先日、短い旅行から帰宅した翌日、38度を超える発熱がありました。筋肉痛と関節痛、頭痛を伴ったのと、前日に高齢の父と会っていたのが気がかりで、自費でコロナの抗体検査を受けようと思いました。

 

かかりつけ医が休診だったため、保健所に電話して対応を聞いたところ、

「『厚労省 コロナ 自費検査』で検索をかけるとサイトが出てくるので、そこから該当する県を選び、医療機関に電話連絡してから受診してください」

とのことでした。

 

 

幸い近所に該当する医療機関があったので、電話連絡し、受診することになりました。

 

駐車場に着いたら再度病院に連絡すると、防護服を着た看護婦さんが車まで来てくれて、問診票等への記入を求められます。その後、ドクターが抗体検査が必要かどうか、また必要な場合院内受診か車での受診を判断します。味覚・嗅覚ともに正常だったので、私はインフルエンザの検査も一緒に受けることにしました。

 

私の場合は、熱があったので検査が必要と認められ、その場合は抗体検査の自己負担はないそうです。ただし、自己負担なしで検査を受け陽性であった場合、病院は保健所に知らせる義務があり、その後のことは保健所の指示に従ってくださいということでした。

 

しばらくするとドクターが検査のために車まで来てくださって、インフルエンザ検査のための採取をしてくださり、コロナ抗体検査のための容器を渡されました。容器に5mlほどの唾液を入れて検査に出します。通常は10分ほどで検査の結果が出るそうですが、私は検体を渡したのが18時に近かったので、検査結果は明朝ということで、結果がわかるまでの注意事項を印刷した紙をもらって、その日はそのまま帰宅しました。インフルエンザではありませんでした(ちなみに、インフルエンザの検査はもちろん自己負担です)。

 

翌日人と会う約束のあった夫は、約束をキャンセルし、私も直近に会った人(連絡しないといけないので)を確認しましたが、翌朝電話したところ幸い陰性で、熱も翌日には下がって一安心しました。

 

もし、抗体検査で陽性になったら、症状がある場合はすぐ療養施設に隔離されるのか、PCR検査を経て隔離されるのか、それとも症状によっては自宅療養になるのかは確認しなかったのでわかりません。

 

 

 

今回のことで(私が)わかったのが、

・各都道府県で、自費で抗体検査を受けられる医療機関は決まっている。かかりつけ医で受診しなくても症状があれば初診でも検査はしてくれるため(もしかしたら医療機関によって対応が違うかもしれませんが)、かかりつけ医を通さず直接指定の医療機関を受診するのも良いのではないか?

 

・医師が必要と判断した場合、抗体検査は無料。ただし、無料検査を受けた場合、結果が陽性だと病院から保健所に連絡する義務があり、後は保健所の指示に従うことになる(症状があって、自費で検査を受けた場合の保健所との関わり方については未確認のため不明)。

 

 

症状があって不安な場合は、接触した人に早めに連絡するためにも、早めに抗体検査を受けることをお勧めします。

 

 

 

Ptaki śpiewają w Kigali / Birds are singing in Kigali

監督:Joanny Kos-Krauze and Krzysztof Krauze

主演:Jowita Budnik(Anna), Eliane Umuhire(Claudine)

 

Plac Zbawicielaと同じ監督、同じ主演女優の映画作品。Plac ZbawicielaでBeataの幼馴染役をしていたWitold Wielinskiが恋人役で出演しています。

 

trailer

https://www.youtube.com/watch?v=o4T3yNsQgRs

 

あらすじ

肉食鳥類の専門家である鳥類学者のAnna Kellerは、1994年、ツチ族に対するジェノサイドが突然始まったルワンダにいた。同居していた現地鳥類研究者の娘Claudineを車に隠し、自らも傷つきながらルワンダを脱出する。

ポーランドに到着したClaudineはAnnaとの生活を望まず難民キャンプへ収容される。難民認定されたClaudineはAnnaに引き取られ生活を共にすることになる。ジェノサイドによるPTSD、新しい場所での生活や言葉、自立できない自分への苛立ちなどの複雑な気持ちを抱えるClaudineはAnnaに対する反抗心をあらわにする。

いとこが生き残っていることを知り、Claudineがポーランドのパスポートを取得できた数年後、平和が戻ったルワンダに戻ることにした二人。葬儀をしたいと家族の遺体を探すClaudine。それを静かに見守り支えるAnna。目的を果たして二人でポーランドに帰国するために空港に向かう・・・。

 

 

 

 

しょっちゅう挟まれるロングカットの「生と死」をイメージさせる映像に心を持っていかれます。

 

表現されたものは、観る人によっていろいろな理解の方法や感じ方がありますが、私はこの映画を大戦中のナチスドイツとポーランド、そしてユダヤ人の関係と重ねて観ました。そして、ポーランド人の監督が製作したことに意味があると感じました。

 

