鋼鉄のドンキホーテ(494)【我、本懐達成セリ!】
事既ニ此ニ至ルさるるハ今ヤ自存自衞ノ爲(事態がここまで悪化したさるるは今や自存自衛のため)蹶然起ツテ一切ノ障礙ヲ破碎スルノ外ナキナリ(決意を持って一切の障害を粉々にする他ありません)BGMこれは俺たちの物語だ!背後から肩を掴まれた時脊髄反射的に身体が反応してしまった。もうダメだった。さるる「っぐらぁ!(殺)」さるるは振り向く動作のままに右拳は遠心力をつけたまま、タクマの顔面を殴りつけた。もうこれ以上は期待できない一撃だった。タクマ「おびぇっ!」小さく声が聞こえた。タクマの顔面にフルスイングの右拳が衝突すると右拳にキレイに反動が返ってきた。その感覚が新鮮だった。さるる「しつこいんじゃダボが!(殺)」計らずしも中学生編で大活躍したトクイの必殺技【ビガーパンチ】の形になった。鋼鉄のドンキホーテ(187)【必殺、ビガーパンチ!】鋼鉄のドンキホーテ(416)【ビガーパンチ、再び!】鋼鉄のドンキホーテ(417)【新・ビガーパンチ!】神の気まぐれで最高の一撃になった。ウチガキ「さ、さるる!(汗)」そばにいたウチガキが戦慄していた。さるるは怒りのあまり、不意にさるるの名前を呼んだウチガキまで殴りかかりそうになったがすんでのところで耐えた。さるる「はぁッ!はぁッ!はぁッ!」深呼吸3回とにかく落ちつかねばならない。怒りで気を失いそうだ。人が人を殺す、殺めるという時はこんな時かもしれない。さるる「いらんことしやがってぇ~ッ!」タクマは顔面を押さえて大きく前屈みになったまま動かない。だがさるるは追撃しない。いつもならこんなチャンスは絶対に見逃さないがさるる自身、やってしまったと激しく後悔している。それがさるるの行動を鈍らせた。ギャラリーは10人、20人どころじゃない。下駄箱が人で埋め尽くされている。その騒ぎでさるるたちを避けようとして周辺にスペースができた。タクマ「ぅぺぇッ!」タクマが唾、というより血を吐いた。口腔内の太い動脈を傷つけたかもしれなかった。この後、タクマの親が学校に対して奥歯が折れたと訴えてきたらしいが事実は知らない。当時のさるるの実力・・・・体重であったり技術であったりそのすべてを都合よく勘案したとしても頑丈な奥歯を折るなんて芸当、さるるには不可能である。しかし、それでいい。《1年生が2年生の奥歯を折った》というこの宣伝効果は絶大である。さるるの不良としてのステイタスだ。カジタ「この野郎ぅ!」今度はカジタが怒りに任せて突っ込んできた。さるる「くぅろぉぉぉッ!」前蹴り、と呼べる高級な技ではない。テレビドラマで長渕剛がやっていた蹴りのようなプロレスラーの蹴りのようないわゆるケンカキックでカジタを吹っ飛ばした。面白いようにカジタは尻餅をついた。カジタ「ぃぐ!(痛)」あまりにも展開が一方的だったので逆にさるるは冷静になれた。本来、さるるはこういう正面切ったケンカは苦手、弱い方だった。身体が小さく、腕力に乏しいさるるは不意打ち、武器使用に躊躇がない。それはさるるがリアリストだからだ。弱者が生き残るということはそういうことだった。まわりの生徒たち「ケンカしとるど!」世間そんなはさるるを【卑怯者】と呼び、忌み嫌った。ルールがないからケンカのはずなのに世間はどうしても正々堂々としたフェアプレイを望む。そんなもの理想主義者の戯言でしかない。ケンカに汚い手はあっても卑怯な手なんてあるものか。まわりの生徒たち「1年と2年がケンカしとる!」あまりに衆人環視の中だ。何十人も見ている前でケンカだ。しかも勝ち戦だ。不良としての名誉ケンカに勝つまわりの生徒たち「1年が2年ふたりに勝っとる!」快感を禁じ得ない。停学処分の危険が迫っていたがさるるは全身がペニスのようになっている。