ちっちゃい頃から
ちょくちょく一人旅を
していた。


といっても
幼稚園のころ
子供の足で20分はかかりそうな
お友達の家だったり
高台の野原だったり
そこから見える沈む夕日を
ぼーっと見たり、
れんげ畑の紫に見とれたり
今思い返すと
小さいころから
ボッチも好きだったらしい。笑



初めてのドキドキする旅は
小4の頃学校帰りに
バスに乗って
西鉄久留米駅近くの小児科まで
行って喘息の注射をしていた時の一人旅。

「お母さん、怖いっちゃけど。
補導されたらどうすると?」

「なーんね。大丈夫、大丈夫。」

と笑って軽く返されたあの日。
怖くて緊張して
泣きそうだった初めての一人旅。
毎月一回
一人で病院にいくうちに
ずいぶん慣れるまでになった。
でも降りるときに払うバス代は
バスに乗った直後から
ぎゅっと握りしめておかないと
不安で仕方なかった。
その癖は今も残っており、
オイスターカードを乗車時
何度も確認しないと
心配になる、という・・・。



次の一人旅は
中1の頃
大牟田で開催された
ピアノコンクール
を見に行ったときのこと。

大善寺駅で
一人下ろしてもらい
大牟田まで一人旅。
電車に揺られ
ドキドキしながらも
窓から見える景色を
きれいだなー、と思えるほどに
なっていた。


昼休み
大牟田界隈を散策しようと
歩き回ったのがいけなかった。
新しいリーガルの革のローファーを
ウキウキで履いていたのだけれど
慣れない靴のため歩けないほど
痛みが走る。
靴を脱いでしまったら痛みのため
もう履けなくなってしまった。
ど、どうしよう。。。


商店街を歩いて
靴屋を探すも
所持金1900円。
帰りの切符代もあるし
買えない。。。
ドキドキしながら
「あ、あのー、すみません。」
と靴屋さんに入った。


涙目で事情を話すと
親切に革靴を温めて
根気よく伸ばしてくださった。
これで歩けるようになって
深くお辞儀をしてさようならした。

帰って両親に話すと
靴屋さんにお礼の電話を
しようということになったが
肝心の名前がわからなくて
心の中でありがとうございました、と
言うのみ。


ただこの経験は
私に大きな影響を与えた。
靴屋さんには
お礼できなかったけれど
間違いなく今も私の心に残っているし
影響を与えていると思う。



親切は進んでしよう、と心に決めていたのだけれど
エゴイスティックな親切は大きな迷惑ということも学んだ。
短大のころ、
今思い返せばホームレス風のおばあさんが
重そうな袋を両手に
風呂敷を背中に抱えて
階段を降りそうだったので
「お手伝いしましょうか?」
と聞いたら
「どろぼ~~~~~~!!」と叫ばれて
私の顔はまっかっか。
いやー、これも大きな学び。
もう、下手に親切はできなくなったというトラウマまでいただいた。


ロンドンでは
「大丈夫?手伝おっか?」と
すごく軽く聞かれる。子供連れには本当に優しい。
私もいっぱいお手伝いしてもらった。
私もあの短大時代のトラウマが
消えるほど軽く
「Are you ok? Do you need any help?」
と聞ける。
この見返りを期待しない軽い聞き方が
ロンドンの好きな一つの理由なのかもしれない。