か」と思ったら、
並んできてから切り込んでギリギリの距離を保ち、結局相手に加速をさせずに
チャンスを潰した場面はまさしく『老獪なテクニック』でした。

 スチュワートは現時点でポイント31位ということでチェイス圏外ですが、
今後も普通にやっていれば30位以内に入れるので、チェイス進出が可能となります。
近年の成績だけを考えれば1ラウンド敗退が濃厚ですが、一方でここ数戦は
トップ10圏内に顔を見せるなど上向きな様子。
これがたまたまトラックとあっていただけで、次戦以降また20位前後に
沈むようだとダメでしょうが、引き続き好調ならひょっとするともう少し
先まで行けるかもしれません。
次戦はデイトナなので参考になりませんが。

 一方で、この引退間際のもうだめだと思われた45歳のおっさんが
チェイスの枠を1つ手にしてしまうとなると、ライバルにとっては困ったお話。
圏外だと思った人が入ることで、16位争いも面白くなるので、
色々な点で見どころは増加したといえるでしょう。
NBCさん美味しいですね。