うっかりNASCARの録画を忘れてしまいました。私の好きなブリストルなのにorz
幸い月曜に再放送があるので一安心です。
そんなわけでまたもや、NASCAR独特の要素のお話を1つ。
自家用車には、よく交通安全のお守りとしてお札やらお守りやらが
付けられたりしますが、NASCARでもお札が活躍します。
もちろん交通安全のためではないです。
FRのカップ車両は当然前から空気を取り込みますので、車体の前部に
空気の取入口があります。
市販車ならこちらのグリルからも取り込むことが多いわけですが、

レース車両においてこちらはダミー。本当のグリルは

その下にある穴の空いたこちらだけです。実物ってこんなんだったかな??
ちゃんと見ることがないのでGT6の再現度が高いのかは不明ですw
空気を送るのは、エンジンの燃焼と冷却に必要だからですが、必要以上に
空気を入れると損をします。ここに空気を入れるということは、
ボンネットの中から極端な話ボンネットを突き上げるように力が加わりますから、
前のダウン フォースが減少しますし、抵抗にもなります。最低限で済ましたいのは
言うまでもありません。
ですから、チームは事前に最小限の大きさを考え、この幅のうち不要な部分は
塞いでしまい、大きさを制限しています。
まあこれもブレーキ ダクトを含め、他のレースでも当たり前のことでしょう。
例えばGT500だと、ボンネット上にもいろんな処理がしてあり、
効率よく空気を引き抜いて効率を上げつつ、空力に対する影響をできるだけ
小さくするように作られています。


安価な車両であることもあるでしょうが、まあ割と平坦です。
たぶんいらん空気を取り込む影響度も大きくなります。
NASCARの場合、いつもの繰り返しになりますがレース時間が
いつも3時間を超えるぐらいありますから、取り入れる元となる空気の温度変化が
大きくなります。
高出力エンジンを常に高回転でぶん回し、コースによってはず~~っと250km/h
以上で走り続けるので、温度上昇は絶対に避けたいけど、実質同じ車で競争するのに
余分な抵抗を受けるのも勝敗に直結します。
今はいわゆるノック アウト方式の予選になったのでどうなっているかは
分かりませんが、かつては予選だと3周ぐらいするだけなので、全部塞いで
熱を一切無視して空気を入れない方策が取られていたぐらいです。
「熱で壊れる間に終わるから大丈夫」な発想でした。
たぶんそんな無茶なやり方、他のレースではしないでしょうw
そこで、特に夜に向かっていくレースでは、レース中にグリルにテープを
貼って、レース中に空気の流入量を制限する場面があります。
単に「グリル テープ」とか呼びますが、実際に貼ったのがよく分かるのがこちらの映像。
トップを走るジミー ジョンソンの車が正面から映った場面を見ていただくと、
白いテープが3枚ベタベタと貼ってることがよく分かります。これがグリル テープです。
このレースは夕方から夜へと向かうレースなので、どんどん気温が
下がっていく環境でした。チームによってはオレンジや赤、黄色もあったかな?
見た目歯に何か挟まったみたいでちょっと格好悪いですが、ピット作業の時に
手早くサッと貼って出ていきます。
恐らくですが、ハンドリングのバランスへの影響も大きいので、
ただ気温だけで考えて貼っても、それでドライバーの好むハンドリングから
外れてしまっては意味が無いでしょうから、このあたりクルー チーフの
経験と勘もすごく大事になってくると思われます。
また、お客さんはみんなバーガーやらなんやら食べながら観戦しますので、
包んでいる紙がうっかり手を離れてコース上に飛来する時があります。
それがうっかりグリルに付着するとえらいことになります。
元々最低限しか容量を確保していないので、たちどころに水温が上昇してしまい、
エンジンが壊れる恐れがあります。しかし高速走行して、しかも空気を
取り入れる場所なので、1回付いてしまうと走行しながらはまず取れません。
そうなると、他車の真後ろについて後方の気流を利用して剥がすか、ダメなら
ピットへいくしかなくなります。トップの快走が紙一枚で暗転することもしばしばです。
何年か前のF1ベルギーGPで、他車の捨てバイザーがブレーキ ダクトに詰まった
キミ ライコネンがたちどころにブレーキを壊してしまったことがありましたが、
NASCARだとお客のゴミで車が壊れかけるのは日常茶飯事。
グリル1つとってみても、NASCARと他のレースとの文化やレースのやり方の
違いが見えてきます。