第二次世界大戦時にあった絶滅収容所は6箇所(Chełmno•ヘウムノ、Bełżec・ベウジェツ、Sobibór・ソビブル、Treblinka・トレブリンカ、Auschwitz-Birkenau・アウシュビッツービルケナウ、Majdanek・マイダネク)と言われ、すべてポーランドにあります。なぜ、すべての絶滅収容所がポーランドに置かれたのか、その理由については諸説ありますが、その一つとしてポーランド人のユダヤ人に対する感情を挙げる人がいます。今でもポーランドは反ユダヤ感情の強い国であると言えます。

 

鳥類学者Annaの名前はAnna Keller。Kellerはドイツ系の姓で、ここにも監督の意図が見え隠れするような気がします。おそらく(元は)ドイツ系のポーランド人であるAnnaが、ルワンダで起こったジェノサイドに、加害者(フツ族)としても被害者(ツチ族)でもない、しかし加害者に支配される立場で関わります。これは、大戦中、ジェノサイドの加害者(ナチスドイツ)でも被害者(ユダヤ人)でもなかったけれども、ナチスに支配された他のヨーロッパ諸国よりもかなり過酷な扱いを受けたポーランドの立ち位置によく似ています。

 

家族の遺体を探すため、自分の家をもう一度見たいために、自分の家に戻ったClaudineは、元の我が家ににたくさんの人が住みついているのを知ります。庭に座っているのは母親のショールを身につけた女性と弟のTシャツを着た少年。新しい住人は、自分が家を追い出されるのを恐れて、Claudineを追い返します。これも戦後のポーランドで起こったことを思い出させます。戦後、収容所での過酷な環境を生き延び、または隠れ住んでいたところから、やっとの思いでたどり着いた我が家にはもうすでに他の住人がいて、歓迎されるどころか暴力を振るわれたり殺されたりしたユダヤ人がいたと言われます。

 

戦後ポーランドで起こったポグロムでも加害者は顔見知りの近所の人でした。殺されるために運ばれる車の中で、被害者となったユダヤ人は加害者の名前を呼びかけながら、命乞いをしたそうです。この映画でも、同じようなことが起きたことがわかります。

 

ユダヤ人とポーランド人の間には、今でもまだかなり複雑な感情が残っているように見えます。

 

念のため、もちろん、戦中・戦後を通じて、ユダヤ人を支え助けたポーランド人はたくさんいます(その話はまた別のところで)。

 

辛い映画ではありますが、いろいろなテーマを含んでいて、見るたびに新しい発見があります。

 

もし、ポーランド映画祭などで上映されることがあれば、ご覧になってください。

 

私は友人に勧められてDVDを購入して帰りましたが、IMdbだと視聴可能なようです(私はIMdbを使ったことがないのですが、日本で観られないポーランド映画もここでなら観られるものがあります。使ったことがある方は教えてくださったら嬉しいです)。

 

アマゾンでも買えます。

https://www.amazon.com/Birds-Singing-Kigali-Ptaki-spiewaja/dp/8381175917

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Jakob the Liar  聖なる嘘つき その名はジェイコブ(ヤコブ)

監督:Peter Kassovitz

主演:Robin Williams(Jakob)

 

画像1

画像1

 
あらすじ
 

ポーランドのどこかのゲットーにいるJakobは、風に舞う新聞を追いかけた結果、SSに出頭を命じられる羽目に。そこでたまたま「ロシア軍がポーランドとの国境400kmにまで迫っている」というラジオニュースを耳にする。やけっぱちになり危険なことをしようとする友人を諌めるために、口止めした上でこのニュースを友人に漏らす。Jakobがラジオを隠し持っていて外国のニュースを聞くことができるという(真実ではない)噂はゲットーに広がり、みんなが新しいニュースを知りたがる。最初は戸惑うJakobだが、先の見えない生活に絶望していたユダヤ人たちに希望を与えるために彼自身が考える嘘のニュースを伝え続ける。

 

trailer

https://www.youtube.com/watch?v=2eX44xbYVbc

 

 

ヒトラー:「私はいつ死ぬのか」

占い師:「ユダヤの祝日に」

ヒトラー:「なぜわかるのか」

占い師:「あなたが死ぬ日はユダヤの祝日になります」

 

というオープニングで始まるこの映画、Robin Williamsが主演ということでもわかるように、悲惨さより、どんな状況にあっても優しく人間らしく生き抜こうというユダヤ人の希望的な姿が、さまざまなシーンで描かれます。本来なら笑える話ではないのに、笑ってしまうシーンがたくさんあります。

 

ジョークや「嘘」は現実から逃避するための一時しのぎに過ぎませんが、ジョークからは生き延びるための知恵のようなものを感じるし、Jakobの「嘘」はすでに薬が底をついたゲットーで住民の一番の薬となり、「ゲットー内での自殺者をゼロ」にします。でも、Jakobは「聖人」や「ヒーロー」にはならず、最初から最後まで、普通のいい人。

 

この映画でアンカーの役割を果たしているベルリン一の心臓外科医だった毒舌のKirschbaumが、ドイツ人の医者が治療できなかったドイツ将校の心臓を治療することを求められる一連のシーンは、それが静かなだけに胸を打ちます。

 

エンディングは観る人任せ。

 

