前回までのあらすじ
アジア最終予選のグループが決まった日本代表。ライバルのオーストラリアがいるグループに入った。
エゴサッカーと絆サッカーがぶつかり合う日本代表は最終予選も勝ち進むことができるのか!?
第2章
世界への切符を手に入れろ!
イタリアW杯アジア最終予選が開幕する。怪我で離脱した豪炎寺修也と日向小次郎に代わって日本代表にはあの2人が招集された。
「馬狼 照英と凪 誠士郎がA代表に初選出!!」
スポーツ新聞などに大きく取り上げられ、ニュースでも話題になった。SNSでは「A代表はまだ早い」「経験不足」「U-23に選ばれてない馬狼選ぶの草」「なんで今は怪我してないのに雨宮とか野坂とか三杉とか持田は呼ばないの?」など散々な言われようだ。
もちろん肯定的な意見もあるが、今回の日本代表の平均年齢があまりにも若く、経験や技術などで不安があるファンが多いようだ。
そして今日は凪と馬狼が日本代表に合流する日だ。日本代表のユニフォーム姿に身を包んだ2人がピッチに現れた。
「やあ潔。お待たせ。」
「よぉヘタクソ。」
「待ってたぜ2人とも。」
ほくそ笑む潔の横を凪は歩いて通過しようとした時、凪は口を開いた。
「俺、負けないから。必ずスタメンを勝ち取るよ」
「燃えてるな凪。俺も負けるつもりは無い。やり合おうぜ。」
睨み合う2人。馬狼も潔に近づき顔を寄せた。
(ちっか)
「A代表にいたからって調子乗んなよヘタクソ。ストライカーは俺1人で充分だ。てめぇは俺の後ろを走ってろ」
「ははっ。なんだ馬狼。俺の実力認めてんだな」
「黙れ。紅白戦でてめぇらAチームを潰す。覚悟しろ」
そうだ。これから日本代表は初戦のオマーン戦に向けて紅白戦を行う。スタメンのAチームとスタメンを狙うBチームに別れて試合をする。
Bチームの方はオマーン代表に合わせたフォーメーションと戦術を取る。守備を固くしてからのカウンターを狙えと達海コーチに指示された。
指揮官はロベルト
指揮官は達海
Aチームが先攻で試合開始。カウンター狙いの為、守備を厚くする……予定だったが、潔がボールを持った瞬間、馬狼がスライディングタックルで奪ってきた。
恐ろしく高い位置でボールを奪取。カウンターもクソも無い。
「馬狼!勝手なことをするな!!」
司令塔を任された神童が怒鳴るも馬狼は聞く耳を持たない。神童を睨みつける。
「うるせぇよワカメ頭。お前らが俺に合わせろ。カウンター狙い?知るか。俺は俺のやりたいようにやる。俺がルールだ」
「くっ!ザナークみたいな奴だな」
恵まれた体格を活かしたドリブルでAチーム陣内へ深く切り込む。突然の攻撃展開にチームメイトは攻撃に参加できていない。馬狼の動きを読み切った鬼道が馬狼からボールを奪った。
「単純なドリブルだな」
「クソが」
ボールは翼へ渡る。潔と凛が駆け出し、いつでもパスできる状況を作り出す。ドリブルで上がる翼の前に岬が立ちはだかる。
「行かせないよ!」
「岬くん……!」
ドリブル突破を見せようとする翼だったが抜きに行かない。隣を走る鬼道にパスを出した。
「ふっ!」
微笑を浮かべている鬼道。しかし、そのボールは神童がインターセプトして弾いた。
「よし!」
翼と鬼道の連携を読んだ神童が主導権を握る。かと思いきや、それも読んでいた冴がボールを拾いに行く神童より先にボールに触れる。
「なにぃ!?」
一瞬でフィールドを見渡した冴はグラウンダーの鋭いスルーパスを出した。ボールは凛の元へ。だが、凛の前にオリヴァが入り込んだ。
「俺にも見えてんだよ。」
