書店店頭で、映画「椿三十郎」の予告にあおられて、
山本周五郎の「日日平安」(新潮文庫)をつい買ってしまった。
(まあ、簿記検定の帰りだったので、ちょっと息抜きに・・・と思って)

帰りみち、「日日平安」読了・・・。
すっごく、良かった。
欲心を抱いて行動を起こすも、
実際自分の思い通りに物事が進んでしまうと、
急にそんな自分があさましく感じられて
逃げてしまう・・・でも、追いかけてきてもらって実は嬉しい、という、
割り切るに割り切れない、愛すべき平野に大ハマリ。

映画「椿三十郎」は、そんな平野とは方向性の違う
腕の立つキャラで、それはそれで面白そうなのだが、
椿三十郎を知るまえに、菅田平野に会えて、ほんっとうによかった…。
映画を知った後では、つい「あの映画の原作」と読んでしまい、
そのままの「日日平安」のほのぼのとした味わいを楽しめなかったかもしれないから。

未読のかたで、朴々としてどこかとぼけている味の小説が好きな人は、おすすめです。