オフにバギーで転倒して重傷を追っていたトニー スチュワートが
次戦リッチモンドでのToyota Owners 400でついに復帰することになりました。
 開幕から8戦を欠場していたスチュワートの最後のシーズンが2ヶ月遅れで
ようやく始まることになります。
 昨年カイル ブッシュがもっと休んでチャンピオンになった前例を
作っていますから、そこだけを取り上げれば彼にもチャンピオンの可能性が
残されています。

 ただ、完全復帰というわけではありません。
スチュワートはリッチモンドでのレースに参戦した後、インディアナポリスでの
タイヤ テストに参加。
 その後、その次のレースの舞台であるタラデガへと移動しますが、
予選と決勝の1周目を務めた後はタイ ディロンと交代する予定です。
低速のリッチモンドと違い、タラデガはリストリクター プレート レース。
常時190mphを超えるようなレースで負担が大きいため、ここへの出場は
まだ見送りたい一方、チェイス進出のためには少なくともポイント30位以内でないと
いけないため、最低条件として予選と決勝のスタートだけは消化しないといけません。
リッチモンドは彼がカップ戦初勝利を挙げたトラックです。


 そんなスチュワートですが、NASCARからルール ブック第12条違反で$35000の
罰金処分を受けました。
 第12条は行動規範とか倫理規定とかいうような内容だと思うんですが、
第12条8項1でNASCARの体制やら関係者やらに暴言吐いちゃいけませんよ、
と規定されているようです。

 詳しくは訳してないんですが、どうやら彼は昨今話題になる
『ラグ ナット最初から4本しか付けてない問題』について、NASCARの対応を
シリウスXMラジオのインタビューで強く非難した模様。
 彼は過去にも過度のバンプ ドラフトについて「規制しないと死人が出る」
と噛み付いたことがあるなど、(自分が時々暴れる割に)コース外では安全面に関して
けっこうズバッと言う人なので、早速ぶちかましたところ罰金を受けた、
という話と思われます。
 ただ、この罰金に関してはドライバー評議会が異を唱え、スチュワートの代わりに
支払うことにしたようです。

 詳しい経緯は理解していませんが、ナットは元々5本ともきっちり
締まっていることが原則で、1本でも緩んでたらそれ自体がペナルティー、
だったのが、ピットを完全監視するシステムができて作業違反自体は
もう絶対に言い逃れできなくなったので、代わりに全部ちゃんと締まったかどうか
まではとやかくいわないように規則を改定。
 緩みは自己責任で、緩んでたらどうせ走れずにピットへ戻るしかないから
それ自体を違反対象にはしませんよ、ということですね。
そうしたらチーム側は
「あ、5本締まってなくていいのね。だったら最初から4本でも構わないわけね」
と解釈。チームとすれば、場合によっては3本でも十分だと思っているようで、
それで今にいたっている、ということのようです。

 NASCAR側のナット問題への即座の対応はないようで、
「タイヤが外れたら重い処分を受けるから今のルールでも抑止力はある」
という感じのスタンス。
 ただ、そうではなくて、飛んでしまう状況を作り上げ、それによって200mphで
タイヤが飛んで行ったら客が死ぬだろ、という話が本質であって、
緩んで順位を失ったら自己責任だから、リスクを負ってもやりたい人はやれば?
という感じの対応は誤りだと思います。たぶんスチュワートも
そういう話をしたんだと思うんですが、これも批判とされたようです。
 過去には現行規定車両導入直後にデニー ハムリンが、後方乱気流の影響で
追い抜きが難しくなったことを「Gen-6は最悪だ」とぶちまけてペナルティーを
食らったこともありますが。

 走る前から『本領発揮』のスチュワートですが、果たしてレースはいかに。