 

 

ユダヤ人のユーモアの特質には、権力への抵抗や苦難からの解放があると言われます。そして、自分自身や苦難の多いユダヤ人そのものを笑い、神やラビまで笑いの対象にしてしまう(これはカソリックとはえらい違い)。

 

監督のPeter Kassovitzはハンガリー生まれのユダヤ人。5歳の時両親は収容所に送られ、本人は(おそらくハンガリー人の子どもとして)カソリックの家庭で育つ。戦後、奇跡的に生き残った両親と再会。1956年にパリに移住ーだそうです。

 

この映画は歴史や事実に忠実に作られたものではありません。実際のゲットーでの生活はさらに厳しいものだったからです。しかし、死と隣り合わせの生活の中でお互いに見せる優しさやユーモアが、この人たちに起きていたことを想像させ、悲しみをさらに深めているような気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Plac Zbawiciela(2006)

監督:Joanna Kos-Krauze, Krzysztof Krauze

主演:Jowita Budnik(Beata), Arkadiusz Janiczek(Bartek), Ewa Wencel(Teresa)

 

youtubeで観ることができます⬇️。

https://www.youtube.com/watch?v=pDcFQPaNaQk

 

 

この映画のタイトル、Plac Zbawicielaはワルシャワにある広場の名前です。

 

地図を貼り付けようとしましたが、技術不足にて断念。

 

ZbawicielはSaviourつまり救世主という意味で、ここにはKościół Najświętszego Zbawiciela/ Church of the Holiest Saviour((最も)聖なる救世主教会)があります。この広場は、1922年からPlac Zbawiciela と呼ばれるようになりましたが、それはこの20世紀に建てられた教会にちなんだものです。
 
教会の写真はこれ🔽

https://en.wikipedia.org/wiki/Church_of_the_Holiest_Saviour

 
前置きが長くなりましたが、この広場の名前がこの映画の肝なので・・・。
 
 
あらすじ:
学業中断中で小都市出身(多分Ciechanów)のBeataと夫のBartekは、ワルシャワ郊外に購入したアパートが完成するまでの数ヶ月間を、二人の幼い息子とともにPlac Zbawiciela 7 にあるBartekの母親Teresaと一緒に過ごすことになります。しかし、そのアパートの完成を待たずしてディベロッパーが倒産したことで、家族の関係が変化していきます。(おそらく同じ年の)夏から冬の間に、急速に家族が壊れ、それとともにその歪みを一身に背負うことになるBeataが壊れていく様子を描きます。
 
Plac Zbawiciela(救世主広場) に救世主はいる(た)のか?
 
この映画が製作された2006年といえば、ポーランドがEUに加盟してから2年目、ポーランドの経済は6%を超える高い成長率を示していた頃。映画の中でも物質的な豊かさが強調される部分(建築ラッシュ、パイナップル、エアコン、高級衣料品、輸入車など)が見られます。急速な社会変化の中、都会で人知れず社会からこぼれていく姿は、映画の中にも出てくるPlac Zbawiciela近くの映画館Lunaで見た「万引き家族」に通じるものがあるかもしれないなと思いました。
 
そして、私は、私のzbawicielaになろうとしない義母に心から感謝。
 
 
 
 

 

 

ポーランドにいると、どんな大きな町に住んでいても、森は生活のすぐ横にあります。

「二つの名前をもつ少年」のスルリックは、ひとりで時には同じ境遇の子どもたちと森で生活することもありましたが、⬇️は森にキャンプ(コミュニティ)を作り上げて戦争を生き抜いたユダヤ人の話です。


 

Defiance (ディファイアンス)

 

ベラルーシの森にキャンプを作り、ドイツ軍と戦いながら、時にはソ連軍と協力しながら、結果的に1200人ものユダヤ人の命を救ったビエルスキ(三)兄弟(Tuvia, Zus, Asael Bielski)の物語を映画化したもの。

 

監督は「ラストサムライ」のエドワード・ズウィック(Edward Zwick)、主演は6代目ジェームス ボンドのダニエル・クレイグ(Daniel Craig)原作はDefiance: The Bielski Partisans(「ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟」)

 

ある意味ヒーローだった兄弟たちは、別の見方をすると生き延びるために略奪を繰り返すパルチザンとして地元の人に嫌われ恐れられたという一面もあるようです。

 

ポスター画像

https://eiga.com/movie/53846/photo/

 

 

 

蛇足ですが、主役のダニエル・クレイグは女優レイチェル・ワイズ(Rachel Weisz)の配偶者。レイチェル・ワイズは両親ともにユダヤ系。レイチェル・ワイズは結果的にナチスによるジェノサイドがあったかどうかを判断することとなった裁判の回顧録を映画化した「否定と肯定」(原作:Denying the Holocaust: The Growing Assalt on Truth and Memory/否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い)に主演しています。ちなみにこれは映画より本を読まれることをお勧めします。

 

ディファイアンス 予告編

https://eiga.com/movie/53846/

 

否定と肯定 予告編

https://www.youtube.com/watch?v=htRyepLg7To