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前回までのあらすじ
アジア最終予選のグループが決まった日本代表。ライバルのオーストラリアがいるグループに入った。
エゴサッカーと絆サッカーがぶつかり合う日本代表は最終予選も勝ち進むことができるのか!?


第2章
世界への切符を手に入れろ!


イタリアW杯アジア最終予選が開幕する。怪我で離脱した豪炎寺修也と日向小次郎に代わって日本代表にはあの2人が招集された。



「馬狼 照英と凪 誠士郎がA代表に初選出!!」

スポーツ新聞などに大きく取り上げられ、ニュースでも話題になった。SNSでは「A代表はまだ早い」「経験不足」「U-23に選ばれてない馬狼選ぶの草」「なんで今は怪我してないのに雨宮とか野坂とか三杉とか持田は呼ばないの?」など散々な言われようだ。
もちろん肯定的な意見もあるが、今回の日本代表の平均年齢があまりにも若く、経験や技術などで不安があるファンが多いようだ。

そして今日は凪と馬狼が日本代表に合流する日だ。日本代表のユニフォーム姿に身を包んだ2人がピッチに現れた。


「やあ潔。お待たせ。」



「よぉヘタクソ。」

「待ってたぜ2人とも。」

ほくそ笑む潔の横を凪は歩いて通過しようとした時、凪は口を開いた。



「俺、負けないから。必ずスタメンを勝ち取るよ」

「燃えてるな凪。俺も負けるつもりは無い。やり合おうぜ。」

睨み合う2人。馬狼も潔に近づき顔を寄せた。

(ちっか)

「A代表にいたからって調子乗んなよヘタクソ。ストライカーは俺1人で充分だ。てめぇは俺の後ろを走ってろ」

「ははっ。なんだ馬狼。俺の実力認めてんだな」

「黙れ。紅白戦でてめぇらAチームを潰す。覚悟しろ」

そうだ。これから日本代表は初戦のオマーン戦に向けて紅白戦を行う。スタメンのAチームとスタメンを狙うBチームに別れて試合をする。
Bチームの方はオマーン代表に合わせたフォーメーションと戦術を取る。守備を固くしてからのカウンターを狙えと達海コーチに指示された。



Aチームスタメン

指揮官はロベルト



Bチームスタメン

指揮官は達海

Aチームが先攻で試合開始。カウンター狙いの為、守備を厚くする……予定だったが、潔がボールを持った瞬間、馬狼がスライディングタックルで奪ってきた。
恐ろしく高い位置でボールを奪取。カウンターもクソも無い。
「馬狼!勝手なことをするな!!」
司令塔を任された神童が怒鳴るも馬狼は聞く耳を持たない。神童を睨みつける。

「うるせぇよワカメ頭。お前らが俺に合わせろ。カウンター狙い?知るか。俺は俺のやりたいようにやる。俺がルールだ」

「くっ!ザナークみたいな奴だな」

恵まれた体格を活かしたドリブルでAチーム陣内へ深く切り込む。突然の攻撃展開にチームメイトは攻撃に参加できていない。馬狼の動きを読み切った鬼道が馬狼からボールを奪った。

「単純なドリブルだな」

「クソが」

ボールは翼へ渡る。潔と凛が駆け出し、いつでもパスできる状況を作り出す。ドリブルで上がる翼の前に岬が立ちはだかる。

「行かせないよ!」

「岬くん……!」

ドリブル突破を見せようとする翼だったが抜きに行かない。隣を走る鬼道にパスを出した。

「ふっ!」

微笑を浮かべている鬼道。しかし、そのボールは神童がインターセプトして弾いた。

「よし!」

翼と鬼道の連携を読んだ神童が主導権を握る。かと思いきや、それも読んでいた冴がボールを拾いに行く神童より先にボールに触れる。

「なにぃ!?」

一瞬でフィールドを見渡した冴はグラウンダーの鋭いスルーパスを出した。ボールは凛の元へ。だが、凛の前にオリヴァが入り込んだ。

「俺にも見えてんだよ。」

走っても間に合わないのでスライディングでボールをクリアする。その先には霧野だ。

「頼んだ霧野さん!」

「任せろ!」

ボールを拾う直前、霧野が受け取る前に猛スピードで走り込んでいた天馬が奪い取った。

「はぁっ!?」

守備が固くパス攻撃をするオマーン代表を切り崩すには攻撃に人数をかけ、セカンドボールを拾って攻撃を止めさせないようにする。
そのままスピードに乗った天馬はゴール前まで颯爽と駆け抜けた。多義と1対1だ。