走っても間に合わないのでスライディングでボールをクリアする。その先には霧野だ。
「頼んだ霧野さん!」
「任せろ!」
ボールを拾う直前、霧野が受け取る前に猛スピードで走り込んでいた天馬が奪い取った。
「はぁっ!?」
守備が固くパス攻撃をするオマーン代表を切り崩すには攻撃に人数をかけ、セカンドボールを拾って攻撃を止めさせないようにする。
そのままスピードに乗った天馬はゴール前まで颯爽と駆け抜けた。多義と1対1だ。
「絶サイクロン・ハリケーン・タイフーン!!」
「シルバースターライト(GX)!!」
眩い星の光がボールを包み込む。しかし、天馬の強烈なシュートは止められない。多義は弾き飛ばされてゴールに吸い込まれた。
「やった!!!」
喜ぶ天馬に翼がハイタッチする。見ていたロベルトはうんうんと頷いていた。その後も紅白戦は白熱した。
後半からはAチームに若林と優一と京介と白竜が入る。Bチームでは優一を止められず守備の僅かな隙も命取りになっていた。
「よし!」
「さすが兄さんだ!!」
シュートを決めた優一に、京介は駆け寄りハイタッチをする。豪炎寺や日向がいない間、優一がフォワード陣を牽引している。
(やはり優一君のプレイは……)
(俺達の理想だな……)
翼も円堂も優一のプレイに関心を示していた。
そして1週間後、日本代表は初戦のオマーン戦を迎える。前半は意表を突くハイプレスの戦術をしてきたオマーン代表に苦戦するも、少ないチャンスを物にした優一の活躍で先制した。後半もカウンター狙いの固い守備を崩せず苦戦したが、潔が出場した事により流れが変わり始め、獲得したPKを冴が決めて0-2で勝利した。
オマーン(73)0対2日本(20)
ヨルダン(84)1対1ベトナム(95)
タイ(114)2対1オーストラリア(29)
※()内はFIFAランク
どの国もW杯本戦を目指して熱い試合を繰り広げていた。このAグループではFIFAランク最下位のタイ代表がアジアの強豪国オーストラリアを破り、一気に注目を浴びた。コンサワット兄弟が軸となり、オーストラリアに勝利を収めたのだった。
その5日後、日本はヨルダンと対戦。豪炎寺と日向が抜けたことにより、攻撃力が著しく下がっていたが、それでも若手が奮起し、新戦力の凪と馬狼が活躍。吹雪兄弟、剣城兄弟、凪が決めて3-0とホームでヨルダンに圧勝した。日本とタイは2連勝を飾った。
日本(20)3対0ヨルダン(84)
オーストラリア(29)3対1オマーン(73)
タイ(114)2対1ベトナム(95)
ヨルダン戦から1ヶ月後、次はFIFAランク95位のベトナムとの試合だ。日本はエゴイストな馬狼や凛達ブルーロック組と、神童や天馬達との攻撃の連携が上手く取れずに前半を0対0で折り返す。
後半は優一が出場し、鬼道と神童の「ツインブーストFFF(フォルテフォルテシモ)」で先制。さらに京介と白竜の「グレートブラスターGX」で追加点。ともに優一のアシストだった。
オマーン(73)1対0タイ(114)
ヨルダン(84)0対2オーストラリア(29)
ベトナム(95)0対2日本(20)
タイ代表は5日後の日本代表戦に向けて主力のコンサワット3兄弟をベンチスタートで休ませる。だが、それが裏目に出て先制を許し、後半に3兄弟を出すも反撃が遅くそのまま試合終了し痛い敗戦となる。Aグループで日本は負け無し。アジア予選の連勝記録を伸ばしていた。
そして5日後、日本はタイ代表との試合を控えていた。タイのタンマサートスタジアムで第4節が行われる。
日本は最終予選を3戦全勝と波に乗っていた。2次予選から含めると13連勝中だ。アジア最強の名に恥じない結果を残し続けていた。
