きらら舎の切手のこと | 天氣後報

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幼い頃は母が切手愛好家だったため、兄弟で1冊づつ切手帖を所有していました。ちょうど、切手蒐集が流行った時代で、雑誌には必ず切手販売のページがありましたし、少年誌にさえもかっこいい外国切手の通信販売コーナーがありました。

もともとは母が蒐集していたため、価値がある日本の切手が多く、時々買ってもらえる切手や雑誌通販で購入した切手を兄弟間でトレードして遊んだり、カテゴリー分けして専用のピンセットでそおっと順番を入替えたりして遊んでいました。


時代の流れとともに、切手への興味は薄れ、部活やバンド活動に明け暮れたまま、ほとんど切手帖などを開くこともなく大学生になりました。


しかし、この頃から、再び切手を蒐集するようになりました。

ただし、その切手の価値を重視して転売などを目的とした蒐集ではなく、図柄が気に入ったものでカードやオブジェを制作したり、シール代わりに使ったりしました。

現在のストックはこの時代からのものです。

使用済みが多いのは、未使用より安価なことが一番の理由ですが、そのほかにも消印スタンプがいい感じに図案にかかっているのが好きなため。



天氣後報-きらら舎切手

切手の愉しみには実はもう一つあります。

それはその切手の身元調査。ネットのおかげで、最近では手軽に短時間で調査ができるようになりました。


たとえば、上記の切手。

これを購入した時には「1944年スイス」という情報のみしかありませんでした。

1枚何万も何十万もする切手でない限り、ほとんどはこの程度の情報に見てわかる「航空」とか「飛行機」などをつけて販売されています。


さて。切手を入手したら、その国を確認します。未使用のものは国名が書かれていることが多いですが、使用済みのものは、発行国から調べる必要があります。


この切手の場合はスイスという情報はすでにありますので、その次にスイスの母国語を調べます。ネットがない時代には図書館などで世界の言語分布図を借りてきてコピーを保管していました。今、そのコピーの「スイス」を見ると言語圏を色わけして色鉛筆で塗ってあります(笑)


スイスにはフランス語圏、ドイツ語圏、イタリア語圏、ロマンシュ語圏があることをこれで確認し、その後、切手に書かれている単語をそれぞれの辞書で調べるわけです。


赤い切手にはPOSTA AEREA SVIZZERA とかかれています。 SVIZZERAはスイスインターナショナルエアラインズのことで、AEREAはイタリア語で英訳はAIR。POSTAは郵便なので「スイスインターナショナルエアラインズの航空郵便」という独自の訳となります。


セピア色の切手にはSCHWEIZ LUFTPOSTと書かれています。SCHWEIZはスイス。LUFTはドイツ語で、英訳はAIR。「スイス航空切手」と訳せます。


青色の切手にはPOSTE AERIENNE SUISSEと書かれています。これはフランス語で「郵便」「AIR」「スイス」となり、やはり「スイス航空郵便」という訳になります。

恐らく、1919年に始まった航空郵便の25周年にあたる1944年に記念に発行された切手と思われます。

それが、スイスの3大言語でそれぞれ作られたというのが面白いと思います。

切手をいろいろ調べていた中で、郵便切手にはそに配達手段でいろいろな名称がありました。スイスにはバス郵便なんてものもあり(郵便車とバスが一体となったポストバスが公共交通機関として活躍しています)、調べたところであまり役には立たないのですが、切手の愉しみ方の一つでもあります。

あまりに増殖したので、現在、所有切手の放出をしていますが、カフェではこんな使えないトリビアを添えてみたいと思っています。