「絶サイクロン・ハリケーン・タイフーン!!」

「シルバースターライト(GX)!!」

眩い星の光がボールを包み込む。しかし、天馬の強烈なシュートは止められない。多義は弾き飛ばされてゴールに吸い込まれた。

「やった!!!」

喜ぶ天馬に翼がハイタッチする。見ていたロベルトはうんうんと頷いていた。その後も紅白戦は白熱した。



後半からはAチームに若林と優一と京介と白竜が入る。Bチームでは優一を止められず守備の僅かな隙も命取りになっていた。

「よし!」
「さすが兄さんだ!!」

シュートを決めた優一に、京介は駆け寄りハイタッチをする。豪炎寺や日向がいない間、優一がフォワード陣を牽引している。
(やはり優一君のプレイは……)
(俺達の理想だな……)
翼も円堂も優一のプレイに関心を示していた。


そして1週間後、日本代表は初戦のオマーン戦を迎える。前半は意表を突くハイプレスの戦術をしてきたオマーン代表に苦戦するも、少ないチャンスを物にした優一の活躍で先制した。後半もカウンター狙いの固い守備を崩せず苦戦したが、潔が出場した事により流れが変わり始め、獲得したPKを冴が決めて0-2で勝利した。

オマーン(73)0対2日本(20)
ヨルダン(84)1対1ベトナム(95)
タイ(114)2対1オーストラリア(29)
※()内はFIFAランク

どの国もW杯本戦を目指して熱い試合を繰り広げていた。このAグループではFIFAランク最下位のタイ代表がアジアの強豪国オーストラリアを破り、一気に注目を浴びた。コンサワット兄弟が軸となり、オーストラリアに勝利を収めたのだった。


その5日後、日本はヨルダンと対戦。豪炎寺と日向が抜けたことにより、攻撃力が著しく下がっていたが、それでも若手が奮起し、新戦力の凪と馬狼が活躍。吹雪兄弟、剣城兄弟、凪が決めて3-0とホームでヨルダンに圧勝した。日本とタイは2連勝を飾った。

日本(20)3対0ヨルダン(84)
オーストラリア(29)3対1オマーン(73)
タイ(114)2対1ベトナム(95)


ヨルダン戦から1ヶ月後、次はFIFAランク95位のベトナムとの試合だ。日本はエゴイストな馬狼や凛達ブルーロック組と、神童や天馬達との攻撃の連携が上手く取れずに前半を0対0で折り返す。
後半は優一が出場し、鬼道と神童の「ツインブーストFFF(フォルテフォルテシモ)」で先制。さらに京介と白竜の「グレートブラスターGX」で追加点。ともに優一のアシストだった。

オマーン(73)1対0タイ(114)
ヨルダン(84)0対2オーストラリア(29)
ベトナム(95)0対2日本(20)

タイ代表は5日後の日本代表戦に向けて主力のコンサワット3兄弟をベンチスタートで休ませる。だが、それが裏目に出て先制を許し、後半に3兄弟を出すも反撃が遅くそのまま試合終了し痛い敗戦となる。Aグループで日本は負け無し。アジア予選の連勝記録を伸ばしていた。


