NASCAR スプリント カップ シリーズ エリミネーター ラウンド 第1戦
Goody's Headache Relief Shot 500。たぶんスポンサーは頭痛薬ですが、
いくつかの陣営にとっては頭痛の種が増える、とんでもない事件が発生しました。
そしてそんな事件を利して勝利したのは、今季限りで引退の44歳
ジェフ ゴードン(Hendrick Motorsports/AARP MEMBER ADVANTAGES シボレーSS)。
待望の今季初勝利はチャンピオンシップ ラウンドへ一番乗りの大きな勝利となりました。
1周0.526マイル。シリーズ最短のトラックを500周の決勝。
レース前に雨が振り、レース後半にも再び雨の予報。
ということでNASCARにしては非常に珍しく日欧で言うSCスタートとなり、
周回をカウントしつつコース脇の水を乾かしてからグリーンに。
とはいえG+の放送はいつも3時間。途中打ち切りなら前振りがもっと長いはずなので、
そうでないということは雨はなさそう。それどころか、CMの度に結構
時間が進んでいて、気づいたらブラッド ケゼロウスキーがしれっとリーダーに。
むしろ後半に荒れることを示唆します。
「レースの流れが分からんではないかヽ(`Д´)ノ」と思ったんですが、後々
そんなことはどうでもよくなってしまいます。
14回目のコーションが開けた435周目のリスタート。
現在3連勝中のジョーイ ロガーノとケゼロウスキー、ペンスキーの2台が
1列目に並びます。
マーティンズビルはイン側にいないとゴボウ抜かれるので、通常リーダーは
内側リスタートを選びますが、ここはチームメイト同士とあって、あえて
ロガーノが外を選択します。逆だとケゼロウスキーは後続にバンバン抜かれる
可能性が高いので、こうした上でケゼロウスキーはあえて少し緩めてスタートし、
ロガーノにすぐに前に出すことでチームとしてきっちり1・2位を固める考えです。
実際ここまでのリスタートでもそれでうまく行っていました。
ところがこのリスタートではロガーノの真後ろをマット ケンゼスがぴったり追走、
ケゼロウスキーに対して外から仕掛け、接触しました。
ケンゼスは既にチェイス コンテンダーではありませんが、コンテンダーの
ケゼロウスキー、さらにカート ブッシュが思いっきり巻き添えを食らいます。
カートはステアリングに問題を抱えていて、フルードが加熱しすぎているとかいう
話だったと思いますが、それでもうまくまとめていたのに大破しました。
444周目、再びのリスタート後は、争っていたチームメイトが消えたことで
ロガーノが後続を引き離し、おや、4連勝?と思わせていたところ、悪夢が起きます。
454周目、ロガーノが車を修理してとりあえず戻ってきたケンゼスを
抜いた直後のターン1でした。
9周遅れでボンネットすら無いケンゼスがロガーノにぶつけ、両者大破。
お客さん大喜びですがこれは大問題。
ケンゼスはカンザスでロガーノに接触されて優勝を逃しており、低速の
ここで仕返しがあることはある程度予想されていました。
実際、ロガーノ陣営は「レース中にケンゼスと争ったらどうする?」みたいな
話はちゃんとしていたそうなんで、その前にも軽く後ろから押されたりは
していたんですが、まあ見事にぶっ壊してくれました。
ケンゼスは
『接触で壊れていて曲がらなかった。勝てる車だったのにリスタートで
ケゼロウスキーに当てられて台無し。そしてこんな終わり方で残念』といった
説明であくまで自己だと主張。
一方ロガーノは『ケンゼスは臆病者』と非難。
結論から言うと、NASCARは事態を重く見て、ケンゼスに対し2戦出場停止と
6ヶ月の保護観察という重い処分を下しました。
実際これは故意と言わざるを得ませんし、仮に事故だとしたらケンゼスは無能です。
その前にフロント ストレッチで右に寄せて、空振りしたからイラっと来て
ミサイル食らわしてやった、としか見えません。
NASCARはこうでなきゃつまらんだろう、というのもありますが、
やるなら順位を争うさなかにやっておくべきで、自分に勝つ見込みがなくなってから
ぶつけにいくのは確かに臆病者です。
この2つの事故でリーダーになったゴードンはこのコーションでピットへ。
赤旗を挟んだため日没も近づいてくる中、その前に大方のドライバーがタイヤを
替えているので、ゴードンが入るなら後続はステイ アウトするかと思いきや、
残ったのは2台だけ。ゴードンはこれをきっちり料理しました。
残り7周、ゴードンおめでとうムードに水をさすように
サム ホーニッシュ ジュニアのスピンで18回目のコーションとなりますが、
残り2周のレースもゴードンはジェイミー マクマーリーをきっちりと
退けました。フェアな争いに感謝のゴードン。こちらには頭痛薬はいらなそうです。
絶好調から一転突き落とされたロガーノ。果たして生き残れるのか。
このラウンドの最後、フェニックスはハービックが鬼のように速いので、
次のテキサスのレースで何とかするしかありません。
ただそのハービックもタラデガでのレース強制終了事件で方々から
恨みを買っており、油断はできませんが。
なお、ダニカ パトリックも5万ドルの罰金とドライバー ポイント25点剥奪の
ペナルティーを受けました。彼女は序盤にデービッド ギリランドに
当てられたのに腹を立てて、思いっきりぶつけてやり返していました。