NASCAR スプリント カップ シリーズ 第10戦 GEICO500。
 1周が2.66マイルとデイトナよりもさらにちょっと大きい
タラデガ スーパースピードウェイが舞台です。距離が中途半端なので、
周回数も188周と中途半端。
デイトナ同様リストリクター プレート装着のレースで、ドラフティングを
利用し、とにかく位置取りで勝負する、チェスのようなレースが展開されます。

 ポール ポジションは開幕のデイトナ同様ジェフ ゴードンでしたが、
これまたデイトナ同様、終盤に集団に埋もれていた上に最後はもらい事故で
脱落して31位。
 そして勝ったのは彼と同じチームのデイル アーンハート ジュニア
(ヘンドリック モータースポーツ/NationwideシボレーSS)でした。
 ジュニアは元々プレート レースが得意なドライバーと言われて、タラデガでは
これで6勝目。と言っても前に勝ったのは2004年でずいぶん久々のタラデガでの
勝利となりました。
タラデガでの通算勝利記録ではゴードンと並んで2位タイ。史上最多は
彼の父、デイル アーンハートの10勝です。

 ジュニアのクルー チーフ、グレッグ アイブスはレース前
「序盤で前に出れば妙案がある」といったことを話していたそうなんですが、
確かにジュニアの車は速く、レース終盤はずーーっと集団を率い続けました。
 普通なら残り3周ぐらいで誰かがラインを変えて
「さあ今から仕掛けるぞ!ついて来い!」みたいな感じで一気に車が
左右のラインに分かれ、それが3列になって接触したり、あるいは思わぬドライバーが
気づいたら先頭にいたり、というのがプレート戦の光景なのに、
今回は最後の1周まで動きなし。
 経験の浅いライアン ブレイニーが3位の位置にいて、その前がこれまた
ヘンドリックのジミー ジョンソンだったのが、膠着を招いた原因でしょうか。
何せ6度もタイトルを獲ったジョンソンですから、変に動いたら
「ジョンソンザマアww」みたいな感じで誰も付いてこない可能性が大いにありますし、
ジョンソン自信、身内のドライバーに変なこともできません。
その後ろがまだカップ戦5戦目のスポット参戦若手ドライバーですから、
みんなお見合い状態だった感じです。

 ジョンソンはレース後、「後ろが誰も動かないので1回ジュニアと
距離を取りつつ後ろを引きつけて、ブレーニーあたりを引っ張って勝負したかった。
だけどそうしている間にジュニアが逃げた」と語りました。
 ジュニア自信、グリルにかなりゴミが付いていて、エンジンが壊れるか、
フィニッシュするかどっちが先だ、な状況だったんですが、
ふさがり方が即エンジン破損な場所ではなかったこともあったのか、
「ゴミは取らずに走り続ける」という賭けに近い走りが成功しました。
 中盤の位置取りでもものすごく積極的に動いて前に出てきており、
彼の積極性が結果に結びつきました。まあ、これが仇になってなかなか
勝てなかった、というのも事実なんですが。

 これでシリーズは10戦して8人目の勝者。勝てるドライバーが順々に
勝っている感じで、ここから違う顔が勝つか、同じ人が勝利を重ねるかで
チェイスへ向けての興味が変わってきます。

 さて、このレース前には、ダニカ パトリックのスポンサー、
Go Daddyが今年いっぱいでスポンサーを去ることが明らかになりました。
 Go Daddyは世界の5000万以上のドメインを管理している
「ドメインレジストラ」だそうなんですが、私にはなんだかよく分かりません。
 要するに個人でドメインを取得するのは大変だから、その大変な作業を
やってあげるかわりにお金をもらう中間業者なんでしょうか。
詳しい人募集w
 Go Daddyは確かインディーカー時代からダニカのスポンサーだったと
思うのでかなり付き合いが長く、ダニカ=黄緑色のGo Daddyというイメージも
結構強いです。
 どういう判断かは分かりませんが、このご時世ですから、人気者のダニカ
とはいえ、成績を残していかないと次のスポンサーの獲得に響きそうです。
 しかしこのレース、ダニカは21位。G+の放送席は全く触れていませんでしたが、
彼女は途中からギアが4速以外全滅しており、車自体はけっこう速かったんですが、
リスタートの度に全く加速しなくて危うく一人だけドラフトから完全に
置き去りにされそうな状態でした。ちょっと不運だったと思います。

 一方で、車体が真っ白な98号車、ジョッシュ ワイズが、混乱のさなか
なぜか10位で終えたのは数少ないサプライズ。
Wikipediaによると過去最高位は2013年のタラデガでの19位、リード ラップで
フィニッシュしたことすら7度しか無い人が上位に入れる、これが
プレート戦のいいところです。
 まだ今季あと2回プレート戦があるので、そこでは予想外の勝者に期待したいです。