○  真・善・美とは何か!

 

しからば何が「真」であり「善」であり「美」であるか例えば「真理」とは何であるかを考えてみますと、世の中には色々な真理らしいものが横行しています。しかし絶対の真理とは何か、凡ゆる学問は「学説」を紹介するけれども、それらは単に仮設であって、絶対的なものではない 。

 

今日真理とされていた学説は、もう明日になると改められているという状態であります。又我々が真理探求をつづける上に、何をもって真理の標準とするのであろうか或いは又、何のために人間は真理を追求するか。

 

それは前にものべたように「価値ある人生」を送るためだと言いますが、しかしそれは結局「心の満足」のためではないか。そうすると真理探求という公共的な活動も、個人の心の満足のためであると言えるのではないか。

 

或いは又「善」をなすのも「善」という絶対規準かあるのではなく、「善をなす」と自己満足によって、「心」の満足を得ているのではないか。戦争中は敵兵を殺すことが奨励されるのに、平時にはそれは明らかに殺人罪として罰せられるのであります。

 

貧乏人に金をやることが善であるか。それともそれは貧乏人の依頼心を増長さすので悪であるか。夫婦間に子供をもうけることは善であるとされても、何故夫婦ならざる者の間の性交・出産は否定されるかその根拠はどこにあるのか「善」と言っても絶対的なものではなく結局「ああ私はよい事をした」と云う心の満足にすぎないではないか ーこのように私には思われてきたのであります。


つづく