NASCAR スプリント カップ シリーズ 第17戦
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デイトナ インターナショナル スピードウェイで独立記念日の周に
行われる伝統の「夏のデイトナ」。レースよりも最後に起きた大事故の
記憶が鮮明に残る1戦となりました。
このレースから最終戦まではNBCの放送になります。
NBCの中継は2006年以来、個人的にピット リポーターが誰なのかが
気になっていたのですが、昨年はTNTだったマーティー スナイダー、
同ESPNのマイク マサーローがいて、レース前の番組の進行には
FOXにいたクリスタ ボーダ。意外と局が変わっても馴染みの人がいるんで
違和感少ないですね。マーティーの声が結構好きですが、ちょっと早口で
私には聞き取りづらいので、圧倒的にマイクの話が聴きやすいですw
で、レースの方は雨で開始が大幅に遅れ、ようやく始まった時はもう
日付が変わる手前。よくお客さんも待つなあと思いますが、もちろん
チーム側も大変。私なら眠くてレースにならないので、1周したらピットに戻って
控えと後退しますねw
勝ったのはデール アーンハート ジュニア
(Hendrick Motorsports/NATIONWIDE STARS AND STRIPES シボレーSS)。
ジュニアを筆頭にヘンドリックの4台は非常に速く、レース中何度か
1~4位を独占。その中で「最後のデイトナ」のジェフ ゴードンがなんか
一番出来が悪そうだったのがちょっと悲しいところでしたが。
マイクロソフトがスポンサーに加わったらしく、ソノマでは「Windows10」の
カラーで走っていたジュニア。
「プレート戦が得意」なのか、「それ以外が今ひとつ」なのかは難しい
ところですが、一度得意とみられると、他のドライバーが後ろについて来てくれて、
それを利用してまた自分も速く走れるので、いずれにしてもプレート戦は
彼にとって有利。逆にジミー ジョンソンはやはり6度の王者だけあって
意地悪されるのか、あるいは「あいつオレのこと利用しといて裏切りそうだな」と
思われているのか、どうも動きを見せた時に誰も付いてきてくれない印象があります。
最後はグリーン-ホワイト-チェッカーになりましたが、ジュニアを脅かすものは
いませんでした。
また今回、序盤からアクシデントが多発。ドライバーが不用意なのか、
スポッターの指示が誤りなのかは見ているだけでは分かりませんが、
ちょっと気をつければ避けれるようなしょうもない絡みが目立った気がします。
開幕から絶好調だったマーティン トゥルーエックス ジュニアも
事故の巻き添えで38位。ソノマでもやはり接触で脱落しており、しかも
次戦のケンタッキーは以前お伝えしたとおり空力規則が変更に。
結構こういうことで流れが反転することがあるので、踏みとどまりたいところです。
そして衝撃的だったのは最終周、フィニッシュ ライン目前での攻防。
チェッカーを受けるジュニアの後ろで、背筋が凍る大事故が発生しました。
状況としては、イン側2位のデニー ハムリンを3位のケビン ハービックが
ひたすらプッシュしていたら、トライ オーバル部分でハムリンが横を向いて
エイプロン(角度の付いていない平らな部分)へ。そこからふたたびバンクへ
せり上がったところでオースティン ディロンの車を下からすくい上げる形となり、
そこに後続車が接触して、ディロンの車は宙へ舞いました。
トニー スチュワートの車のすぐ上をかすめた後キャッチ フェンスに衝突。
まともにフェンスに捕まる形になったディロンの車は、恐らく300km/h近い
速度からいきなりほぼゼロ速度となり、事故現場からそう遠くない場所に
無残な姿となって止まりました。
エンジンはミッションごと脱落して、単体でコース上に転がって燃えていました。
第1印象ではディロンは少なくとも意識不明ではないかと思いました。
デイトナで、最終周に、3号車が事故。2001年、デール アーンハートの
死亡事故が頭をよぎったのは私だけではないでしょう。
しかしディロンはほどなくして自力で車を脱出。幸い打撲程度の怪我で
済んだそうです。
車から出てきて「まあまあそう騒ぐなよ、こんなことぐらいで死ぬはずないだろ?」
みたいな堂々とした態度、ちょっと人気が上がるんじゃないでしょうか。
衝撃吸収構造が非常にうまく作用し、みごとに骨格だけを残して他の
部分がぐしゃぐしゃになったことでドライバーが守られました。
Generation-6の安全性が機能したと思います。
しかし、勝ったのはジュニア、そして変わり果てたディロンの車に最初に
駆け寄ったのはジュニアのクルー。何かに守られている気がしました。
一方で、観客は飛散した部品により5名の負傷者が出たとのことです。
原因、というならば押しまくったハービックになるわけですが、動きとしては
別に普通の行為の範疇で、偶然が重なった結果だったと思います。
ただ1点個人的に気になった点といえば、これだけの高速レース。
人間夜に眠くなるように出来ており、仮に眠気がない、本人が言ったって
昼間と完全に同等の集中力を発揮することはできないでしょう。
興行的に順延は厳しいとはいえ、果たして深夜と言っていい時間まで待って
レースを開催することがNASCARにとって良いことなのか、ということは
考えるべきではないでしょうか?
開催時間と事故との因果関係を証明することは不可能ですし、昼なら
事故が起きないわけでは全く無いですが、一方で今回の事故が
この程度で済んだのもまた幸運です。
レースの質を維持するために取るべき方策として、深夜開催の回避は
考慮すべき問題ではないかと感じました。