朝起きるとゴミ箱には、ビリビリに破かれた離婚届が捨ててありました。
昨日夫は何を思い何を考えたのでしょうか。
私には、夫の想いを知ることはできませんでしたが、昨日の出来事の証拠はゴミ箱の中にはっきりと残っていました。
いつもは、時間になると起こす夫をそのままにして会社に行きました。
その日は、夫が会社に姿を現す事はありませんでした。
具合が悪いと連絡があったそうです。
さやさん。向うの会社での、辞令は来月中頃にだされるそうですよ。
錦戸君がこっそり教えてくれました。
うん・・。でももう私たちダメだと思う。たぶん別れる事になると思う。
会社の手前、事細かく説明する場所ではなかったので、手短にそういうと
え・・・?どういう事ですか?別れるとは?
うん・・・。たぶん離婚する。と思う・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。夫さんが会社を休んでいる事と何か関係あるんですか?
うん・・・。昨日、色々あって・・・。後で詳しく話すね。
はい・・・。何かあれば言ってください。
うん。いつもいつもありがとう・・・。
なんだか泣きそうでした。私もおそらく、すごく無理をしているのです。
本当は、誰かを頼りたい。そんな気持ちがあるのを精一杯隠しているのです。
こういう時に、もらう優しさは返って自分を辛くしました。
私が答えを出したことで、一気に色々な事が動くでしょう。
それが、怖くもあり、それでいて前に進めるという安堵があるのも確かでした。