NASCAR Sprint Cup Series
NASCAR Sprint All-Star Race
Charlotte Motor Speedway 1.5miles×113Laps=169.5miles
winner:Joey Rogano(Team Penske/Shell Pennzoil Ford Fusion)

 気づけば長いシーズンも1/3を消化して早いものでオール-スターです。
雨にたたられて予選どころか練習走行もごくわずか。
出場権のない人が残った出場枠をかけて争う前座レースのショウダウンも
本来の土曜日ではなく日曜日、本番の前となり、出場権を得た5名は
いわゆるダブルヘッダー、そして本番もまた雨で時間が押しています。
しかし正直今年は今まで私が見た中でも酷いレースで、楽しみにしていて
雨でも待っていたお客さんに申し訳なく思いました。

 このレース、当然選手権ポイントはなく、条件を満たして出場権を得た
20人のドライバーの中から、優勝者が$100万を手にする
賞金レースですが、ただ短距離走をやるだけでは面白く無いので毎年
手を変え品を変え不確定要素を作ろうとしてきます。それが今年は明らかに
度が過ぎて空回りでした。
今回、路面の乾燥でスタートが間延びしたせいで手順が狂ったか、
ダレル ウォルトリップの「ブギティブギティブギティ!」がありませんでした^^;

 あ、PPのケビン ハービック、チームと契約延長したらしいですね。

 規則を確認しておくと、今年の規則はレースが3つのセグメントに分かれており、

セグメント1 50周 アンダー グリーンでの2タイヤ以上交換のピット義務
  ↓
コーション 2タイヤ以上交換のピット義務
  ↓
セグメント2 50周 このセグメントの35周目までに
          アンダー グリーンでの2タイヤ以上交換のピット義務
  ↓
コーション くじ引きで決定される上位9/10/11台のいずれかの台数の車は
      4タイヤ交換のピット義務、以降の車はピット禁止
  ↓
セグメント3 13周 但しコーションが出た場合、コーションは周回に数えない

 この微妙な条件、見た瞬間に
「入ろうとしたらコーションが出て時間切れになったらどうすんの?」
と思いましたが、まさにその通りになってしまいました。
恐らく、ショウダウンのフィニッシュのほうが面白かったことでしょう。
 セグメント1は考えが2つに分かれます。1つは、50周を概ね半分に割って
アジャストしつつ4タイヤを行い車を万全にする考え。
もう1つは、少々タイムが遅くても、ギリギリまで走行して2タイヤを行い、
直後にインターバルが訪れるので、そこで替えてないもう片方も替えることで、
コーション中のピットを短くしてセグメント2を上位スタートしながらも
『実質4タイヤ』にしようという考え。
で、これが諸悪の根源でした。
 残り5周、ちょうど多くの引っ張り組の車がピットにいたタイミングで
ジェイミー マクマーリーがスピン。そしてこの時、マット ケンゼスがただ一人、
まだピットの入ってませんでした。さあ、心配したことがもう起きたぞ!w

 ケンゼスはまだピットに入っていないため、真ん中で入った組の人たち、
12位のデイル アーンハート ジュニア以下はこの時点で周回遅れでした。
そして、残り5周でのコーションのためセグメント1のリスタートはなく
これで終了、ケンゼスがアンダー グリーンでピットに入ることは不可能となります。
 ケンゼスは規則違反のため、リスタート前に1周加算のペナルティーを受けて
結果的に周回遅れ組と同じ扱いになりましたが、納得行かないのが
その規則違反の人のせいで周回遅れになった人たち。
 もしケンゼスがピットに入っていれば彼らは皆リード ラップにいた面々。
ケンゼスが先頭にいるのは違反によるもので本来いない人のはず。
にもかかわらず、彼らのリスタート時の扱いは、あくまでケンゼスが先頭にいる
状態を基準に計算されたため、ラップ ダウンの先頭であるジュニアが
唯一フリー パスを得た以外は皆周回遅れのままリスタート。
 ただでさえ台数が少ないこのレースで、リード ラップ車が偶発的に
いきなり12台になってしまい、完全にシラケました。
 なぜって、規則を振り返ってください、セグメント2後、くじびきで9~11位が
強制ピット、以降は強制ステイ アウトです。
これ、20台いる前提で、概ね半分の無交換組と、交換組が短い周回で
ガチャガチャやることを想定していたはずです。それがこのままだと、
最大でステイ アウト3台、最悪たった1台、全然意味が無いです。

 そしてセグメント2でもまた規則が原因の混乱発生。
16周目にコーションが出て22周目にリスタート。35周までにピット義務があり、
ケンゼスの2の舞はゴメン。となると、さっさと義務を消化したい人がいるわけで、
リスタート後の接近状態から、チェイス エリオットがピットへ入るため急減速。
これが引き金となって多重事故となり、トニー スチュワート、ケンゼスらが
ガレージ送りに。スチュワートは規則を思いっきり非難、また
罰金を受けそうな気がしますが、意見には同意しますw
 次のリスタートは32周目で、争いを放り出してピットへ行くしかない状況、
なんだかよく分からないレースをカイル ラーソンが制してくじ引きに。
 ゲストのNFL選手、グレッグ オルセンが『11』を引き当てて、
無交換組はたったの2台。一瞬で蹴散らされて、ラーソンとジョーイ ロガーノの
2台の争いとなります。
盛り上がったのはこの2台の争いの場面ぐらい。
 ショウダウンでエリオットを壁に挟んで勝ちを手にしたラーソンでしたが、
ここはロガーノが一枚上手。今季まだシーズン未勝利のロガーノが
来週の600マイルに弾みをつける勝利を手にしました。

 それにしても、不確定要素を作ろうとすることに頭が偏りすぎて、
見ている人が理解できないようなレースになったのは極めて残念です。
普通に短距離走やらしたらみんなそれなりにがつがつやるし、今のタイヤなら
全力で走ってるだけでもライフの良し悪しでもう1回波が来ますから、
必要以上にかき回す必要は全く無かったように思います。
来年はもうちょっとまともにしてほしいです。