高校2年生。当初はわくわくの高校生活にも慣れてきた。
毎日平凡に、変わらない日々。
僕はそんな毎日にわりと満足していた。
今まで女子と付き合ってはみたものの、愛だの恋だの
結局よくわからなかった。今のところわかりたいとも思わない。
だからといって不健全な男子ではないのでやることはやっている。
もちろんその行為に意味はない。
・・・つまりそういうことだ。
ある日、寝坊した僕はいつも乗る2つ後の電車に乗った。
駅から学校まで15分。少し早めに歩く。
いつもなら少なくてスムーズに通れる下駄箱は、
時間のせいか混んでいる。
くつを履き替え前へ進む。
目の端に白い物がうつり、見ると白い少し刺繍の施されたハンカチが落ちている。
ハンカチの前を進んでいる女が持ち主だろうか。
確か同じ学年のはずだ。
とっさに呼び止めようとしたが、名前を知らない。
仕方ないと思い小走りで追う。
いつのまにかかなり前に進んでいたようだ。
少しスピードを上げ追いついたところで腕をつかむと、
女が驚き振り向く。
そのひょうしに女の長い髪が僕の鼻をかすめた。
「・・・ハンカチ」
愛想も無く言った僕に「ありがとう」と笑顔で答え、教室へ入っていった。
僕はこんなに愛想の悪い奴じゃない。
ただ初めての胸がたかぶる感情にとまどったんだ。
思ったより華奢な腕と香水みたくきつくないシャンプーの香りに、
鼓動が一瞬で早まった。
嬉しかったんだ。僕にもこんな感情あるなんて。
やっと【恋】ができるんだって。
まずは・・・まずは名前を知ることから始めよう。
_____end.