理想的な現実に向かうために必要なものは何だろうか。
希望、自信、確信、計画、様々なふうに考えられる。そこで、人の行動について単純化して考えてみる。
現在いる地点をAとして、向かいたい地点をZとする。そうすると必要なのはまず、Zに向かう方角or道のりを知る必要がある。
そして、Zに向かう道がとても長く厳しいものだとしたら、そこに辿り着くための長く持つ動力が必要になる。
まとめると、A→Zに必要なのは
①A→Zの大まかな方角or道のり
②Zに届く出力・持続力を持つ動力
①を知るために知識や思考力が必要だ。なくてもランダムウォークを繰り返すうちに辿り着くかもしれないが、確率は大きく下がる。
②は心の働きだ。それに向かうパワーを生む必要がある。パワーは脳内報酬系の働きだ。脳内報酬系がZに向かう方向に働き続けてくれればいい。
②についてもう少し考えてみる。人が行動を起こす時とはどんな場合だろうか。
・テストでいい点を取りたいから勉強する
・暑いからエアコンのスイッチを押す
・Hなことをしたいから女の子をナンパする
・喉が渇いたから飲み物を買う
・苦しみから逃れるために自殺する
全ての行動の共通点は、不快→快に向かう方向に進むことではないだろうか。ここでいう快とは快感だけでなく、快適を指す。
つまり、その人にとって快適な状態があり、その快適な状態に向かうために行動すると言える。
不快な状況+行動→快適な状況
そして脳は、この行動を起こすかどうかを判断している。判断材料となるものは何だろうか。
・不快な状況の不快度合い
・行動にかかるコスト
・快適な状況の快の度合い
それぞれ行動に与える影響を考える。人は現状が不快であるほどにそこから強く逃れようとするだろう。不快度は正の影響。コストが大きいほどやる気をなくす。負の影響。得られる(と思う)快感が大きいほどやる気をだす。正だ。
行動へのやる気 = (現状or将来の不快度合い) + (予想される快適度合い) - (コスト)
と表せる。これらはさらに細かく分析できるが、一旦ここで止めておく。もしこれが正しいとすると、現状or未来がとっても不快で、行動が容易なもので、快感がめちゃめちゃ得られると思っていれば思っているほどに動力が得られることになる。
最初の話に戻ると、A→Zに向かうのに必要なものは以下の二つ。
①道のりor方角
②動力
①は正しい知性と観察だ。
②は(現状or将来の不快度合い) + (予想される快適度合い) - (コスト)で表される。
現実世界でのZ、向かいたい未来はきっと複雑な道のりになるだろう。大きく長く持つ動力が必要だ。
どうすれば大きな動力を得られるだろうか。
先ほどの式の値を最大化すればいいだろう。
まずコストの最小化。
だが、ここでのコストはあくまで心理的なものだ。自分が容易に達成できると心から思っていれば問題ない。向かいたい未来はきっとエアコンのスイッチを入れるような単純なアクションではないはずだ。だが、それくらい簡単だと思えればいい。
次に不快度合い+予想快適度合いの最大化。
これはつまり、自分が快適だと思っている状態が臨場感持って想像でき、かつそれが現状と離れていればいい。
上記をまるっと解決するために、ビジュアライゼーションはとても役立つと仮説を立てる。
ビジュアライゼーションは退行催眠の逆、未来を想起し、イメージする方法だ。
自分に意識を集中させ、カレンダーor時間がどんどん進み、自分が少し歳をとった未来をイメージする。そしてその時の自分が、理想の未来に進んだ時のイメージや状況・感情を頭の中で映像化する。
そうして未来の自己像が出来上がれば、自信・自己効用感が作られる。つまりコストが低下する。そして快適度合いを臨場感持ってイメージできているからこそ、快適度合いは上昇し、そこから見た現状の不快度合いも上昇する。つまり、向かいたい未来に向かって自分の快適だと思う状態がズレることになる。
ただし、この方法で進むのはあくまで脳内麻薬中毒になっているだけだ。その未来のゴールの種類のバランスを持つことと、執着と適切な距離を持てなければ、病床に向かう死の行進だ。