天然100%!今日もがんばるオレンジブログ!

天然100%!今日もがんばるオレンジブログ!

基本的にはポケモンの二次小説で、時折色んなお話を!楽しく作りたいですね!


テーマ:

 「……………くっ、この岩さえどかすことが出来れば…………」


 立ちはだかる岩との闘いはまだ続いていた。しかしボクの力だけでどうにもなる問題ではなかった。炎技をぶつけたりしてみてが、何も変化は無い。時間だけが虚しく過ぎていく。


 (くそ、どうすればいいんだ?)


 崩れてきた巨大な岩に隔たれたため、先ほどまで明るかったこの洞窟も、今は薄暗くなった。周りがよく見えないことや、かけがえのない“パートナー”がどうなってるのかさえ全くわからないせいか、不安が生まれてきた。そして、早くどうにかしないとという焦りさえも感じていた。しかし、これと言ったアイデアが浮かぶことはなかった。


 「はぁ…………はぁ…………はぁ………」


 疲れだけが無駄に蓄積されてしまい、ボクはその場に座り込んでしまった。薄暗い洞窟の中でしっぽの炎がランプのような役目をして、その周りだけがほんのり明るかった。


 (チカ…………今頃どうしてるのかな?大丈夫かな?)


 ぼーっと小さな炎を眺めながら、“パートナー”の事がふと浮かんでくる。少し前まではすぐそばで笑ったり、傷ついたときには必死に自分を支えてくれた“パートナー”。でも、今はそばにはいない。ボクが堪え性じゃなかったばっかりに、傷つけてしまったせいだ。


 (もっとボクが素直になれば良かった………。チカはこの世界でボクのたった一人の“仲間”だったのに………)


 チカの事を考えるほど、どうしても目頭が熱くなってしまう。涙が零れないようにまぶた辺りをギュっと押さえてみるも、ダメだった。しばらくの間ボクはそこで泣きじゃくっていた。………と、その時である。


 (ん?あれは………?)


 先ほどチカが休憩していた岩と幸い崩壊を免れた壁との間に挟まる形で、小さな箱のような物体をボクは発見したのである。


 (もしかして………ボクたちの道具箱!?)


 急いでその物体を手にして確認する。間違いない。これはチカが持ち歩いていたボクたちの道具箱である。多少砂を被っていたものの、幸いにも壊れること無く無傷のままだった。早速箱を開いて中身を見てみた。


 (回復の道具はかなり厳しいみたいだなぁ。“モモンのみ”も潰れちゃってるし。あとは“すいみんのタネ”とか“ばくれつのタネ”くらいか。…………ん、“ばくれつのタネ”?…………これだ!!)


 ボクはひらめいた。確か“ばくれつのタネ”は食べたり、投げてぶつけたりすると爆発するはず。となれば、この岩も爆発で壊せるかもしれないと思ったのだ。


 (やってみるしかない。大丈夫。きっと大丈夫だよな!)


 ボクは“ばくれつのタネ”をギュっと握り、キリッと気持ちを引き締めた。そして立ちはだかる岩に向かって思い切り投げつけたのである!


 「このまま終わってたまるもんかー!!」


 次の瞬間、とてつもない爆発音が響き渡った。同時に土煙が立ち上ぼり、多少の揺れも感じた。ボクはその場に伏せて身の安全を図りながら落ち着くのを待った。


 「ゲホッ!ゲホッ!ど………どうだ?」


 何度か咳をしたのち、“ばくれつのタネ”の着弾点を見てみた。まだ土煙が舞っていてハッキリとはわからなかったが、そこには確かに小さな空洞が出来てるように思った。


 「もう少しタネを投げてみよう!えーい!!」


 ボクは首から提げた道具箱を開き、空洞の中へもう一度“ばくれつのタネ”を投げた。爆発音と土煙、多少の揺れが再び辺りを襲う。素早く空洞から離れて伏せて身の安全を図りつつ、それらが落ち着いてから着弾点を見ると、先ほどよりも空洞が広がり、遮られていた向こう側の景色が少しだけ見えるようになった。


 (………よし!なんとかなりそうだぞ!この調子だ!負けるもんか!)


