狂気のトランプ
トランプには、その容貌、言動から典型的な「自己愛性パーソナリテイ障害」の精神疾患が読み取れる。根拠なく自分の能力を過大評価し、自分の業績を誇張する。自分は特別であると空想し優越感に浸り、称賛されたいとの考えが頭から離れない。共感性が欠如している為、他人を嫉妬し、敵対する者を口汚く罵倒、更には、自己の非を認めず都合の悪い事は相手のせいにする。 この様な精神疾患を抱えた人物が大国アメリカの大統領に選ばれたことが、世界を大混乱に陥れ、世界に大きな災難・不幸を招いた事は間違いない。アメリカの車が日本で売れないのは、買わない日本が悪い、(強度検査にボーリング球を落下させ、へこみ具合を調べる)といったような日本の安全基準は貿易障壁だと冗談とも思える様な事を公式の場で平気でわめく。燃費が悪く故障し易い大きな車が日本の道路事情に合わないという米車の非には一切頬かむりである。欧州車が高級車として日本で人気が高い事など調べればすぐわかる事、一事が万事この調子で誠に始末に悪い。トランプが唱える「Maga」は、D.Reaganが不況乗り切り策「レーガノミックス」を強調するために打ち出したスローガンの借り物に過ぎない。レーガンは英・サッチャー、独・コール、日本・中曽根等の同盟国と協調し、反共を貫いて強いアメリカを印象付ける事に成功した。トランプはプアー・ホワイトを前に事有る毎に、恰も自分の言葉であるかように唱えるが、彼がやって居る事はレーガンの政策とは全く似て非なる物で、今や彼の言動は逆に「Make America Poor&Little」への坂を転がり落ちる様相を呈し始めている。同盟国への報復関税は米国からの離反の動きを誘発し、中国の徹底抗戦の構えには早くも白旗を上げ、張り子のトラをさらけ出して強いアメリカは何処へ行ったと、国内外の失笑を買っている。中国は好機とばかり我こそは「自由貿易の旗手」であるとPRに余念がない。カナダのように徹底抗戦の動きは中国からインドにも波及、今後ドミノ倒しの可能性さえ出始めている。高関税の悪影響がアメリカ経済に暗雲をもたらし始めている。輸入コスト増によるインフレ再燃の兆し、国内産業への打撃とそれに伴う雇用の悪化が顕在化し始め、盲目的なトランプ支持者であるプアーホワイトは別にして、インフレ是正等経済改善に期待して大統領選で付和雷同的にトランプに投票したアメリカ人、中南米からの移民・ヒスパニック、カトリック信者はトランプ離れを加速しつつある。トランプは包括的な上乗せ関税は「アメリカ黄金時代」の復活を図るもので、短期的な多少の痛みは出るが忍耐が必要だと訴えているが、世界の金融市場は大混乱、アメリカでは関税導入を前に輸入が急増した為、第一四半期GDPがマイナス成長に陥った。トランプは躍起になってその責任をバイデン前大統領に転嫁しているが、トランプ氏の支持層でさえ、その責任は完全にトランプのものだとの声が強まっている。2020年の大統領選でバイデンを支持し、24年の選挙ではトランプに投票した人を中心に、トランプは経済に明るく、物価を下げ、景気を良くしてくれると期待して、トランプ支持に乗り換えた有権者は、それほど気長に待ってくれないし、経済運営に優れているというトランプに対するイメージの化けの皮が剥がれ始めつつある。世論調査では、関税引き上げ、連邦機関の予算削減、DEI(多様性、公平性、包摂性)プログラムの廃止など、就任後100日間の主要な施策に対して、大多数の成人が不支持を示している。又トランプは連邦準備制度を批判し、「利下げを先延ばしせず、早めに実施すべきだ」と圧力を強めパウエルFRB議長の退任まで言い出す始末。自身の関税政策が招いた経済的影響の責任を米金融当局に転嫁しようとしているがインフレ懸念が強い中での利下げなど狂気の沙汰である。何れにせよ今年11月に行われる予定の中間選挙では、米国下院の全435議席と米国上院の100議席のうち33議席が争われるが、その結果が見ものである。プアーホワイトは自分達の富を奪っているのは、移民の人達ではなく、トランプやイーロンマスクの様な超富裕層で再分配システムから目を逸らすため、移民に責任を擦り付けている事に一刻も早く気付くべきである。トランプは悪名高い弁護士ロイ・コーンからアメリカ社会で成功するルールを叩き込まれた。【(1)攻撃せよ、攻撃せよ、攻撃せよ(Attack! Attack! Attack!) (2) 非を絶対に認めるな(Admit nothing, Deny everything) (3)勝利を主張し続けろ(Claim victory, Never admit defeat)】、この3つでトランプの行動原理がよく理解できる。このルールに加えて小学4年生レベル英語がプアー・ホワイトにマインドコントロールをかけるのに大いに役立った。文法的にもおかしく、難しい英語が喋れないことが仲間意識を呼び起こし、常識では考えられない様な事も、トランプが話せばすべて真実、敵対勢力の人間の口から出るとフェイクとなるのであって、トランプの周りには事実・真実が機能しない社会が出来上がっている。このような社会では「私は正しい」と言い続けることで、人々の記憶や認識が操作される。トランプのSNS戦略は当にこれで、事実そのものをコントロールすることに成功しているように見えるが、多くのアメリカ人や外国人には、最早通用しない。トランプの実像は(知性とは縁遠い無能な大統領)、武器は(関税と途方もない量と質の嘘を使って相手を恫喝し、難題を吹っ掛ける)程度だと足元を見られている。中国・習近平は勿論、強かなロシアのプーチンやイスラエルのネタニヤフはトランプの和平案を完全無視の姿勢である。ロシア説得は難しいとみて和平交渉から手を引く素振りを見せ始めており、貴重な鉱物資源をトランプに騙しとられたウクライナは哀れと言う外はない。