朝晩、めっきり寒くなってきました。
ここ最近の気候では秋が急にやってきますね。
さて、今日も澤医院はお年寄りの憩いの場になっています。
リハビリに来たとある認知症のおばあちゃん。
ここ最近、認知症が進んで分からないことが増えてきています。
そのおばあちゃんが
「今日はの、昔のことをいろいろ思い出しよるんよ。
昔のことを考えるのは頭にええんじゃと」と言われます。
「昔のこと?」と私が聞くと
「ほうよの、私が19か20か、それぐらいの頃のこと」と言われるので
「その頃のことを思い出した時に一番に出て来ることはなぁに?」と
聞いてみました。
すると
「いろんなことがあったんで。いいことも、悪いことも。
あそこにおる、あの人。実は、思い出の人なんよ」
とおじいちゃんを指さして言われました。
そういえば、いつも出会われた時にニコニコお話しをされています。
当時、何があったのかなぁとか、どんな思い出なのかなぁとか
聞いてみようかとも思いましたが
お互いに家庭を持ち、配偶者に先立たれ…という人生の中で
今!を生きておられるんだなぁと感じ深く聞くのをやめました。
きっといろんな恋があったんでしょうね。
その頃を思い出して少しはにかんだ
優しい笑顔のおばぁちゃんを見て心がほっこりしました。
リハビリ用の大きな鏡の前に座っておられたおばぁちゃんが
「気持ちはハタチじゃけど
鏡に映っとるのは90過ぎたおばあさんに変わりないわ」と
笑っておられる姿がとても可愛らしく私も笑顔になりました。
ふんわりこん、ふんわりこん。
呟きながら、おばぁちゃんは帰って行きました。
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