 段々と希望が出てきたボクは、道具箱に入っていた“ばくれつのタネ”を全て岩に向かって投げた。その数五つ。だが、その五つのタネのおかげでこのピンチも遂に脱することが出来たのである。


 (よし、これくらいやればもう大丈夫だろう)


 目の前に大きく広がった向こう側の景色。ピョンと飛び乗ったことや地面を眺めるというか見下ろす形で見えたことが、天井から崩落して積み重った岩の量が相当だったことを物語ってるようだった。


 (チカは…………いないのかな?チカーー、どこにいるんだ!!)


 ボクは眺めていた空洞の出口から、スタンと地面に降り立つと彼女の姿を探した。右に向いたり左に向いたり………。けれども彼女の姿は見えない。…………と、その時だった。


 「チカーー!!!大丈夫!?」
 「ユウキ!!」

 ボクは少し離れた岩影で、小さくなってブルブルと小刻みに震えるチカを見つけた。そんな呼ぶ姿に気づいたのだろう、彼女がボクの方へ嬉しそうにダッシュして飛び込んできた。





 「チカ!!」
 「ユウキー!!凄く怖かったよー!良かった、ユウキが無事で。心配だったんだよ」
 「ボクなら平気さ。それより良かったよ。キミも無事で。さっきはゴメン。チカの気持ちを理解してなくて………。でも、もう大丈夫………安心して」
 「ううん、良いの。私もユウキの気持ち、わかってなかったから………。ゴメンね、ユウキ」


 私たちはお互い抱き合って再会を喜びました。どれくらいそうしてたのかわかりません。でも、お互いの体が相手の嬉し涙で濡れるくらいギュっと抱き合っていました。私はユウキの懐の中に飛び込んで擦り寄せ、ユウキも私の頭に自分の頭を擦り寄せてました。ちょっぴり恥ずかしい部分もあったけど、それくらい再会を嬉しかった。


 あのとき………さっきはユウキと言い合いになって駆け出してしまった私。悔しくてムシャクシャしてどうにもならかったけど、まさか直後にあんな地震が起きるなんて夢にも思いませんでした。


  ズドドドドドドドドドド!!
 「キャッ!地震!!怖い!………助けて!」


 今までも地震は経験していたけど、やっぱり怖かった。何度も早く収まってほしいって祈りながら、たまたまそばにあった岩影に隠れてました。もう体の震えが止まらなくて、必死に丸くなって我慢するしかなかったのです。…………でも、


  ミシッミシッ………ゴゴゴゴゴゴゴゴ!
 (そんな、壁が………天井が崩れちゃうよ!いや、待って…………ユウキ!!)


 私は絶望しか感じませんでした。不気味な音が入ったかと思うと、洞窟の天井や壁に大きな亀裂が入り、そのまま崩落してしまったのですから。私が走ってきた方も崩れてきた岩ですっかり遮られてしまったのです。その先には………私たちのチーム、メモリーズの大切な“リーダー”………ユウキがいるのに。


 「ユウキ…………!ユウキー!!」


 何度も岩を叩きながら、彼の名前を呼びましたが、それが彼のもとに届くことはありませんでした。そのうちに疲れてしまって途方にくれてしまいました。


 (ユウキ…………大丈夫かな?まだ毒は抜けてないだろうし………。あんなにフルパワーでバトルしてたから、体力だってどこまで残ってるか………心配だな)


 自分が少し我慢すれば、あんな小さな事で言い合いをしてなかったのに。離ればなれじゃ“パートナー”として、傷ついてる彼の手助けも治療も出来ない。そう考えると自分の未熟さが悔しかった。


 (なんでいつもこうダメなんだろう、私って。やっぱりみんなの言うように“役立たず”なんだな私って)


 しばらく自らを貶していた私でしたが、その時です。岩の向こうからズドーンという爆発音と、僅かな揺れを感じたのは。


 (何?一体何が起きてるの?怖い………!)


