◎ 生命の實相第三巻
◉ 昨日のところ
キリストも「二人心を合せて祈ればなにごとも成就する」と聖書にいっています。ー人の誠でも天地を貫くが、一人より二人がよいのは、誠は数かさなるほど有力なる現実的力となることを示しているのであります。
今は百万人の誠の精神波動の協力を要する時であります。
○ 第五章思念の力
つづき
人の祈りの精神波動にはこのような感応があるのであります。ドイツの薬学博士リエポル氏と著述家ギアタ氏とが、親しく立ち会った心霊的実験には次のごときものがあります。
リエポール氏は、無言のまま紙の上に「ルイズ嬢は目をさましたとき、彼女の黒い帽子が赤色に変わっているのを見いだすであろ」と記(しる)して、その心霊実験に立ち会っている人々に示した。
そのあとで、リエポール氏とギアタ氏は紙上の言葉を心中に念じて彼女に心的暗示を与えた。やがてルイズ嬢は目をさますとすぐ自分の帽子を見て笑いだした。そして、
「わたしはこのような帽子は持っていない」というのだ。「帽子のかっこうは同じですけれども…そんな冗談をしてもよく分っています。」
「どこが違っているのです。」
「あなたはわたしと同じ眼をもっていらっしゃるからお分かりになるはずじゃありませんか。」
「しかし、違わないと思いますね。どこが違っているのです」といわれて、被実験者のルイズ嬢は翻弄(ほんろう)せられているのかと思って、なかなか答えなかったが、ついに、
「だって、この帽子赤いではありませんか、わたしの黒かったのですもの」といった。
そこでリエボール氏は帽子をとって、フッと吹いて帽子の色を以前通り黒色にもどしたという思念をすると、彼女ははじめて安心して自分の帽子を受け取った。
この実験は非常に興味深いものであって、われらの放送する思念波動の援軍が、いかなる作用をなすかということについて、ーつの大なる暗示を与えるものであります。
黒い帽子が、思念の力だけで赤く見える。
日露戦争当時には、ロシアの多くの捕虜たちの告白によると「日本軍には赤い軍服を着た兵隊があって、この兵隊あらわれると、いくら頑強に弾丸(たま)を射っても一人もたおれるものがなく、
進軍して来るので抵抗のしようがなかった」といっている者があったとのことでありますが、
日本軍には赤色の軍服を着た兵士は一人もないので、これは明らかに護国の神明の精神波動が、仮に客観化して姿をあらわしたものだと思われるのであります。
ロシアの話が出たので思い出しますが、ロシアの心霊実験家として有名なオコロウイッチ博士の著書のなかには、
化学者スウシェル氏がラザリンと呼ぶいなか娘に心霊術を施し、数人の友人の前で水を飲ませて、(言葉では暗示をかけることなく)
ただ「思念」でスウシェルが心なかで「酒である」と念ずると、彼女は今飲んだのは酒だといって酔った事実をあげています。
この事実でも思念は感応する、精神波動は一種のラジオ的エネルギーであることがわかるでありましょう。
しかし実験室での実験では、短距離にすぎますので、シベリアやアメリカのごとき遠距離に思念が届くかどうかについての疑いが起こるかもしれない。
遠距離の思念の送達については、例のオコロウィッチ博士は次のような実例をあげている。以下「わたし」とあるは同博士自身であります。
つづく
谷口雅春著「生命の実相第三巻」第五章 思念の力
☆ この頭注版「生命の実相」の初版が37年ですので学生運動の真盛り、安保騒動等で日本が戦後の大変な時期だったようです。それで今は百万人の誠の精神波動の協力を要する時であります。と書いておられると思います。
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