ペニスが射精するときペニス自身に意思はない、それと同じだ。ウチガキ「さるる!落ち着け!」さるる「なっ!?」ウチガキがさるるを止めようと羽交い締めしてきた。後ろから行動を制限されてしまった。さるる「おまえ!(怒)」「何をしとんじゃ!(怒)」ウチガキ「停学になるぞ!」この馬鹿いまはそうじゃない!タクマ「おらっ!」さるる「いぎっ。(痛)」身動きできないさるるが殴られた。ウチガキは咄嗟にさるるを解放したが遅すぎる。あの時もおまえの状況判断は愚かだった。鋼鉄のドンキホーテ(435)【弱い犬ほどよく吠える】この暗愚め、また繰り返すか!ここで2年生側にも制止するものが現れ一旦は幕引きとなる。さるる「いらんことすなッ!(激怒)」ウチガキを殴りまくった。小動物のように怯えた顔で許しを乞うてきたがそれがまた、さるるの怒りを増幅させた。おまえだって不良やってんだろそんな情けない顔、大した覚悟もないくせしてしゃしゃり出てくるんじゃない!ウチガキ「いっ!いっ!(涙)」まぁ考えにようによってはさるるが勝ち過ぎても面倒なことになる。一発ぐらい殴られた方が2年生たちの面目もある程度は保たれよう。とにかく教室に戻ることにした。フランケン「さるるくん!」「どないやったん!?」タイミングの問題でフランケンは教室に戻ってから一部始終を聞いたらしい。フランケンだけではない教室のみんながさるるに詳細を求めた。悪い気はしない。英雄的な気分になった。みんな盛り上がってるな悪い気はしない、むしろ多幸感でいっぱいだった。2年生ふたりを相手に互角以上しかもタクマには深傷を負わすことができた。今回のケンカは不良としての名誉や自己満足を満たすにはじゅうぶん過ぎる戦果である。イノリ「無茶しとんなぁ~!(羨望)」さるるに駆け寄ってきた。イノリもずいぶんと高揚しているじゃないかやはりおまえも一山ナンボの不良娘だ。さるる「見とったか。」イノリ「うん。」さるる「まぁ大したことないヤツやったのう♪」さるるを一目見ようと廊下までギャラリーがいっぱいだ。ああ、すごくいい。血沸き肉躍る!承認欲求が激しく満たされていく!魂の躍動を感じる!毎日がつまらなかった鋼鉄のドンキホーテ(493)【文化祭の日のこと】しかしどうだ。みんながさるるに注目している。寄せては返す、この射精感の連続にもはやさるるは限界だった。我、本懐を達成セリ!これだ、これこそが青春だ。失恋した喪失感なんて吹き飛んでしまう。いまとっても幸せな気持ちだ。タクマ「さるるゥゥゥゥゥーッ!」さるる「!?」突如、背後から襲われた。まさか戻ってきた教室で襲われるとは思わなかった。しかしあり得ない、想定できない話じゃない。ヒロイズムに酔い過ぎて浮かれていた。完全なさるるの油断だった。さるる「ぬかっ、ぬかかかかっ!」こうして予期せぬ第二幕が始まる。(つづく)鋼鉄のドンキホーテ(1話~30話)鋼鉄のドンキホーテ(31話~60話)鋼鉄のドンキホーテ(61話~90話+外伝1話)鋼鉄のドンキホーテ(91話~120話)鋼鉄のドンキホーテ(121話~135話+外伝1話)鋼鉄のドンキホーテ(136話~160話+外伝2話)鋼鉄のドンキホーテ(161話~190話)鋼鉄のドンキホーテ(191話~220話)鋼鉄のドンキホーテ(221話~250話)鋼鉄のドンキホーテ(251話~280話+外伝1話)鋼鉄のドンキホーテ(281話~310話+外伝1話)鋼鉄のドンキホーテ(311話~360話)鋼鉄のドンキホーテ(361話~390話+外伝2話)鋼鉄のドンキホーテ(391話~422話+外伝11話)鋼鉄のドンキホーテ(423話~450話+限定記事1話)鋼鉄のドンキホーテ(451話~480話+外伝1話)