そして5日後、日本はタイ代表との試合を控えていた。タイのタンマサートスタジアムで第4節が行われる。

日本は最終予選を3戦全勝と波に乗っていた。2次予選から含めると13連勝中だ。アジア最強の名に恥じない結果を残し続けていた。


その頃、ドイツのサッカークラブ VfBシュツットガルトのミーティングルームにあるテレビを豪炎寺はミューラーと共に見ていた。

「やっぱり出たかったか、ゴウエンジ?」

唐突に聞いてくるミューラーの方に目を向け、フッと笑い、テレビにまた目を向ける。スターティングメンバーが発表されていた。



「本戦までに怪我は治すさ。必ず。」

豪炎寺は強く拳を握った。集中して日本代表を応援しようとテレビを凝視すると、驚きのスターティングメンバーが発表されていた。

日本代表スターティングメンバー


「若手だけで組んでいるのか!?」

お試しなのか分からないが翼や円堂を使わず、前節で連携の取れてなかったメンバーを主にスタメンで使っていた。

「何を考えているんだロベルト監督……」

オーストラリアを破るほどの強さを持つタイ代表相手に日本代表はどんなサッカーをするのだろうか。


お互いポジションに着いて、キックオフのホイッスルを待つ。キャプテンマークは神童が付けていた。試合前、ロベルトに言われた事を思い出す。

「神童、気負いすぎるなよ。あいつらのサッカーを活かしてやってくれ」

「はい……」

試合開始のホイッスルが鳴り響いた。タイ代表の攻撃で試合が始まる。要注意人物はフォワードの2人サークーンとチャナ、トップ下ファーランのコンサワット3兄弟。そしてキャプテンでリベロのブンナークと副キャプテンで神童と同い年のセンターバックのラダーム。

早速見事な連携を見せるコンサワット兄弟の攻撃。神童と冴が交わされてしまった。日本が試合に集中し始める前に試合を動かす。神童が慌てて指示を出す。

「ディフェンス!!」

「簡単に抜かれてんじゃねぇよ!!」

3兄弟の連携を読んだ愛空がインターセプトに向かう。キーパーの多義がある事に気づいた。

「逆サイド!4番が上がってる!!」

「翔さん!!!」

愛空のプレスにより、早めにパスを出したファーラン。背番号4ブンナークに渡る前に翔がボールを奪取した。翔がすぐにボールを前線へ蹴り出した。パスを受け取ったのは神童だ。

「神のタクト!ファイアイリュージョン!!」

神童のゲームメイクで攻めようとする。神童は冴にパスをし、潔にパスするように指示を出したが冴はそれを無視。

「おい!冴!潔にパスだ!!1人で行くな!!タイの守備は1人じゃ……」

「いつまで仲良しサッカーをするつもりだ?」

「っ!?」

「そんなサッカーじゃ世界と渡り合えねぇんだよザコ」

冴はドリブルで上がり出す。1人で中盤を突破する気のようだ。神童は足を止めて立ち尽くした。



(無理だ……こんな奴らとサッカーできない……)















to be continued


〜次回予告〜
日本対タイの試合は大半の予想を裏切り、タイが良い試合運びを見せる。日本は流れを掴めるか。
タイ代表の攻守の要コンサワット兄弟とブンナークを止める事はできるのか。神童はチームを勝利に導く事ができるのか!?

第9話
神童の苦悩


これが超次元サッカーだ!!!


〜あとがき〜
どーも沙優羽です!
いやー、神童さん苦労してますね!
エゴイストだらけのこのチームをまとめるのは骨が折れそうです!ストレスで胃に穴があいちゃうよ←

フィールドプレイヤーで一緒に戦ってくれそうなのは霧野と翔くらいかな?
なんとか連勝は続いていますが、負けそうな雰囲気は出てきましたね。どうなるかな(お前が書いてんだr)

ブルーロック(特に馬狼)と神童が分かり合える日は来るんだろうか。来なきゃ困るけどw
お楽しみに!!

ではアデュー☆
イタリアW杯アジア最終予選の抽選会が行われようとしていた。
アジア最終予選は3つのグループに分かれる。1グループ6チームによる総当たり戦で、ホームとアウェーの2試合ずつを行い、計10試合を戦う。各グループの上位2チームがW杯本戦に出場決定。3位と4位がアジアプレーオフへ進む。

日本はアジアNo.1なのでポット1に属している。6つあるそれぞれのポットから1チームずつが各グループに入る。日本はどのチームと対戦する事になるのか。
()内はFIFAランク

POT1
日本(20)
イラン(24)
韓国(27)

POT2
オーストラリア(29)
サウジアラビア(54)
カタール(61)

POT3
イラク(67)
UAE(72)
オマーン(73)

POT4
ウズベキスタン(74)
中国(81)
ヨルダン(84)

POT5
バーレーン(85)
シリア(90)
ベトナム(95)