 途端に怖くなった私は、再び先ほどの岩影に隠れました。その間も爆発音は鳴りやまず、それが聞こえる度に地面が揺れたり、天井からミシッミシッって音を立てて砂ぼこりが落ちてきたりして…………とにかく怖くて怖くて仕方ありませんでした。


 しばらくして爆発音は鳴り止み、遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきました。


 「チカーー!どこにいるんだー!?大丈夫かー!!」
 「ユウキ!?ユウキなのね!?」


 声を上げていたのは頼れる“リーダー”、ユウキでした。私は先ほどの爆発音はきっとユウキが自分を助けに来るために何かしていたのだろうと、直感的に思いました。


 (ユウキが…………私のために………?さっきあんな酷いこと言ったのに?うぅう…………ゴメンね)


 私は自分がますます恥ずかしくなりました。本当は辛いはずなのに、彼は無理をしてまで私のために一生懸命戦ってくれてる。ずっと叶わなかった私の夢を叶えてくれて、一緒に行動してくれてる。だから……………私は彼のために、彼と一緒に戦わなきゃいけない………………、でもちっとも私は動けませんでした。結局“勇気”を出せず、岩影で丸くなって震えるばかりだったのです。





 「…………そうか、怖がらせてゴメンね。でも、もう大丈夫。もう大丈夫だから…………」


 チカからあの地震後の事情を聞き、ギュっと抱きしめて、よしよしと背中を優しく撫でて慰めていたボク。まだ小さな黄色い体は震えていた。改めて彼女を独りにしてしまった自分が申し訳なく感じた。だけど、ここからはまた一緒だ。寂しい思いなんかさせるもんか、涙を流させるもんかと固く誓うばかりだった。


 「よし、行こう!まだ救助活動は続いているからね」
 「うん、頑張っていこうね!ユウキ♪」


 ボクらは何度かわからない誓いをした。壁があってぶつかっても跳ね返されてもいい。大事なのはまた立ち上がること。負けないって信じること。立ち上がった時、新たなヒントが見つかるハズだから。そのヒントをつないで行けば、きっとゴールは見つかるハズだから…………。


 無事にチカと再会できたボク。彼女がせがんできたので、道具箱を手渡した。受け取った彼女は嬉しそうにまた首から道具箱を提げる。だが、その間もしつこく毒は残り、また違和感も続いた。


 「ふぅ…………ふぅ………ふぅ…………」
 「ユウキ、苦しいの?大丈夫?」


 チカが心配そうに寄り添ってくる。本来はボクの後ろを歩くというフォーメーションだったが、ボクの姿にいてもいられない様子である。


 「“モモンのみ”がどこかに落ちていればいいんだけど…………」


 チカは必死に解毒作用のある“モモンのみ”を探してくれる。けれども辺りに見えるのは石ころや潰れてたり腐ってる木の実ばかり。チカいわく、割とポピュラーな木の実がこれほど見つからないのは、自然災害の多発で食べ物も不作になってるせいでは無いのかとのことだった。


 結局隅々まで隈無く探してみたものの、この地下4階では“モモンのみ”を手にいれることは出来なかった。先ほどの地震の影響か、このダンジョンで初めて他のポケモンとのバトルは避けられたものの、ただ虚しくボクもチカも体力だけが削られただけだった。二匹ともガッカリして次のフロアに向かう。









 「はぁ……………はぁ……………」
 「ユウキ、大丈夫!?」


 ボロボロな“リーダー”の姿に、チカはまともに見ることが出来なかっただろう。仕方ない。地下5階に降りても、ボクの違和感は酷くなるばかり。もうめまいがしてるし、鎖か何かで縛り付けられたように、体を上手く動かせない。時折何かに刺されるように感じる痛みも酷くなるばかり。おまけに毒に犯されてるという状況なのだから。


 (早く“モモンのみ”を見つけなきゃ………。このままだとユウキが倒れちゃう………。そんなのイヤ!)


