
ようやく仕事が 一段落し、随分前に入荷したクジャクガイのパッケージングとアップをしました。
こうしてたくさん並べてみると色とりどりで華やかですが、本当に欲しい色はこの中にはありません。
わたしが今でも探しているのは、真っ青なクジャクガイです。
幼い頃、ある年の夏、家族で海水浴にでかけました。
民宿に泊まった朝、民宿の前にあるポンプ式の井戸で、弟と水をくんでいた時に言葉を交わした子供がいました。今、思えば民宿の子供だったのかもしれません。子供といってもわたしたちより年は上だったと思います。
その子がわたしたちが東京に帰る時に小さな青い貝殻をくれたのです。実は、青色のあまりの鮮やかさに、最初はその子が着色をしたのだと思いました。それを着色した画材を知りたくて、
「ペンキ?インク?」
などと聞いた記憶があります。その子供は困ったような顔しながらも、「色は塗っていない」と答えました。でも、縁日の屋台でピンクのヒヨコを見たような違和感でした。
もちろん、その青は何年たっても剥げて雄鶏になってしまうこちはなく、机の上で輝いていました。
その後、いつの間にかその貝殻はどこかへ行ってしまいましたが、記憶の中であの青はますます色鮮やかになっていくので、大人になってから、その町に再び行ってみたことがあります。海辺の小さな町は 10年以上の年月を経ても大して変わることもなく、土産屋には、サザエのつぼ焼の芳ばしい香りの漂う中、硝子製のウキやかごに入った貝殻や、貝殻をボンドでつなぎ合わせて作った犬の置物が並べられていましたが、あの青い貝殻には出逢うことはありませんでした。
出逢いたいモノがあるというのも、また愉しいものです。
それにしても、わたしが出逢いたいモノはほとんど青い色をしています。アオアズマヤドリの霊でも憑いてるかな。