POT6
インド(101)
タイ(114)
北朝鮮(115)


数日前、監督のロベルトやコーチ数人で抽選会場のマレーシアへと向かった。当日、選手達はそれぞれのチームで練習していたが、集中できるはずもなく、抽選会の中継時間が近づくと、練習を切り上げて、ミーティングルームでテレビを見たり、練習後にチームメイト達と見たりしていた。



「アツヤはどこと対戦したい?」

アツヤの隣にいた吹雪士郎が聞く。2人はコンサドーレ札幌のチームメイトであり兄弟だ。アツヤは「そうだな…」と顎に手を当てて首を傾げていた。

「俺はやっぱり強いとこと試合してぇな」

「なら、オーストラリアかな。ドゥビガやドルフィン、ラルーゼがいるし……」

そう話している2人。その時、2人がいるミーティングルームの扉付近から声が聞こえた。


「お前ら、俺のチームでサッカーやってみないか?」


2人が慌てて振り向くとそこには口角を上げて笑っている達海がいた。2人は驚きを隠せない。


「どうして達海コーチがここに?」


達海は数日前にロベルトと共に抽選会場に向かっていたはずだからだ。それより、ETUの試合を見に来たであろう達海が明日の対戦相手のミーティングルームに入ってくる自由さに吹雪兄弟は驚いていた。達海はハハッと笑った。



「いやー、あんなとこいても眠くなっちまうし、つまんねーし。お前らと会話しながら抽選会見たいなって思ってさ。ETUからは誰も代表出てねぇし。やっぱETUの監督は俺じゃねぇと……なんてな。
てことで、抽選会の方はロベルト監督やコーチ3人のオジサン達に任せてきた。」

「オジサンて」

苦笑いするアツヤ。達海はよっこらしょと椅子に腰掛ける。みんなテレビに釘付けだ。抽選会がいよいよ始まる。

まずはポット6からの抽選だ。グループAにはタイが入った。グループBには北朝鮮。グループCにはインドだ。

続いてポット5の抽選が行われる。グループAにベトナム、Bにシリア、Cにバーレーンが入る。


グループA
ベトナム(95)
タイ(114)

グループB
シリア(90)
北朝鮮(115)

グループC
バーレーン(85)
インド(101)


次にポット4の抽選がされる。ポット4には2次予選で戦った中国代表がいる。イングランドのリーグで活躍している天馬が画面を見ながら呟いた。



「また彼らと試合するかもしれないんだね……」

「そうだな……。まあ、負ける気はしないがな」

京介が不敵に笑みを浮かべている。天馬は大きく頷いた。
グループAにヨルダン、Bにウズベキスタン、中国はグループCに入った。



「ハオ達はグループCか。バーレーンもインドも各ポット1位だから結構強いけど勝てるかな」

横浜では、中国の心配をするタツヤに、ヒロトが鼻で笑った。


「ハッ!あいつらの心配してる場合かよ。俺達は俺達で予選突破しなくちゃならねーしよ。」

「……そうだな。また彼らと戦う可能性もあるしね」

「あぁ。相手が誰だろうとぶっ倒す。中国だろうと韓国だろうとな」

「いや、韓国とは同じポットだから戦わないけどね。あと、お前はケガで代表外されてるよね。」

カッコつけたかったヒロトは顔を赤らめて縮こまる。タツヤが笑いながら背中をトントンと叩いて励ました。


次はいよいよポット3の抽選だ。この辺りからアジアでの強豪国が出てくる。グループAにはオマーン。Bにはアラブ首長国連邦(UAE)、Cにはイラクだ。



「グループCが今のところ難易度高いな」

難しい顔をしている神童。霧野も頷いていた。各ポットの1位の国がグループCに集中していて、W杯本戦への出場に対する難易度が高い為だ。
でも、逆に言えば強い国と戦いたいならグループCに入るべきなのだ。

とは言っても、ポット2の最も強い国であり、FIFAランクも30位以内のオーストラリアがいるグループの方が難易度は高い可能性がある。オーストラリアがグループCに入るような事があればそれこそ難易度が跳ね上がる。