 チカは焦っていた。回復用の木の実を一刻も早く頼れるリーダーに与えたくて、楽にさせたくて仕方なかったのだが、肝心なそれらが全く見つかる気配がなかったのだから。たまに見つけてもやっぱり潰れてたり、腐ってたり。とても効果が期待できるものではなかった。


 「どうして!?どうしてなの!?どうしてこんなに見つからないのー!!!いい加減にしてよ!!もうっ!」
 (!?)
 「イヤ、こんなの!!ううう………」


 彼女は思わず泣き叫んだ。もうしんどいことが続きすぎて我慢の限界だったのかもしれない。ボクがいくら平気そうに振る舞おうとも、彼女にはただ無理をさせてるだけだったのだ。


 (一体ボクは…………どうすればいいんだ?)


 その場にしゃがみこみ、顔を伏せてひたすらに泣きじゃくる彼女に、ボクは何も出来ずにいた。ただ立ち尽くすだけだったのだ。


 ……………と、その時だった。


  ドカッッ!!
 「キャッ!!」


 突然チカが吹き飛ばれされてしまった。勢いの余り、壁に激突してしまう。


 「チカーー!!大丈夫かー!」


 ボクは慌てて彼女の元へと駆け寄る。傷つき辛そうにしてるパートナーを思わずギュッと抱いてあげて労る。


 「ワッハッハ!!だっせー、これくらい避けられねぇの!?」
 「このヤロー…………!何するんだ!」


 ボクたちの前に現れたのはでんきポケモンという種族の…………いかにも意地悪そうなエレキッドだった。


 「悪い悪い!ついつい石ころと勘違いして突っ込んじまった!…………にしてもこんなにドンくさいピカチュウなんて初めて見たぜ………ワッハッハ!!」
 「だよねー!僕とマイナンだってこれくらい避けられるよね!?」
 「うん、避けれるよー!ホントにノロマだねー!きっとバトルのセンス無いんだね!!」
 「ううう…………」


 きっとエレキッドの仲間なのだろう。彼のそばにいたおうえんポケモンと呼ばれるプラスル、マイナンもチカのことを馬鹿にして笑っていた。更に、


 「あれ?………無い?………私のバッジ………落としたちゃったのかな?どこ!?どこなの!?」


 チカは首に巻いたスカーフに大切なバッジが無いことに気づいた。ボクも慌てて周りを見る。…………と、その時である。


 「ねぇ!これってピカチュウが持ってたあのバッジだよね!」
 「そうだよねー!せっかくだし貰っていこうか!カッコいいよね!」
 「!?」


 チカは驚き、言葉を失った。プラスルとマイナンの二匹は転がっていたチカのバッジを拾い、いつの間にかはしゃいたのである。


 「ダメ!返してー!」
 「チカ!!」


 それを目の当たりにし、もうチカはパニックになった。強引にボクを振りほどいたかと思うと、一目散に二匹から自分のバッジを取り戻そうとしたのである。ところが思いの外プラスルもマイナンも細かく動き回り素早かった。バッジも最初はプラスルの手中にあった為、チカが取り返そうとしたのだが、マイナンにパスされてしまう。だからと言って彼女がマイナンの元へ行くとそれを嘲笑うかのように、またプラスルへとパスされる…………といったことを交互にされてしまった為、ただむなしくチカは体力が奪われてしまうばかりだった。


