KENTSTUDIO の鉱石ラジオ製作が始まったようです。
毎年、カフェで開催している『少年少女夏休み展』(今年は8月2日・3日)に向けて新作の鉱石ラジオを製作します。今年は検波にジンカイトを使った見た目重視なものらしく、きらら舎 へジンカイトの注文がきました。
これは人工のものです。天然のZincite(読み:ジンサイト、和名:紅亜鉛鉱)はほとんど見ることができない鉱物です。ドイツのシュネーベルク、ポーランドのオルクシュ、イタリアのボッティーノ、ユーゴのクシャイナ、アメリカ、、ニュージャージー州のフランクリンとスターリンヒルといった限られた鉱山でのみ採掘されます。
採掘の目的は亜鉛の原料としてで、実際に鉱物標本として採掘されているのは、フランクリンとスターリンヒル鉱山だけのようです。
天然のもの(ジンサイト)はそれほど美しい標本ではありません。昨年の暮れのミネラルショーで、たくさんいる業者のうち、たった1件、天然のZincite、つまりジンサイトを販売していました。標本も1つだけで、大きめの暗赤色をしていました。
それにくらべて人工のものはオレンジや赤色、薄い水色や薄荷色で透明できらきらしています。
現在出回っているのはポーランド産で、人工といっても、ポーランド産のものはあえて作ったわけではなく、亜鉛精製工場の煙突の内面に付着したものです。清掃の際に掻き落とされたものが流通しています。高温の蒸気が煙突内部に触れ、蒸気に含まれる微量の亜鉛が結晶化したわけです。これを参考に、熱水法と気相法によって人造結晶も試されています。
化学式では本来無色透明な結晶のはずなので、赤色やオレンジ色は生成の途中で混ざりこんだマンガンのためで、薄い薄荷色を呈するのは、鉄が含まれるためです。
鉱石のコレクション(鉱石に限りませんが)を選ぶとき、その価値(販売する際、高値で取引されるなど)ではなく、ただ単に「きれいか否か」「可愛いか否か」といった極めて個人的なことを基準にしているので、稀少な天然のジンサイトより、煙突内部にできたポーランド産のジンカイトのほうが、わたしにとっては断然価値があるものです。
しかも、このジンカイト………ブラックライトで光るんです。