彼女は入学してすぐに仲良くなった友人の1人
初めての授業の日
端正に整った顔立ちで
凛とした空気を纏い
背筋をピンと伸ばして座るその姿は
今でも記憶の中に鮮明に刻まれている
明らかに彼女のオーラは
いわゆる〝普通〟の女の子とは、
一線を画していたんだな
そんな彼女は、
なんとなくみんなの憧れの存在として
一目置かれていた
わたしと彼女は
グループなど関係なく、
個人で仲良くなっていったような感覚で
みんなと同じように
単純にわたしも彼女に興味があったから
よく話したり、たまに飲みに出かけたりした
特にお互いの生い立ちとか、人生観とか
そんな深いものを話す関係ではなく
ただ波長が合うなぁ、と
お互いに留学経験のあるイギリスの話しや、
男性のこと、
面白い話しばかりして
いつも笑っていた
でも、
やっぱり一瞬で人を惹きつける不思議な魅力の裏側には
彼女の壮絶とも言える生い立ちがあった
そのことを知ることになったのは、
今年の夏のことだった
お互い休みの日
平日の昼間から飲みに出かけた
そういった背徳感のある楽しいことを一緒にするのは
彼女に限る
だって、彼女といると
そんなことに過度な特別感も感じずに
リラックスした時間が流れるから
彼女はいつものようにハイペースでビールを飲んでいる
私もいつものようにビールを数杯飲んだあとに、ワインモードに突入していた
どういったいきさつで
その話しになったのかは
もう覚えていないけれど
彼女はその日、
自分の家族のこと
育ってきた環境のこと
これからやりたいこと
友人になってから5年間
一度も触れたことのない彼女の一面を
淡々と話してくれた
別に意味などなかったのだろう
でも、聞き終えた私は
妙に納得してしまった
人間の肉体は、借り物と言われるけれど
彼女はやはり、
持つべくして、美しい姿で産まれたのだと思う
ある人が言っていた
品格は先天性のもので、ある人にはあるしない人は努力で手に入れられるものではないと
彼女の品格はまさに先天性のもので
この品格がなければ、
この美しさがなければ、
大げさな言い方だけれども
彼女は生きてはいけなかっただろう
そして、心が真摯的だ
これも、生まれながらのものだろう
彼女は人生において
さまざまな選択をしてきた
その決断はいつも、自分ではなく
家族が軸になっている
本人さえも気付いていないだろうけれど
彼女は常に、
他人を優先して選択をする優しさがあった
我のなさが、
言葉に表せない彼女の魅了を引き立たせているのかもしれない
彼女は夜の仕事をしている
しなやかに、仕事をこなしている
美しさを鼻にかけず
ひょうひょうと人生を生きている
お金に苦労をしてきているから
大切さもわかっているけれど
お金だけでは絶対に心を動かさない品格がある
話の中には
凡人の私では一生出会うことのないような
政治家や実業家の名前があがる
信じられないような人物から
求婚されたこともあった
だけど彼女は、
自分は育ちが悪いから
その一言で、男たちの誘いを一喝する
私は思う
彼女の育ちの問題よりも
彼女の魂レベルに追い付ける男性がいないだけだ
彼女には夢がある
すごく楽しそうに
普通の女の子となんら変わらない夢を語ってくれる
久しぶり彼女に会って
いつものようにマニアックな宇宙の話しで盛り上がる
お互いなかなか上手くいかない恋愛のこと
故郷のこと
もんじゃ焼きと美味しいおつまみ料理に舌鼓をうちながら
今日はゆっくりお酒を楽しんだ
私と彼女は接点がほとんどない
強いて言うなら宇宙やUMAの話しが好きなぐらいかな 笑
外見も生い立ちも、今生きている場所も
何もかも違う
だけど不思議と居心地が良い
私はただ、彼女の幸せを心から願っている
彼女もきっと、私の幸せには心から喜んでくれるだろう
親友でもライバルでもただの友達でもない
不思議な関係だ
今日、思わず彼女に聞いてしまった
『ねえ、実は宇宙人だったりしないよね?』
彼女は大きく口を広げて笑いながら、こう答えた
『私はただの地球人だから』
そう言いながら
握っていたハイボールのジョッキを豪快に飲み干した
ダイエットのために、ビール断ちをらしているらしい
ダイエットをするなんて
やっぱりただの地球人だな
私は安心して
手許のビールを喉に流し込んだ