 「ハハッ!もう降参なのー?残念だなぁー!」
 「もっと遊んでよ~のろまのピカチュウ!じゃないとこのままバッジ持って行くよ~?アーハッハッハッ!」
 「イヤ………返して………返してってば。お願い………」


 完全にチカを小馬鹿にしてるプラスルとマイナン。彼女はなんとか痛み、そして体力が削られた体を動かして追いすがろうとしたが、それも無駄な抵抗に終わってしまった。バッジが手元から失った今、彼女はダンジョン特有の「自然と体力を削られる」現象のダメージも受けてしまい、みるみるうちに体力を失っていった。それでもなんとかバッジを返してもらおうと、必死な想いで二匹に涙ながらにお願いを続けた。


 「お願い…………返して。それは………私の大事な…………救助隊の証なの。………私の夢なんだ。………それが無くなっちゃったら私…………」


 涙を浮かべながら、よろけながらも少しずつ二匹に近づいてくチカ。…………と、その時だった。


 「いちいちゴチャゴチャうるせーんだよ!この雌ネズミが!おとなしくしやがれ!」
 「キャー!!」
 「チカー!!」


 横からエレキッドの“かみなりパンチ”でチカは殴られてしまう。その衝撃で再び壁へとぶつかってしまい、地面にも叩きつけられた。その結果、彼女は更に酷い傷を負ってしまったのである。


 「大丈夫かい!?しっかりして、チカ!」
 「ユウキ……………?」


 慌ててボクは彼女のもとへ駆け寄った。少しでも安心して貰いたくて、抱き抱えてあげて話しかける。チカはゆっくりとボクの方を見てくれたが、よほど悔しいのだろう。たくさんの涙が溢れていて、小さい円らな黒い瞳も濡れていた。

 「さてと、そろそろずらかるかぁ………」
 「そうだね!アハハハハ!それじゃ~ね♪」
 「バイバーイ!のろまのピカチュウちゃん!」
 「待って…………行かないで…………イヤ。返して。お願い………!」


 チカからバッジを奪った三匹のでんきタイプのポケモンは、その場から離れようとしていた。相変わらずチカの頑張りなど知るはずもないくせに、トコトン彼女を馬鹿にして侮辱するような態度を続けて。


 「待てーー!ふざけるなぁ!チカのこと、なんも知らないくせにー!!」


 ボクは何もできなかった自分がムカついて仕方なかった。………というのも、チカの援護をしなきゃってときに限って、例の違和感が襲って来て身動きが出来なくなった為だった。目の前で好き勝手に“パートナー”を傷つける面々をただ見過ごすことしか出来なかった………その事に腹が立って仕方がなかった。


 「………なんか文句あんのか、てめえ!?」
 「チカのバッジを返せ!!」


 ボクは感情に全て任せ、エレキッドに向かって突っ込んだ。ところが、


 「やーなこった!“でんこうせっか”!」
 「なっ、消えた!?…………ぐわっ!!」
 「ユウキ!?」

 その行動さえも嘲笑うかのように、エレキッドからの反撃を受けてしまったボク。これまでの冒険で受けたダメージの影響は想像以上で、回避することもままならなかった。しかも、


 「何が救助隊だぁ!?ヒトのすみかを好き勝手に荒らしやがって!!誰を助けるのか知ったこちゃねぇけど、自分らの都合が成り立てば周りは関係ねぇってのか!?てめえらこそふざけんじゃねぇぞ!」
 「うわっ!!!」


 エレキッドはますます凶暴化していた。声を荒げて怒鳴り散らすと、思い切りボクを殴ってきた。それは拳に強烈な電気を溜め込んだ“かみなりパンチ”だったため、電流特有の突き刺すような痛みやしびれが一緒にボクを襲った。


 「ぐあああああああ!!」
 「ニヒヒヒ」


 たまらずボクは絶叫した。もうこれまでのダメージでもギリギリ持ちこたえてるって状況だっただけに、この一撃は致命的なものになってしまった。エレキッドが確信した嫌な笑みを浮かべ、ボクは彼の拳から伝わるパワーでそのまま吹き飛ばされてしまった。


