にしても看護婦さんにはドキドキする!!
この胸の高鳴りはどう表現したらいいのだろう。
からだが火照るように熱くなる。
耳まで真っ赤になっているのが自分でもわかる。
おれは自分に言い聞かせる。
しっかりしろ。
落ち着け。
ただ身をまかせていればいいんだ。
そうベッドに横たわって。
ただ流れに身を委ねていれば…。
あとは……。
看護婦さんが…。
足音が聞こえる。
おれは目をぎゅっとつぶって願う。
できれば白衣の天使として
病棟のじいさんたち、そしてもちろんおれにも大人気の
今鳥(仮名)さんだとうれしいんだけど。
カツカツ、カツ。
この足音は!!
婦長だ!
予想外だ!
そんな!!
婦長がくるなんて。
婦長は笑顔で迫ってくる。
推定40を過ぎているのだが、
26と公言して憚らない図太さは何よりもおれを辟易とさせた。
あの婦長がついに。
決して逃がしてはくれないだろう。
あぁ、もう逃げ場はない。
ストレスが多い職場みたいだ。
そのストレスの解消方法は、たべること。
そして、カラダを動かすことらしい!!
手術後だからといって、
おれの体力や喉以外の部位に支障がないのを彼女たちは知っている。
そう喉が痛いだけで、元気なのだ。
カラダは。
心臓の音が聞こえる。
どく。
どく。
どくどくどく。
足音がおれのベッドの前で止まる。
カーテンが開いた。
何か婦長が小声で言っている。
おれは寝たふりをして横たわっていた。
薄目を開ける。
おれの目は婦長の腕が伸びてくるのを捉えた。
婦長がおれの肌をさする。
おれは観念した。
「いてえっ!」
注射針を抜いて、
婦長は去っていく。
採血が終わったようだ。