生命の実相第九巻

霊界篇第一章

 

(一)ー②  差別心より観たる霊界の消息

 

 

 

 

生命の行方の心霊学的研究の第三方法は優良なる霊媒を得て、そのひとりの霊媒について起こるところの現象を、冷静なる実験者が忠実に記録するという方法である

 

 

 

われらの心霊現象研究の目的は人間に出生前およびび死後の生活がありうるか、肉体の死後、霊魂は存続するか、存続するとせば、死後の生活はいかなる状態にて存続するかについて正しい知識を得ることである。

 

 

 

したがってここにいう優良なる霊媒とは、たんに物理的心霊現象すなわち肢体を触れずして、テーブルを浮揚せしめうる霊能があるとか、密閉せる箱の中の物体を透視する霊能があるとか、読心術ができるとか「物品引き寄せ」ができるとか…等のごとき一種の異常能力を有するだけでは、その資格にハマらないのである。

 

 

 

その霊媒は「霊界」についての先入観念をもたないためにできるだけ無学なのがよい。

 

 

 

少なくとも心霊現象についてなんらの素養も予備知識も有しないのがよい。

 

 

 

浮き世の経験やいろいろの学説に触れる機会の少ないためにできるだけ若い方がよい。

 

 

 

要するに霊媒の潜在意識が「霊魂問題」について白紙に近い方がよいのである。

 

 

 

しかも「霊魂問題」についてほとんど知らない霊媒が憑依状態、恍惚状態(トランス)または二重人格になる時霊界の状態や霊魂のさまざま階級や、その修業状態やその進化状態について、心霊学者といえども着想し能わざるほどに合理的な説明ができる時、始めてその霊媒はわれらの研究にとって優良な霊媒ということができる。

 

 

 

自分はかかる霊媒を、多数の心霊研究書を読破した中で、フランスの画家コルニリエ氏の実験した少女レイヌにみいだした。

 

 

 

しかもその実験者たるコルニリエ氏が職業心霊研究家ではなくして、心霊研究のアマチュアであることが自分には喜ばしいのである。

 

 

 

職業心霊学者は、ややもすると現象を肯定したがり過ぎて失敗する。

 

 

 

職業心理学者はともすれば現象を否定し過ぎて失敗する。

 

 

 

どちらも自分の在来奉ずる学説の興廃について潜在意識的に無関心ではいられないからである。

 

 

 

しかるにコルニリエ氏は美術家であって、霊魂の死後存続を肯定する心霊学説が勝利を得ようと、いっさいを潜在意識説でかたづけようとする心理学的説明が勝利を得ようと、自分の学説が辱められるということはかいのである。

 

 

 

この点において氏はもっとも公平な観察者としての資格をもっている。

 

 

 

氏はこの現象の記録を公表したのはスペンサーの「賢者は自己に宿る信仰をば偶然なるものとは認めない。彼は自己の目撃せる真理を恐れ目撃なく発表する。

 

 

 

彼は自己のその大胆なる発表が何を惹き起こそうとも、かくして彼がこの世界に演ずべき役割を果たしつつあることを知るのである」という言葉によって激励されたためであり、この発表によって、自己に、またその現象に、どんな判断が下されようとも意に介するところでないといっている。さて、事件の起こりを紹介しよう。

 

 

 

つづく

 

 

谷口雅春著 「生命の實相第九巻」より

 

 

 

* 霊界がいよいよ科学的に解明されるところまできましたので下記に掲載します。

   京都大学名誉教授  岸根卓郎 著 『量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」』より

 

こんにち、天才科学者たちが連綿としていのちがけの研究を通して解明かされる量子論の世界は、これまで対立してきた「宗教と科学」のような物心二元論に終止符を打ち、自然科学が新たに物心一如の一元論を垣間見るところまできている。いまから30年ほど前に、フィリッチョ・カプラという物理学者が物理学のターニングポイントと銘打った“コペンハーゲン解釈”は、これまで垣間見ることさえ出来なかった量子論の驚くべき世界への研究が進み、「物理学はすでに神の領域に研究に突入した」と叫ばれて久しい。その間、量子論の研究は、飛躍的に進み、その科学的検証を通じて、実にあらゆる分野に渡り量子論の様々な研究成果が上がってきている。

 

その量子論の基礎理論に次の5つのものが重要なものとして上げられている。

 

1、光は波動性と粒子性をもつ。

2、電子も波動性と粒子性を持つ

3、一つの電子は複数の場所に同時に存在できる。(電子の状態の共振性)

4、電子の波は観測すると瞬時に一点に縮む。(電子の波束の収縮性)

5、電子の状態は曖昧である。(電子の不確定性原理)

6、人間の心こそがこの世を創造する。(電子論的唯我論)

 

そして、その量子論から次の幾つかの興味深い解釈が導き出されている。

 

1、ミクロの粒子は心を持つ。

2、人間の心が現実を創造する。

3、自然と人間は一心同体で以心伝心する。

4、空間は万物を生滅させる母体である。

5、万物は空間に同化した存在である(同化の原理)

6、空間のほうが物質よりも真の実体である。

7、物質世界のこの世が空間世界のあの世に、空間世界のあの世が物質世界のこの世に変わる。

8、実在は観察されるまでは実在ではない(自然の二重性原理と相補性原理)

9、光速を超えるとあの世に瞬時に渡れる。

10、未来が現在に影響を及ぼす。(共役波動の原理)

11、この世は全てエネルギーの変形である(波動と粒子の相補性)

12、宇宙の意志が波動を通じて万物を形成する(波動の理論)

13、祈りは願いを実現する。

 

以上は京都大学名誉教授岸根卓郎教授の『量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」』から引用しているのだが、宗教や哲学に親しんでいる人文関係の人々に通ずる内容となっている。量子論もここまで来たかと“コペンハーゲン解釈”に対する科学者たちの驚嘆も無理は無い。爾来、量子論は未知の分野にどんどん切り込んでいくのであるが、しかし、あくまで自然科学という立場で真理の解明をする科学者や天才学者達のお互いのいのちがけの探究と挑戦によって、天文学的マクロな宇宙から、不可視の素粒子にいたるまで飽くなき探究が続いている。そのような中で、上記のような解釈が科学的に立証されるということはきわめて興味深いことである。