NASCAR Sprint Cup Series

Folds of Honor QuikTrip 500
Atlanta Motor Speedway 1.5miles × 325Laps=500miles
winner:Jimmie Johnson(Hendrick Motorsports/Lowe's Chevrolet SS)


 NSCS 第2戦 アトランタ。クイックトリップはなんかよく分からないんですが
コメダ珈琲みたいな感じの軽食からちょっと重いものまで食べれる
比較的大きな飲食業と、あとガソリンも売ってるらしいです(・o・)
フォールズ オブ オーナーは軍役で死亡、ないしは障害を負った人の子供や配偶者を
支援する基金のようです。間違ってたらすいません。

 さて、今年から本格導入の低ダウンフォース仕様によるレースが始まります。
空力からのグリップ低下にあわせて、タイヤの方も柔らかい仕様が持ち込まれた、
ということで、レースはスピンでコーション多発、と思ったのが早合点。
レースは異様な持久戦になってしまいました。

 予選ではカイル ブッシュがPP、カート ブッシュが2位とブッシュ兄弟が
1列目を占め、たはずでしたがカイルが予選後車検で引っかかって最後尾、
39位スタート、カートが先頭となります。
と、ここで鋭い人はすぐ気づきますが、今年から上限40台となったカップ戦、
今回39台しかいません。
 エントリー上限に達しなかったのは2014年のケンタッキー以来(上限43に対し出走42)
ですが、40台未満でレースをしたのは1996年のノース ウィルクスボロ以来。
この時は0.6マイルのトラックで上限が37となっていて3台の予選落ちが出ており、
そもそも週末で40台未満だったのは1993年9月のマーティンズビル以来だそうです。

 と、よそでは細かくて書かないであろう小ネタを挟んでレースの方へ。
 序盤はカートがレースを引っ張り、マット ケンゼス、
マーティン トゥルーエックス ジュニアとデイトナでも速かった2人が追う展開。
予想通りタイヤの落ち幅が大きく、かなりみんなふらふらする中、
ケビン ハービックが38周目にタイヤをいためてピットへ。
燃料は50周ほどもつのでこれはイレギュラー、と思いきや、これを皮切りに
上位陣が次々とピットへ。
 オーバルでは通常、コーション中にピットに入ったほうが得、逆になると
大損するので燃料がもつ限り走るのがセオリー。しかし今日はあまりにタイムの
落ちが大きいため、アンダーカットを嫌って一斉にピット サイクルに入りました。
これが後々このレースのキーワードとなります。

 64周目、ケンゼスがカートを捉えてリーダーに。序盤からケンゼスとハービックは
明らかにスティント序盤を抑えてタイヤをうまく使おうとしていました。
 そこに同じく頭を使って走るジミー ジョンソンもじわじわと浮上、
最初にタイヤの問題を抱えたはずのハービックもやはり見事なペース配分で
115周を迎えた頃にはリーダーになり、トゥルーエックスは常に早めに動いて
アンダーカットで差を詰める戦略で絡んできます。なおもコーションは出ません。

 117周目、とうとう3回目のアンダー グリーンでのピットでケンゼスに大事件発生。
給油作業違反でペナルティーを受けます。
何をやったかというと、給油マンがタンクを担いだついでにアジャスト用レンチも
持って行って、後で作業しやすいようにスポイラーに引っ掛けていました。
 規則では給油マンは給油以外のことは一切やってはいけません。
しかしケンゼス陣営はこれに従わず、オフィシャルは白線入りの黒旗を掲示。
なんとこれが掲示されると、ドライバーはコントロール ラインを通過しても周回を
カウントしてもらえなくなります。 Σ(゚Д゚)
クルー チーフのジェーソン ラトクリフはオフィシャルに反論していた様子、
ケンゼスも「黒白旗は見えなかった」とか言ってますが、そもそもなぜこんなことが
起こったのかが知りたいところです。結局1周カウントしてもらえず、さらに
ピット通過ペナルティーで合計2周遅れ。ケンゼス、争いから消えます。

 なおもグリーン継続、ハービックが独走モードとなり、そしてレースもとうに
半分を経過した210周目、ようやくデブリーで今日最初のコーション。
誰かがゴミを投げたんでしょうかw
レース開始からのグリーン フラッグ ランとしてはアトランタ史上最長でした。
あまりに長いので、リード ラップ車はたったの11台になっていました(・o・)

 この後リスタート後も速いのはハービック。そして各陣営、残り周回数を
だいたい均等割りしてスティントが長くならないような作戦を立てに行く様子。
またもやコーションが出ないままのレースとなり、各車残りピットは1回、
まあこれまでの傾向から残り40周が目安だろう、と思っていたら、
裏を書いたのがジョンソンでした。ハービックから約3秒遅れて3位を走っていた
ジョンソンは残り49周と早いタイミングでピットへ。
 仮にコーションが出ないなら、このレースで誰も走っていない距離を
走ることになるため、これではハービックはカウンターを打つに打てない状況。
解説のラリー マクレイノルズも
「ジョンソンがハービックを破るための唯一の方法」と言っていましたが、
まさに逆転を賭けた大勝負です。
 結局ハービックがピットに入ったのは残り40周となったところで、
しかも作業に手間取ったため、コースに戻るとジョンソンは14秒も先にいました。

 ここから新しいタイヤで追い上げるハービック、最初は1周あたり0.7秒
詰めていましたが、それは次第に小さくなっていき、残りが15周となる頃には
6秒差から動かなくなります。
 もはやジョンソンのタイヤが爆発しないかぎり打つ手なしの展開でしたが、
残り3周、ジョンソンではなくライアン ニューマンのタイヤが壊れてまさかのコーション。
 当然リード ラップ車は全員ピットで4タイヤ交換。そしてオーバータイムへ。

 リスタートでハービック大失敗。後ろにいたトゥルーエックスもろとも失速して
権利消滅、代わってジョンソンに挑むのはビリスタートからじっくり
追い上げてきたカイル。リスタート後の瞬発力なら全ドライバー中最強クラスの
カイルが何かをやってくれるかと思ったら、その前に後方集団でアクシデント発生。
オーバータイム ライン通過後だったので順位が確定しました。
ただ、事故の大きさの割にコーションが出るのが遅かったため、
ギリギリでカイルはデール アーンハート ジュニアに抜かれて3位になっていました。
わざとじゃないだろうなw

 ジョンソンのクルー チーフ、チャド カナウスの作戦が見事でした。
2~3周のアンダーカットというようなみみっちい話ではなく、大胆に行って
ごっそりとタイムを稼いだことに、たまたまピットでのロスもあって、
ハービックはこれまでのようにゆっくりとしたペースで入ることができなかったと
想像できます。結果、スティント中盤以降タイヤの状態が悪化。
相手より新しいタイヤにも関わらず、追えなくなる要因になったのではないでしょうか。

 昨年の低DFパッケージでお試しした際には事故多発でお客さんにとって
面白く、採用の理由の1つなったはずでしたが、今回とにかく無理して走れないので
誰も事故らないという、主催者からするとがっかりな結果となりました。
 これはこれで興味深いレースでしたが、あまりにこれが続くと
またテコ入れに動くことになるでしょう。