その頃、ドイツのサッカークラブ VfBシュツットガルトのミーティングルームにあるテレビを豪炎寺はミューラーと共に見ていた。
「やっぱり出たかったか、ゴウエンジ?」
唐突に聞いてくるミューラーの方に目を向け、フッと笑い、テレビにまた目を向ける。スターティングメンバーが発表されていた。
「本戦までに怪我は治すさ。必ず。」
豪炎寺は強く拳を握った。集中して日本代表を応援しようとテレビを凝視すると、驚きのスターティングメンバーが発表されていた。
日本代表スターティングメンバー
「若手だけで組んでいるのか!?」
お試しなのか分からないが翼や円堂を使わず、前節で連携の取れてなかったメンバーを主にスタメンで使っていた。
「何を考えているんだロベルト監督……」
オーストラリアを破るほどの強さを持つタイ代表相手に日本代表はどんなサッカーをするのだろうか。
お互いポジションに着いて、キックオフのホイッスルを待つ。キャプテンマークは神童が付けていた。試合前、ロベルトに言われた事を思い出す。
「神童、気負いすぎるなよ。あいつらのサッカーを活かしてやってくれ」
「はい……」
試合開始のホイッスルが鳴り響いた。タイ代表の攻撃で試合が始まる。要注意人物はフォワードの2人サークーンとチャナ、トップ下ファーランのコンサワット3兄弟。そしてキャプテンでリベロのブンナークと副キャプテンで神童と同い年のセンターバックのラダーム。
早速見事な連携を見せるコンサワット兄弟の攻撃。神童と冴が交わされてしまった。日本が試合に集中し始める前に試合を動かす。神童が慌てて指示を出す。
「ディフェンス!!」
「簡単に抜かれてんじゃねぇよ!!」
3兄弟の連携を読んだ愛空がインターセプトに向かう。キーパーの多義がある事に気づいた。
「逆サイド!4番が上がってる!!」
「翔さん!!!」
愛空のプレスにより、早めにパスを出したファーラン。背番号4ブンナークに渡る前に翔がボールを奪取した。翔がすぐにボールを前線へ蹴り出した。パスを受け取ったのは神童だ。
「神のタクト!ファイアイリュージョン!!」
神童のゲームメイクで攻めようとする。神童は冴にパスをし、潔にパスするように指示を出したが冴はそれを無視。
「おい!冴!潔にパスだ!!1人で行くな!!タイの守備は1人じゃ……」
「いつまで仲良しサッカーをするつもりだ?」
「っ!?」
「そんなサッカーじゃ世界と渡り合えねぇんだよザコ」
冴はドリブルで上がり出す。1人で中盤を突破する気のようだ。神童は足を止めて立ち尽くした。
(無理だ……こんな奴らとサッカーできない……)
to be continued
〜次回予告〜
日本対タイの試合は大半の予想を裏切り、タイが良い試合運びを見せる。日本は流れを掴めるか。
タイ代表の攻守の要コンサワット兄弟とブンナークを止める事はできるのか。神童はチームを勝利に導く事ができるのか!?
第9話
神童の苦悩
これが超次元サッカーだ!!!
〜あとがき〜
どーも沙優羽です!
いやー、神童さん苦労してますね!
エゴイストだらけのこのチームをまとめるのは骨が折れそうです!ストレスで胃に穴があいちゃうよ←
フィールドプレイヤーで一緒に戦ってくれそうなのは霧野と翔くらいかな?
なんとか連勝は続いていますが、負けそうな雰囲気は出てきましたね。どうなるかな(お前が書いてんだr)
ブルーロック(特に馬狼)と神童が分かり合える日は来るんだろうか。来なきゃ困るけどw
お楽しみに!!
ではアデュー☆