NASCAR スプリント カップ シリーズ 第14戦 Axalta 'We Paint Winners' 400。
シリーズで唯一ターンが3つしか無い2.5マイルの三角形レイアウト、
「トリッキー トライアングル」ことポコノ レースウェイが舞台です。
 一般人の感覚からしたら普通のオーバルのターンは2つなんですが、
あれは(四角形のインディアナポリスに倣ってか?)ターン1~4と表現。
デイトナみたいにどちらかのストレッチが曲がっているのがオーバルの
一般的な形状なので、あれも三角形といえば三角形ですが、何にせよ
明確に曲がる場所が3回出てくるのはここだけです。
 NASCARって4速ギアで、一度速度が出たら4速のまま走り続けるんですが、
ここは珍しく3速に落とすコースで、そのあたりの使い方もじわじわと影響
してきます。

 そんなポコノはここ5レース全てヘンドリック モータースポーツの誰かが
勝利。直線が長くてパワーがいることと、セットの特殊性がいることが
影響していそうです。
 しかし彼らの連勝もついにストップ。勝ったのはマーティン トゥルーエックス ジュニア
(Furniture Row Racing/Furniture Row/Visser PrecisionシボレーSS)
 前戦まで3戦連続で最多ラップ リード、1戦を除いて全てトップ10と脅威の
速さと安定感を示しながら未だ勝てていなかった男が、ついに2013年のソノマ以来
70戦ぶりの勝利を手にしました。
 チームにとっても2011年のリーガン スミス以来の2勝目。また、
クルー チーフのコール パーンはカナダ人クルー チーフとして初めて
カップ戦で勝利しました。

 今回のレースでも160周のうち97周をリードし4戦連続最多リード。
終盤コーションが多発しますが、今回の彼らはミス無く状況に対処し続けました。
 トゥルーエックスのガール フレンドは現在がんと闘病中。
また、レースの数日前には祖母を亡くしたということで、彼にとっては
勝たなければいけない理由が多々あるわけですが、これでまずはチェイス進出を
事実上確定させることができ一安心といったところでしょう。
 チェイス初戦に向けてスポンサー探しにも有効ですし、今後も彼の
躍進から目が離せません。


 一方で今年多くのファンが気になっているのが追い抜きの少なさ。
さすがのNASCARも空力の問題で、後方乱気流によって後ろについた車が抜けない、
というのが、特に現行車両「Generation-6」になってから顕著になりました。
今年規則改定でリア スポイラーを低くし、エンジン出力を落とす措置をとったものの、
先頭を行く車が有利な状況は改善されていません。

 そこでNASCARは来月のケンタッキーのレースで、
スポイラーを6インチ→ 3½インチ
ラジエーター パン(何か分かってないけど)を38インチ→25インチに
スプリッターのオーバー ハングを現行より1¾インチ短くするようです。
 今のところケンタッキー限定の模様ですが、NASCARの偉い人の一人、
スティーブ オドネルは「いくつものオプションがある」と、結果次第では
その先も使用することを示唆しています。

 ただこうした変更を受けるとファニチャー ロウのような小さいチームは
シミュレートでもテストのデータ集めでも劣るので、トゥルーエックスから
すると今のまま変えないでほしいと思っているかもしれません。