 「よわーい!よわすぎる!アハハ、何あのヒトカゲ!?」
 「そんなんでよく救助隊なんて言ってるね?」
 「ついでだし君のバッジも貰っていくねー!」
 「!?………や、やめろ!!返せー!!」
 「アハハー!なんでー?君の仲良しののろまのピカチュウと一緒だし良いじゃん」
 「うるさい!やめろー!」


 ボクはなんとかプラスルやマイナンに大切なバッジを奪われまいと、手足やらしっぽやらを“じたばた”とさせ、その場で暴れて抵抗する。しかし、それも2匹から“でんじは”を浴びせられて身動きを封じられてしまい、それもすぐに終わってしまう。


 しかも信じられないことに、2匹はそれぞれ奪ったバッジを自慢げに胸元にかざし始めたのである。ついでと言わんばかりにエレキッドには道具箱まで奪われてしまった。


 「返せー!!ちくしょう!チカとボクのバッジを返せー!!道具箱を返せー!」
 「うるさいなー。君たちが弱いからいけないんだろ?」
 「悔しかったら僕やプラスルから取り返すことだね!」
 「ま、俺もいるけどな!あばよー!アーハッハッハ!」


 プラスル、マイナン、エレキッド。この3匹は大笑いしながら立ち去ってしまった。


 「そんな…………うう…………ちくしょう。ごめんよ、チカ」
 「うそ…………うそだよね、ユウキ?私たち、救助隊の証…………みんな持っていかれたの?」 
 「……………」
 「イヤ、こんなの!」


 ゆっくりと痛々しい体を起こし、彼らの後をただ茫然と見送るしか出来なかったチカ。すぐに悲しみに暮れるのも無理はなかった。彼女にとってバッジや道具箱は“救助隊”として認められた証。夢や希望がギッシリと詰まった宝物。そして、


 (ユウキと“救助隊”出来ることが唯一の取り柄になってるのに…………これじゃ私、頑張ってる意味がないよ)


 自然災害に怯え、“役立たず”とレッテルを貼られながらも見出だした“生きる希望”そのものだったのだから。ここでそれを奪われることはチカにとって“存在価値”を失わせることになる。それだけに彼女はこちらに背を向ける形でずっと泣き続けた。


 (ボクは何をやってるんだ…………チカを二度と悲しませないって決めたのに…………)


 ボクは彼女を笑顔にさせたかった。これ以上ずっと憧れていた夢を邪魔されたくない。昨日だって邪魔されてなんもボクは出来なかった訳だから。このメモリーズには……………、


 (みんなのことを気遣う………チカの夢がかかってるんだ!!)
 「ユウキ!?どこ行くの!?待ってよ!」


 大切な…………ただ一人の温かい仲間。ずっとそばにいて支えてくれる“パートナー”の事を考えたら、いてもたってもいられなかった。傷つきもう満身創痍なオレンジ色の体を無理矢理起こし、猛ダッシュでエレキッドたちを追いかけた。チカも慌てて後を追いかけてくる。


 バッジを奪われたことで、これまでの謎の違和感、毒に加えて“ちいさなもり”のときのように不思議のダンジョン特有の「自然と体力を削られる」現象にも、今後は蝕まれる事になる。回復用の“オレンのみ”も無い。そうなるともうボクに残された時間は本当に無いだろう。


 それでも戦うしか無いのだ。チカの夢を守るためにも、この先で待ってるコイルたちの仲間を助けるためにも。メモリーズが本当のスタートを切るためにも。


 (絶対に…………負けるもんかー!!)


         ……………メモリー18へ続く。


 


 





 


 
 


 





 





 



 




 



 
 











 


 


 


 





  


 















 




 

 





Ameba人気のブログ

Amebaトピックス