NASCAR スプリント カップ シリーズ チャレンジャー ラウンド 第3戦
AAA 400。ここでまず4人の脱落者が決定する、いわゆる
『エリミネーション ゲーム』です。
 ドーバーは高速1マイルなので、うっかり事故ると1発でガレージ行きの
可能性が高く、ポイントを持っている人でも油断できません。

 そしてこの負けられない1戦で優勝したのはケビン ハービック
(Stewart-Haas Racing/Budweiser/Jimmy John's シボレーSS)
過去2戦でほぼ自滅してしまい、実質的に勝たないかぎりここで脱落という
崖っぷちの立場で、求められた結果を残しました。
 ハービックとしては当然、まず予選でPPを獲得、1番ピットを選択、
といきたいところでしたが、なんと悪天候で金曜日に予選はおろか練習走行すら
行うことができず、グリッドはオーナー ポイント順に。
ハービック、強制的に15位スタートとなります。

 しかしながらハービックの車の仕上がりはスタートからほぼ完璧で、
一度リードを奪うと誰も寄せ付けず。
 前戦では妙に前のめりだった作戦も今回は極めて標準的の王道スタイル。
ひたすら4タイヤ交換を続け、354周目(残り47周)に出た7回目のコーションでは
ポジション重視の2タイヤ。あまりに仕上がりが良いので他のドライバーは
4タイヤでもかないそうになく、普通にやったら普通に勝った、なレースとなりました。


 勝利のバーンナウトの後はオーナーのトニー スチュワートと
互いに窓から手を出してがっちりと握手する珍しい光景もありました。
 NASCAR公式動画を見ていると、なんかコメント欄でえらくハービックは
ボロカスに言われているようで、チートだのなんだのとえらい言われよう。
「レース後に車を異常接近させたこの2人はペナルティーだ」とか
もう何が何でもハービックはクソだから消えろ的なコメントが多くて呆れました。

 崖っぷちから生き残った男がいる一方で、ジミー ジョンソンにとっては
悲劇的なレースとなりました。6度の総合王者、そしてドーバーで通算10勝と
今回の優勝候補だったはずが、右リアのトラブルでガレージ行き。
36周遅れの41位に終わり、このラウンドで脱落となりました。

 また当落線の12位をめぐる争いも熾烈なものとなり、
デイル アーンハート ジュニアとジェイミー マクマーリーが1点を巡る攻防に。
事実上前に出たほうが生き残りとなる状況で、7回目のコーション中の
ピットでマクマーリーが先行して逆転。しかし8回目のコーション後の
リスタートでジュニアが気迫の大外刈りで再び前に出てこの争いを制し、
同点ながら最高順位の差で進出となりました。
 裏を返せば、ジョンソンが普通に完走していればジュニアが脱落、
ジョンソンが勝ってハービックが2位ならハービックが脱落ですから、
どう転んでも大物の役者が1人消える状況でした。

 次戦からはコンテンダー ラウンド。3戦目がタラデガなので、そこに
もつれこませたくないのは誰しも同じ。
最近ジョー ギブスのトヨタが好調ですが、初戦は1.5マイルのシャーロット。
1.5マイルはペンスキーも速いと思うので、ジョーイ ロガーノと
最近ちょっと影が薄いブラッド ケゼロウスキーの活躍が見ものでしょうか。