ロンドンで個人売買の車を買う・・・②

前回の続き。

翌日木曜日は
朝からいくつかの予定がある。
バス移動時間を考えると
余裕がないくらいバス移動だけでバタバタ。

あんなに移動で苦しかった水曜日。
もうあんな日はマネージできない。
今日は車購入に集中しようと決意。

ということで、
いくつかの予定をキャンセルして
車購入に集中。

車のオーナーとショートメールでやり取りをする。
返信が早いのと
的確なアンサーと
時間の予測が正確なのは
ワタクシ、事業主の端くれだけれど
信頼できる。

この前のスクラップ屋のような人だったらとか
過去のことまでさかのぼり
失敗経験を思い出し
不安になる心に蓋をして
なんとしてもこれを成功体験に換えなくちゃ
ずっと苦手意識が消えないじゃないの・・・という
自分へ負荷をかける。

約束は2時半。
もしもの時を考えて
30分で着くのに
1時半に家を出た。

約束時間２0分前。
グーグル先生に連れて行ってもらったところは
異国から来た人たちが開いている
いくつかの修理工場が集まる独特の雰囲気のところ。
色々な言語が飛び交っている。

「あのー、この辺にボルボV50を売っている人います？」

と近くにいる人に聞いた。
ガヤガヤしていたのに
みんなが一斉に話しをやめて私を見る。

「おーい、ここでボルボ売っているやついるか？」

「No！！！」

「残念だね。いないみたいだよ。」

「ありがとう。ちょっとまた連絡とってみるね。」

足早で去る。
え？うそ？
私アラームが最大級に鳴り響く。
手が震えながら
ショートメールを打つ。
え？私だまされてる？
うそ？

「言われた場所に着いたのだけれど・・・
修理工場がたくさんあるだけなんだけれど・・・」

すぐにメールが来た。
「遅れてごめん。
渋滞にはまって。
僕の家はそこの道挟んだところ。
そこの修理工場とは関係ないよ。
10分で着くから
ごめんね。
大通りに停めるから。」

10分で着いても、予定より10分早い。
私が早く着きすぎたのに
こちらが謝らなくちゃいけないのに。

小説を読みながら待つ。
内容が全く頭に入らない。
どうしよう、怪しい人だったら・・・
詐欺とかじゃないよね・・・

ドキドキして
手が震えて
変な汗出て来て
それを押し殺そうと必死に本を読むふりをする。

ボルボが来た。
電話を急いでかけている男の人が見えた。
私の電話が鳴る。
手を振ったら
手を振り返された。

あ、この人だ・・・。

（続く）