「いよいよポット2の抽選だな。オーストラリアはどこに入るかな」

同じドイツにいる若林と潔。テレビを食い入るように見つめる若林は潔に声をかける。潔もテレビを見つめていた。



「オーストラリアは日本人より体格あるし、日本と違って戦術よりはスピードを活かした攻撃を得意とする。アジアで間違いなくトップクラスの強さだ。できれば本戦に行く前に戦っておきたいですよね」

日本のレベルアップには持ってこいの相手だ。そんなオーストラリアが入るグループは……




「Aか」


椅子に膝を立てて座っている達海が呟く。Bはカタール、Cはサウジアラビアに決まった。残りは日本を含むポット1のみだ。


グループA
オーストラリア(29)
オマーン(73)
ヨルダン(84)
ベトナム(95)
タイ(114)

グループB
カタール(61)
UAE(72)
ウズベキスタン(74)
シリア(90)
北朝鮮(115)

グループC
サウジアラビア(54)
イラク(67)
中国(81)
バーレーン(85)
インド(101)


黙って抽選会の中継を見つめるイタリアにいる優一とスペインにいる冴。どのグループに入っても関係ないと言う顔だ。

グループAに入れば、強豪国オーストラリアと試合が出来るが、それ以外は各ポットの最下位が固まっており強くない。
グループBは、カタールやウズベキスタンなど各ポットの上位がひしめくバランスの良いグループ。
グループCは各ポットの1位が固まっており、強豪国のサウジアラビアと試合ができる。


《さあいよいよポット1の抽選が始まります。我々日本はどのグループに入るでしょうか?まずはグループAに入る国を決めます!》

抽選会の中継が流れているテレビから実況者の緊張感のある声が聞こえてくる。みんな固唾を飲んで見守った。

抽選する人が透明なアクリルで出来た金魚鉢のような形の抽選箱に手を入れて、3つある黒い玉を転がしてその内の1つを選んで手に持った。

それを半分に割り、中にある国名が入った紙を広げ、ステージ下にいる各国の監督やカメラの方へ向けた。

そこには「日本(JAPAN)」と書かれていた。

《日本はグループA!強豪、オーストラリアとW杯本戦を賭けて戦います!!》


「決まったなゴウエンジ」

「ああ。」


VfBシュツットガルトに所属しているドイツ代表のミューラーが呟き、豪炎寺が答えた。
2人は本戦で戦おうと約束していた。その約束を果たす為、お互いに予選突破できるよう健闘を祈り合った。チームメイトの韓国代表リョウウンは猛烈にアピールしているが2人にスルーされて弄られていた。

そして抽選が終了。グループBには韓国、Cにはイランが入り、イタリアW杯アジア最終予選の組み合わせが決まった。


グループA
日本(20)
オーストラリア(29)
オマーン(73)
ヨルダン(84)
ベトナム(95)
タイ(114)

グループB
韓国(27)
カタール(61)
UAE(72)
ウズベキスタン(74)
シリア(90)
北朝鮮(115)

グループC
イラン(24)
サウジアラビア(54)
イラク(67)
中国(81)
バーレーン(85)
インド(101)


アジア最終予選の1節目は2ヶ月後に行われる。スペインの名門クラブFCバルセロナにいる翼は抽選結果を見守り、チームメイトのブラジル代表ナトゥレーザと共に練習に戻って行った。その日の夜、1人でドリブルからのシュート練習をしていると、ある人が声をかけてきた。


