令和六年四月二十三日

     不二才連句会 二十韻「街騒を」の巻

                             於・鶏膳

街騒を鎮めるがごと穀雨かな               逆瀬川 屯

 香具師の啖呵にはや夏隣                陶山 六寸

早退けの子は逃げ水を追ひかけて             浜本 麗歌

 猫の待ちゐる夕暮の空                 堀之内風筍

唐突に桂男が降り立ちぬ                 片平 峰青

 色なき風にかほる残り香                笹田 文遠

秋の川少年の恋流れゆき                 田中 和紅

 中古ピアノが重文になり                    屯

二羽三羽四羽と烏は巣に向かふ                 六寸

 足取り軽くビアホールへと                  麗歌

ナオ

薫風に肉球さらし縁の上                    風筍

 光る君とて独り寝の午后                   峰青

心奥に夢見る夢も現にて                    文遠

 漢方薬に山茱萸の実を                    和紅

霧島に二胡の音漏らす月の宿                   屯

 屁こき虫らは後ずさりする                  六寸

ナウ

木洩れ日の壁にもたれて仲直り                 麗歌

 大阪場所に白熊のゐて                    風筍

帰り花深呼吸して一歩前                    峰青

 童の頬に満つる小春日                    文遠

                              首尾