私の目の前には、大好き人。
「アカネ……ッッ!!!!!」
綺麗な顔には、傷一つ付いておらず、少し違和感があったが、珠里奈を置去りにして私は飛びついた。

「玲奈……さん……ッ??」
「よかった。無事でよかったぁ……。」
安心感が一気に溢れ出て、腰が抜けそうになるのをアカネが支えてくれる。

----そんなに心配しないでください。

アカネの声が耳元で囁かれる。私は顔が熱くなって、アカネから離れた。
アカネは、凛とした、爽やかな顔をしていた。
だから、喧嘩のことについて深くは問い詰めなかった。

「じゃあさ。私、先に帰るから。アカネはお姉ちゃんを送ってって。」
珠里奈が私に向かって眩しいほどの笑顔を向ける。姉妹の勘だけど、珠里奈はエールをくれたんだ。そうだ、私はアカネに……。


「星が綺麗ですね。」
澄み切った大空には、満天の星が輝いていた。星を見上げる横顔につい見とれてしまう。
「私、亜香里との勝負でわかったんですけど。」
彼女の瞳が私を映す。
あの日みたいに、綺麗なエメラルドグリーンの澄んだ瞳。

-------玲奈さんのことを守りたいです。
       これからも。

彼女の言葉は私の心拍を上げるのに、十分な言葉だった。照れているのか、右手で顔を覆い隠し、こっちを向いてくれない。
言うなら、今しかなかった。

「アカネのこと。……。す、す、……き。」

言ってみたものの、本人には聞こえなくて、私たちの間にすきま風だけが吹く。
なんだか、ひとり虚しくなってきてしまうじゃないか。

「玲奈さん?どうかしましたか?」
アカネは私より背が低いから、私の顔を見つめてきているだけで、自然と上目遣いになる。
それは、普段、戦っているアカネからは想像出来ない可愛さで……。つい、視線を逸してしまった。

「ごめんなさい。こんなことに巻き込んでしまって……。迷惑……でした……よね。」
アカネはそう言って少し前を歩いた。
その背中は、あの時と同じく、淋しい背中だった。

「違う!!!!!アカネがす……ッ!!好きだから!
恥ずかし過ぎて目が見れなかったの!!」

エメラルドグリーンの瞳に私が映った時、
きっと私の顔はりんごのように真っ赤だっただろう。