「よぉ翼!張り切ってるな!」


「っ!?………あ、円堂くん!?」


アトレティコ・マドリードに所属してる日本人ゴールキーパー円堂守がそこにはいた。翼は笑顔になる。


「どうしてここに?」


「明日俺達との試合だろ?」


「そうだった……」


円堂はフッと笑い、翼の元へ駆け寄った。転がるボールをリフティングで上げるとインサイドキックでパスをする。翼は胸でトラップして止めた。


「なぁ翼」


「ん?どうしました?」


「…………」


話しにくそうな円堂に気づいた翼が口を開く。それは翼も気にしてる事だ。


「日本代表のこと……ですよね?」


「ハハッ。よく分かったな」


苦笑いをしている円堂にボールをパスする翼。ボールを受け取った円堂は翼に蹴り返す。2人はパスし合った。


「今の日本代表はバラバラだ。なんとか個人技で勝ててる感じがする。チームとしてはまとまってない。どうすればいいんだろうな」


「エゴイストサッカーか絆サッカーか。俺達日本サッカーに合ってるのは絆サッカーだとは思いますけど……」


「でも、絵心コーチは言ってたろ?日本サッカーを変えるのはブルーロックの奴ら、エゴイストサッカーだって」


円堂の言葉を聞いた翼はボールを受け取った後、蹴り返さずに俯いているままだ。円堂が首を傾げる。


「翼……?」



「実は俺に考えがあるんです」



「ははっ!奇遇だな……」


お互い顔を合わせてニカッと笑う。2人の考えてる事は一体何なのか。
日本のW杯出場に向けて、アジア最終予選は激戦を極める。














to be continued


次回予告
いよいよ始まるアジア最終予選。日本のW杯本戦出場を賭ける戦いが始まる。
順当に勝ち進む日本代表の4節目の相手はコンサワット兄弟がいるタイ代表。コンディション不良で豪炎寺と日向を欠いた日本はいきなり苦戦を強いられる。

第8話
最強の兄弟


これが超次元サッカーだ!!!


〜あとがき〜
どーも沙優羽です!
ついに決まりましたアジア最終予選の日本の対戦相手!
リアルと同じオーストラリアと激突です!
もう腐れ縁ですよね。何大会連続でぶつかってんだろw
見る方は楽しいからいいけど笑

次回からは第2章、アジア最終予選篇が始まります。
優一と潔が大活躍し、神童と馬狼が激突し、エゴサッカー対絆サッカーがバチバチに火花を散らします。
どう解決していくのかもお楽しみに!!

ではアデュー☆
イタリアW杯アジア2次予選シンガポールとの第1節の5日後、中国との2節目が行われようとしていた。剣城京介と糸師冴は相変わらずいがみ合っている。

その空気を感じていたヒロトや不動は不満がありそうな雰囲気を出している。それを、タツヤや鬼道が宥めている感じだ。



「では、スタメンを発表する。まずはGK。杉山多義!」

「はい!」

ロベルト監督がスターティングメンバーを発表する。相変わらず剣城兄弟と糸師兄弟は並んでスタメンに選ばれることは無かった。





中国代表との2節目。この試合でも、優一は大活躍だ。エースストライカーの豪炎寺と共にゴールを量産する。

「いけ優一!!」


「はぁぁ!!真ソードブレイク!!」


「絶!龍神鉄扇!!」



《ゴォォォールッ!!これで剣城優一3点目!ハットトリック達成だーっ!!前半だけで5-0!日本強い!強すぎます!!》


盛り上がる日本のサポーター。シュートを決めた優一は日本ベンチを指差す。目線は冴に注がれている。



「…………」


黙って睨み返す冴。優一も、冴と同じフィールドに立ってない事に気づいている。練習、練習試合、強化試合、紅白戦、全てにおいて剣城兄弟と糸師兄弟含むブルーロック組とは連携を取っていない。

前半は5-0で折り返した。後半は豪炎寺と優一と不動に代わって潔と糸師兄弟が入る。後半も日本のペースで試合が進む。




後半から入った3人がそれぞれ得点し、翼や天馬も点を決め、終わってみれば13-0と中国代表を圧倒していた。

ロッカールームへ向かう冴達ブルーロック組と、ミーティングルームへ向かう優一と京介がすれ違う。優一はニコッと笑った。

「ナイスシュートだったね。さすがだよ、冴君達は!」

「ごっこサッカーより、エゴサッカーの方が中国を圧倒できただろ?分かったか、ブラコン」

「ふん。調子に乗るな」


相変わらず喧嘩腰の冴に京介が食ってかかる。冴達の姿が見えなくなった後、優一は京介に聞いた。


「なあ京介。冴君は俺達と組まないとでも言ってるのか?練習でも、監督が分けさせてる気がするんだ」

「そうだよ兄さん。あいつらは俺達とは組まないと言っている。絆ごっこに付き合う暇はないんだとよ」

京介のその目には怒りがあった。優一はロッカールームの扉を黙って見つめていた。



それから2ヶ月半後、ついにアジア2次予選も日本代表はマレーシアとシンガポールの2試合を残すのみとなったが、ヒロトが怪我で離脱し、アツヤが追加招集された。

マレーシアとの試合がある2日前、日本は韓国との強化試合があった。韓国は日本と並んでアジア勢ではトップクラスの強さを誇る。

「今日はよろしくな!アフロディ!」



「あぁ。お手柔らかに頼むよ」

両副キャプテンの円堂とアフロディが握手をする。日本は翼と冴を中心にゲームメイク。韓国はアフロディとチャンスウを中心にゲームメイクをするようだ。

韓国のツートップの1人、リョウウンが豪炎寺に声をかけて握手をした。2人はドイツのサッカークラブ『VfBシュトゥットガルト』に所属している。


「日本代表の強さ、見せてもらうぞ」

「あぁ。よろしく」







日本対韓国の強化試合がキックオフ。先に攻めるのは日本だ。豪炎寺が翼にパスを渡す。翼はドリブルで上がる。


「さあ行くよ!!」


ドリブルで上がる翼の前にチャンスウが立ちはだかる。ドリブルで抜こうとする翼をチャンスウは必死に止めていた。


「よこせ!」


パスを求める冴に翼はパスを出す。しかし、そのパスはアフロディがインターセプトした。


「っ!?」


「神の前では人間は無力さ。」


すぐにドリブルで上がり出す。止めに来る霧野と愛空を見て、アフロディはふふっ笑った。


「行かせるか!!」


「真ヘブンズタイム」


右手を上げて指を鳴らす。まるで時を止めたかのようにフィールド全体を錯覚させ、霧野と愛空を抜いた。再び鳴らすと2人を突風のような風で吹き飛ばした。


「いくよ、円堂君」


「来い!アフロディ!!」


アフロディの両サイドからバーンとガゼルが現れる。アフロディに金色の羽が出現し上空へと浮遊し、バーンとガゼルと3人で強烈なシュートをお見舞いする。


『カオスブレイクインパクト!!』


金色のオーラと氷と炎がまとったボールが羽を撒き散らしながら円堂に迫る。



「オメガ・ザ・ハンド(GX)!!!」


巨大な右手でシュートを握りつぶす。ボールは円堂の手中に収まった。円堂はニカッと笑う。


「良いシュートだな!!」


「や、やるね……。韓国最強の連携シュートだったんだけど……」


止められたアフロディは悔しさもあるが、それ以上に強敵である円堂との対戦が楽しみで笑みを零した。


「さぁ!今度はこっちから行くぞ!!」


円堂の投げたボールは蜂楽が貰う。翼はチャンスウに徹底的にマークされていて自由に動けない。蜂楽はそのままドリブルで上がり出した。


「バッファロータックル!!」


蜂楽の華麗なドリブルを、強靭なフィジカルで奪いに来たミンウ。取られる前に蜂楽はすぐさま潔へパスを繋ぐ。


「ナイスパス蜂楽」


早い攻撃展開を見せる日本代表。だが、そのパスはチャンスウが奪い取った。


「なっ!?」


翼のマークに付いていたはずのチャンスウが潔に負けないくらいの戦術眼と視野を持っていたようで潔にボールが繋がる前に奪取した。


「君に見えてる世界は私にも見えているんですよ、潔」


「いや、見えてねぇよモジャモジャ」


潔は不敵な笑みを浮かべている。ボールを奪ったチャンスウの目の前に豪炎寺がいた。スライディングでボールをはじき飛ばす。


「くっ!!」


セカンドボールを潔が拾う。潔は守備陣を引き付けてから逆サイドにパスを出した。そのボールは凛に向かう。


「良いとこやるよ、凛」


「バーティカルスピンシュート!!」


ゴールポスト上空へと向かっていくシュートは急降下してゴールに迫る。キーパーのレウォンは火山を出現させた。


「ボルケーノウォールV3!!」


必死に抑えるレウォンだが、凛のシュートの威力は火山の壁を軽く凌駕する。


「うわぁぁぁ!!」


レウォンの技を突き破った。ゴールを確信したその時、アフロディがゴール前まで戻って来ていてシュートを間一髪で防いだ。


「なに!?」


「危なかったね」


驚きを隠せない日本代表。アフロディはコーナーキックに備えて選手達に指示を出していた。日本のコーナーキックで試合が再開する。キッカーは風丸だ。ゴール前は敵味方で入り組んでいる。


助走を付けながら風丸がボールを蹴り出す。そのボールに合わせたのは豪炎寺だ。でも、元FWであるチュンユンが読んでいてボールをクリア。こぼれ球をチャンスウが拾った。


「さぁ攻めますよ!!」


「させないよ」


チャンスウの行く手を今度は翼が遮る。スライディングでボールを奪い取った。だが、それをアフロディが奪い返す。


「くっ!」


韓国代表は翼を機能させない。でも、翼に引けを取らない世界的に有名なMFがもう一人いる。糸師冴だ。


「どけよ神様。それは俺のだ。」



「真ヘブンズタイム!」


またもアフロディの突破を許してしまった。ガゼル、バーンと共に日本陣内に切り込んでいく。


「見せてあげるよ。僕達の最強シュートをね。」


またもアフロディ、バーン、ガゼルの3人はシュート体勢に入る。愛空がシュートコースに入った。


『カオスブレイクインパクト!!』


「ブルーシールd…わぁ!!」


青い盾でシュートの威力を落とそうとした愛空は技を出す暇がなく吹き飛ばされる。円堂は先程止めたので余裕の表情だ。だが、そのシュートコースにツートップのヨンウンとインチョンがシュートチェインに走り込んでいた。


『ダブルファイアZ!!』


「オメガ・ザ・ハンド(GX)!!」


シュートを抑え込む円堂。しかし、シュートは止まる気配がなくどんどん差し込まれる。


「くっ!なんて威力なんだ……うわぁ!」


吹き飛ばされる円堂。シュートはゴールネットを揺らした。日本代表は初めての失点を許す形となった。


「やるなぁアフロディ達!」


ボールを拾いながら円堂はアフロディ達を褒める。アフロディは悲しい表情をしていた。


「ど、どうしたんだ?」


「君達バラバラなんだね。」


「え?」


予想外の言葉に円堂は咄嗟に聞き返していた。アフロディは円堂の前に立って指を差す。


「君達のサッカーは自分勝手なプレーをする自己満チームだ。だから僕達のチームワークに翻弄されたんだ。」

「っ!?」

「敵である君達に言うのは気が引けるが気になるんだ。各々がプレーするのは良いが中途半端なチームプレーは身を滅ぼすよ」


アフロディは円堂からボールを貰うとセンターサークルに向かって歩き出す。



「フィールドで迷っていたら勝ち進めないよ」

「…………」

その背中を円堂は黙って見つめていた。絆サッカーかエゴイストサッカーか。その答えはまだ出ていない。中途半端なサッカーをしているのはみんな薄々気づいていた。

結局試合は日本が後半に2点を奪って逆転勝利を収めた。後半に優一と京介を投入し、機能しない翼に代わってゲームメイクを勤めた優一のチームプレーがハマり、見事に逆転したのだった。

そして2日後、日本はマレーシアに4対0で勝利し、その5日後のシンガポール戦も7対0と勝利を収めた。




日本は無傷で最終予選へと駒を進める。でも、今のままでは勝ち進めないと円堂や翼達は思っていた。中途半端なチームになっている日本サッカーが本当に変わる日は来るのだろうか。












to be continued


次回予告
無事にアジア2次予選を突破した日本代表。最終予選に向けて抽選会が行われる。日本はどこと同じグループに入るのか。
そして円堂と翼はアフロディに言われた事に対し、お互いに想いを語り合う。

第7話
円堂と翼の想い


これが超次元サッカーだ!!!



〜あとがき〜
どーも沙優羽です!
こちらも現実と同じように無失点で全勝し2次予選突破を決めました!
まあ、日本の強さなら2次予選くらい余裕で突破できますからね。

問題はやっぱり最終予選です。オーストラリアとかサウジアラビアとかカタールとか強いとことぶつかったら結構厳しいですからね
リアルと一緒です笑
次回は抽選会です!どこと同じグループになるか楽しみですね!

あといい加減君達みんな仲良くしてくれ。大人なんだから頼むよ←
次回もお楽しみに!
アデュー☆